欧州連合ものがたり
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欧州連合(EU,UE,ヨーロッパ連合)が変えていくヨーロッパと世界の様子を、欧州から発信します。 硬派な記事から本音のつぶやきまで、色々な内容を書いていきたいと思います。
Sally
2018-03-07T06:31:08+09:00
ja
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欧州連合(EU)はロシアを怒らせてまで、なぜウクライナと連合協定を結びたかったのか
https://euandjapan.blog.ss-blog.jp/2018-03-07
タイトルは、ここ数年来、ずーーーーーっと私の大いなる疑問だった。あんなにロシアののどもとの国、ウクライナまで連合協定を結んだのでは、ロシアが怒るに決まっているではないか。なのになぜ、連合協定を結ぼうとしたのか。軍もないのに、何をやっているのか。怒涛の日々にやっと一段落がつき、ソルボンヌ大学で教鞭をとっている二人の教授に聞いてみた。質問は同じである。「欧州連合は、あれほどロシアが怒ると予測できなかったのか(怒るに決まっているのに)」である。一人は安全保障の専門家である。「それは、英語で言うmisperceptionだよ」「misperceptionですか?」「そうだ。国際政治の世界へようこそ!」もう一人は、欧州の歴史の専門家(EU建設含む)で、特にアメリカと欧州の関係を専門にしている。私が質問を発すると、乾いた声で上向き加減で「ハハハ」と笑い、「それはいい質問だ」といった。そして、腕を組む形だけど片腕は口元にあて、ちょっと考え「確かに挑発的ではあった」「でも、過小評価していたんだな」と言った。二人の言い分を総合すると、要するに「まさか、ロシアがあんな反応するとは思わなかった」ということのようだ。それであんなにEUの政治家たちは右往左往していたのか・・・。ここで一生懸命、当時のことを思い出してみる。フランスや欧州では、ウクライナの民主化運動というか反政府運動は、ずっと大きな話題になっていた(確かに極右の運動とも言えた。今でも覚えている。ル・モンドの一面に使われた写真では、人々が立ち上がるデモの写真で、ひるがえる極右の旗に加工がほどこされていた)。でも、日本ではそのニュースは限りなくゼロに近かった。それ関係の私のページは、アクセス数は2桁だったのに、ロシアが侵攻したら、数万単位でアクセス数が伸びて・・・。あのころ私は、ロシア(というかプーチン)が怒るのを予想していただろうか。びっくりはした。予想できたというのはやはり言い過ぎだろうか。でもプーチンの行動は、それほど意外ではなかった。ちなみに後者の歴史の先生はEUの歴史の担当で、例によって最初の授業ではギリシャ・ローマの話を始めた。まあお約束ともいえるのだが。そこで私は「欧州の起源はメソポタミアじゃないんですか。なぜギリシャローマから始めるのですか」と質問したことがある。そうしたら「言う必要がないからだ」とのこと。この先生からは多くのことを学んだ。良心があるヨーロッパ人が..
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Sally
2018-03-07T06:31:08+09:00
あんなにロシアののどもとの国、ウクライナまで連合協定を結んだのでは、ロシアが怒るに決まっているではないか。
なのになぜ、連合協定を結ぼうとしたのか。
軍もないのに、何をやっているのか。
怒涛の日々にやっと一段落がつき、ソルボンヌ大学で教鞭をとっている二人の教授に聞いてみた。
質問は同じである。
「欧州連合は、あれほどロシアが怒ると予測できなかったのか(怒るに決まっているのに)」である。
一人は安全保障の専門家である。
「それは、英語で言うmisperceptionだよ」
「misperceptionですか?」
「そうだ。国際政治の世界へようこそ!」
もう一人は、欧州の歴史の専門家(EU建設含む)で、特にアメリカと欧州の関係を専門にしている。
私が質問を発すると、乾いた声で上向き加減で「ハハハ」と笑い、「それはいい質問だ」といった。
そして、腕を組む形だけど片腕は口元にあて、ちょっと考え「確かに挑発的ではあった」「でも、過小評価していたんだな」と言った。
二人の言い分を総合すると、要するに「まさか、ロシアがあんな反応するとは思わなかった」ということのようだ。
それであんなにEUの政治家たちは右往左往していたのか・・・。
ここで一生懸命、当時のことを思い出してみる。
フランスや欧州では、ウクライナの民主化運動というか反政府運動は、ずっと大きな話題になっていた(確かに極右の運動とも言えた。今でも覚えている。ル・モンドの一面に使われた写真では、人々が立ち上がるデモの写真で、ひるがえる極右の旗に加工がほどこされていた)。でも、日本ではそのニュースは限りなくゼロに近かった。それ関係の私のページは、アクセス数は2桁だったのに、ロシアが侵攻したら、数万単位でアクセス数が伸びて・・・。あのころ私は、ロシア(というかプーチン)が怒るのを予想していただろうか。びっくりはした。予想できたというのはやはり言い過ぎだろうか。でもプーチンの行動は、それほど意外ではなかった。
ちなみに後者の歴史の先生はEUの歴史の担当で、例によって最初の授業ではギリシャ・ローマの話を始めた。まあお約束ともいえるのだが。
そこで私は「欧州の起源はメソポタミアじゃないんですか。なぜギリシャローマから始めるのですか」と質問したことがある。そうしたら「言う必要がないからだ」とのこと。
この先生からは多くのことを学んだ。
良心があるヨーロッパ人が、いつまでも奴隷貿易や植民地主義を糾弾される旧大陸の人間であることで心を痛めているなんて、想像もしなかった。
でも、やっぱり私は欧州は、謝罪と保障が足りない!!!と思っているけどね・・・。
でも、ヨーロッパ人の心に触れた思いがした。
オバマの話をしているときの出来事でした。
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マクロンとルペンのテレビ討論を見て
https://euandjapan.blog.ss-blog.jp/2017-05-05
以下はただの感想文です。最近そんなのばっかりですが。よかったら読んでください。ーーーーーーーーールペンとマクロンが残ってから、なんだか社会が陰惨な雰囲気になったような気がする。国民戦線の新たな党首がネガショニスト(ホロコーストはなかった派=親ナチス)だとか、気に入らないプレスを締め出すとか(メディアが連帯して抗議しました)、「ああ、国民戦線って、本質はナチスなんだな」と思わせるようなことが多かった。共和党のフィヨンも社会党のアモンも「共和国を守るためにマクロンに投票を」と呼びかけたのに、メランションは何も言わない。大きな批判をあびた。思想が違うから応援したくないのはわかるが、ナチスが政権とっていいと思っているのかと、私も一気に反感をもった。それまでは、投票権があっても彼には投票しないまでも、好意的に見ていたのに。「彼が今回こんなに投票を伸ばしたのは、極右にいきそうな票をとりこんだからで、だから言えないのか?! あんたはそういう人だったのか?! どんな時でも持論をがなりたてるのが、あなたの魅力だったんじゃなかったのか」と思った。感情的だけど。結局彼は、誰に投票しましょうと言わないまでも、ルペンに投票するなという発言をして一応収まりましたが。マクロンに関しては、悪口のほうが流布されすぎのような感じがする。なんといっても国の問題は、景気の悪さと失業率(と国の借金)。アメリカ風(小泉風?)のサルコジ(現共和党)に託したけどダメだった、それなら社会保障を充実してくれるだろう社会党のオランドに期待したけどダメだった、じゃあどうする? というのが今回の選挙。マクロンは、両者の良いとこ取りをしている候補で、新鮮で若い。批判はたくさんあるが、フランス人は彼の新しさと若さに期待したのだと思う。イタリアがレンツィ首相(マクロンと同世代)をもったときの、若々しい新しい風を期待した人もいたかもしれない。私は個人的に、人間マクロンに大いに興味がある。この人は普通なら現共和党にいって不思議ではない経歴なのに、なぜ社会党に入ったのか(生育歴・家庭に関係あるのか、パリ第10大学にいたというところがポイントなのか)。しかもこの人は、敬虔なキリスト教徒なのに(だからたまに宗教臭い)、フランスのライシテ(非宗教性)を尊重している。フランスにしか現れない矛盾の化け物、あるいは見事な融合作品だと思う。ところで、二人のテレビ討論が行われた。後半くらいから、ほ..
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Sally
2017-05-05T19:18:35+09:00
よかったら読んでください。
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ルペンとマクロンが残ってから、なんだか社会が陰惨な雰囲気になったような気がする。
国民戦線の新たな党首がネガショニスト(ホロコーストはなかった派=親ナチス)だとか、気に入らないプレスを締め出すとか(メディアが連帯して抗議しました)、「ああ、国民戦線って、本質はナチスなんだな」と思わせるようなことが多かった。
共和党のフィヨンも社会党のアモンも「共和国を守るためにマクロンに投票を」と呼びかけたのに、メランションは何も言わない。大きな批判をあびた。
思想が違うから応援したくないのはわかるが、ナチスが政権とっていいと思っているのかと、私も一気に反感をもった。それまでは、投票権があっても彼には投票しないまでも、好意的に見ていたのに。「彼が今回こんなに投票を伸ばしたのは、極右にいきそうな票をとりこんだからで、だから言えないのか?! あんたはそういう人だったのか?! どんな時でも持論をがなりたてるのが、あなたの魅力だったんじゃなかったのか」と思った。感情的だけど。
結局彼は、誰に投票しましょうと言わないまでも、ルペンに投票するなという発言をして一応収まりましたが。
マクロンに関しては、悪口のほうが流布されすぎのような感じがする。
なんといっても国の問題は、景気の悪さと失業率(と国の借金)。アメリカ風(小泉風?)のサルコジ(現共和党)に託したけどダメだった、それなら社会保障を充実してくれるだろう社会党のオランドに期待したけどダメだった、じゃあどうする? というのが今回の選挙。マクロンは、両者の良いとこ取りをしている候補で、新鮮で若い。批判はたくさんあるが、フランス人は彼の新しさと若さに期待したのだと思う。
イタリアがレンツィ首相(マクロンと同世代)をもったときの、若々しい新しい風を期待した人もいたかもしれない。
私は個人的に、人間マクロンに大いに興味がある。この人は普通なら現共和党にいって不思議ではない経歴なのに、なぜ社会党に入ったのか(生育歴・家庭に関係あるのか、パリ第10大学にいたというところがポイントなのか)。しかもこの人は、敬虔なキリスト教徒なのに(だからたまに宗教臭い)、フランスのライシテ(非宗教性)を尊重している。フランスにしか現れない矛盾の化け物、あるいは見事な融合作品だと思う。
ところで、二人のテレビ討論が行われた。
後半くらいから、ほとんど変なショーを見ているような感じになった。
マクロンの言っていることは賛否はともかくまともなのですが、ルペンが。
この人のいっていることは議論にならないどころか、ほとんど根拠もなくウソも多く正確な知識も乏しく、人々のネガティブな感情に訴えることばかりだから、こうなっても当然なのだけど。
(地方の国民戦線の大会での演説が、フィヨン演説の完璧なコピーだったと、話題になった。お前はトランプ夫人か)。
役者のような激しい身振り手振り、とっさに短い言葉を投げかける、人々の理性ゼロの感情にのみ訴える大仰な、でも全く根拠のない言葉の数々。
なんだかこういう感じの女占い師が、昔日本にいたような、まだ私が子供のころ・・・名前が思い出せない・・・ギボなんとか。調べたら宜保 愛子でした。
見ている最中は、気持ち悪さに吐きそうになりましたが、後になると「そうか、極右ってこういうものなんだな」と妙に感心した。
第一回投票の前は、なんだか奇妙に静かな雰囲気を感じたけれど、二人が決まってからは、奇妙な静けさはまだありながらも、一気に騒々しくなった。
ところが、この討論が終わったら、もはや議論する気も起きないというか、疲れ切って終わった雰囲気というか、そんな感じがする。
ルペン落選は当然にしても、どのくらいルペンに票が集まるのか。
そっちのほうに関心があるように思う。
第一回投票は、第一回で決まると思っている人はいないので、批判票や気分の票も集まる。
でも第二回は真剣だ。
おそらく棄権や白票は増大するでしょうが、どちらかに投票しない人は今は関係ない。後で論議すればいい。
大統領はどちらかがなるのだから。
あの討論を見ても、ルペンに投票する人がどのくらいいるのか。
宜保 愛子が大統領になってもいいと???
私は失業者の経験があるので、失業していると心が荒んでいく気持ちはわかる。
でもあのルペンに投票するほど、フランスがひどい状況とは思えない。
フランスはアメリカと違って失業者でも生きていける。健康保険はしっかりしている。
もしルペンへの得票率が高かったら「そんなに私が理解できないほどひどい状況なのか(移民が集まる地域は別として)」とか「人間も民主主義もうんざり」とか思うでしょうね。
メランションに投票する人は、移民系のフランス人が人数としては中核です。
彼が大統領になることはないでしょう。
極右や極左が大統領になるほど、西欧はひどい状況ではない。
それよりもフランスは、社会党の立て直しのほうが重要だと思う。
アモン候補は、とても良い人物だったと思う。
さすが、負けるとわかっている社会党の危機のなかで出てくるだけあって、党内で人望を得ている、左派思想がしっかりある人物だと思った。
好き嫌いだけで言ったら、私はこの人が候補者のなかで一番好きだった。日本人の判官贔屓かもしれないけど(笑)。
そして、もし極右の本質は変わらないとしたら、実際はこの程度(?)なのに政権をとったことがある歴史の極右政権というのは、どういうことだったのだろうと、詳しく知りたくなった。大戦期に関しては、テレビじゃなくてラジオ時代だったから可能だったのかな、など。
ただ、極右の党首が女性だったことは歴史上ないのではないかと思う。今までもテレビ番組で討論とかはあったのだけどね。いざ決戦投票!いざ命運を分ける二者テレビ対決!と思って周到に準備してパワーアップしたら、ああなった、と。どうも、女が極右の党首になると、宜保愛子になるみたい。これは新しい政治カテゴリーの登場(?!)かもしれない。
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社会党の歴史的大敗に感じたこと
https://euandjapan.blog.ss-blog.jp/2017-04-24-1
それにしても、ここまで社会党が大敗するとは。選挙結果が出る前から「歴史的大敗になるのではないか」と言われていたけれど。従来の二大政党が大きく崩れたのは確かだけど、それでも中道右派(現共和党。シラク・サルコジの党)は一応20パーセント近くとっている。歴史的大敗というほどでもない。オランド大統領は、続投で立候補しなかった第5共和制初めての大統領で、彼がなぜそれほど人気がなかったかという話になる。これから山のように分析は出るだろう。個人的には、今回のオランド政権がはなはだ人気がなかったのはわかる。でも、それでも私は、彼は国の1年の予算に匹敵する借金ーー日本と違って外国から借りているーーを削減しようと必死だったのだと思う。まじめな大統領だったと思う。派手じゃないし、カリスマ性もない。だから余計に人気は落ちたのだろうけど、実務畑出身だけあって、本当に誠実に国の大問題に取り組んだ人だったと思う。不思議なものだ。彼が大統領に就任したとき、私は「あんな魅力の感じさせない大統領で大丈夫か。リーダーらしさがまるでない。サルコジは下品で小粒だったけど、少なくとも強さはもっていた。歴代大統領から見ると、かなり劣る」みたいなことを言ったら、オランドに期待した人たち(大統領になったのだから支持者は多かった)の中から「そんな悪口をいうなんて」とお叱りを頂戴したものだ。ところが5年たってみたら、彼らはオランドにも社会党にも背を向けて、むしろ私が彼を評価している。私はフランス人じゃないし、投票権もないけれど、働いて税金は払っている。だから傍観者というわけではない。(税金払っているのだから、市町村選挙の投票権くらいは欲しいなあ・・・と思っている)。マクロンも前途多難だと思う。アメリカ風の経済政策ならサルコジが、社会党らしい社会保障政策ならオランドが、すでにやっているのだ。(ただ、アメリカ風の経済政策を試すには、5年は短かったと思う。また社会保障政策だの教育重視だのは、オランドに限らずみんなやっている)。はたして議会の安定もえられないマクロンが、これから本当にうまくやっていけるのか。オランドに失望したように彼に失望する時がもし到来したら、フランスはどこにいってしまうのだろう。話を元に戻して。。。左の支持者は、メランションにいっちゃったのかな。メランションとアモンを足すと1位になる。そう考えると、EU専門家としてはとても面白い。メランションとアモンの最..
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Sally
2017-04-24T18:22:11+09:00
個人的には、今回のオランド政権がはなはだ人気がなかったのはわかる。でも、それでも私は、彼は国の1年の予算に匹敵する借金ーー日本と違って外国から借りているーーを削減しようと必死だったのだと思う。まじめな大統領だったと思う。派手じゃないし、カリスマ性もない。だから余計に人気は落ちたのだろうけど、実務畑出身だけあって、本当に誠実に国の大問題に取り組んだ人だったと思う。
不思議なものだ。彼が大統領に就任したとき、私は「あんな魅力の感じさせない大統領で大丈夫か。リーダーらしさがまるでない。サルコジは下品で小粒だったけど、少なくとも強さはもっていた。歴代大統領から見ると、かなり劣る」みたいなことを言ったら、オランドに期待した人たち(大統領になったのだから支持者は多かった)の中から「そんな悪口をいうなんて」とお叱りを頂戴したものだ。ところが5年たってみたら、彼らはオランドにも社会党にも背を向けて、むしろ私が彼を評価している。
私はフランス人じゃないし、投票権もないけれど、働いて税金は払っている。だから傍観者というわけではない。(税金払っているのだから、市町村選挙の投票権くらいは欲しいなあ・・・と思っている)。
マクロンも前途多難だと思う。アメリカ風の経済政策ならサルコジが、社会党らしい社会保障政策ならオランドが、すでにやっているのだ。(ただ、アメリカ風の経済政策を試すには、5年は短かったと思う。また社会保障政策だの教育重視だのは、オランドに限らずみんなやっている)。はたして議会の安定もえられないマクロンが、これから本当にうまくやっていけるのか。オランドに失望したように彼に失望する時がもし到来したら、フランスはどこにいってしまうのだろう。
話を元に戻して。。。左の支持者は、メランションにいっちゃったのかな。メランションとアモンを足すと1位になる。そう考えると、EU専門家としてはとても面白い。メランションとアモンの最大の違いは対外政策。つまり、メランションに流れた左派の人たち、つまり今までなら社会党に投票していたであろう人たちは、社会党がもっていたEUビジョンはどうでもよかったということになるのか。うーん面白い。
といっても、私はEU専門家だからそこに注目するけれど、一般的にはポイントはEUじゃなくて、メランションはあの共産党っぽさでしょう。あれがどうしてもダメという人は大勢いる。英国メディアでは「ボルシェビキ」と呼んでいた人すらいた。メランション自体は、いかにも革命闘士(フランス革命という意味ですよ)で悪い印象じゃないのだけど、あの共産主義のような政策はあまりにも非現実的でしょう・・・と思う。EU云々という以前の思想の問題。
でもそれでも、あれほどに最後には支持を集めたのだ。極右と同じほどに。フィヨンやアモンは「共和国を守るために、マクロンに投票を」と呼びかけたけど、メランションは各自の自主投票にしたようだ。
もちろん社会党支持層の票は、メランションだけではなく、かなりマクロンにも行っているはず。
ものすごく単純化した仮説では、社会党に失望して、社会党に入れたくない人は、共産主義っぽさも辞さないでもっと左(メランション)に流れた人、ちょっと右(マクロン)に流れた人、社会党にとどまった人の3つに分かれたのだろう。
中道右派よりも中道左派のほうがもろかった。これは今回、いまのフランスに限った現象なのか、それとも全体的に「左派」にはそういうことがいえるのか。そしてメランションに流れた左派の人たちの世界観(EU含む)はどうなっているのか。そして社会党支持で残った人たちは、どういう考えをもっていたのか。これが私がいま、一番関心があることだ。
今後多くの専門家が分析するだろうから、メディアの報道に注目するとしよう。
(ちなみに私個人では、マクロンかアモンだった。メランションに流れることはない。アモンとメランションの国内政策では類似性が見られるけど、メランションはあまりにも共産主義っぽすぎ。でも、共産主義っぽい世界人類・世界各国は対等の思想のほうが、日本としてはやりやすいかもしれない。困るのはアメリカとの関係だろうが、日本はヨーロッパでも欧米でも白人でもないのだから、EUでブロックつくられるよりも実は良いかもしれないのだ。彼は以前はもっとEUに批判的だったけど、今回の選挙戦はそこまでではなかった印象だ。でもまあ・・・やっぱり非現実的だな。
ということで、マクロンかアモンなんだけど、マクロンはあの宗教っぽさがどうも苦手。ただ、ライシテ(政教分離・公共の非宗教性)はきちんと守っているから、まあいいかという感じ。どちらもでいいのだけど、私はオランド大統領はそれほど悪くなかった、あれは極めて現実的なやり方だったと思っているので、社会党への幻滅感はそれほどない。そして、実際にマクロンとアモンの集会に行ってみて、圧倒的にアモンのほうがよかった。私は今まで、サルコジ、メランション、アモン、マクロンの4人の集会に行ったことがあるが、演説を生で聞いて心を打たれたのはアモンが初めてだった。彼の信念のある社会主義者らしさが好きだった。逆に、マクロンはすごく期待して行ったのに、かなり残念だった(また機会があったら書きますが)。
思うに、勝てないとわかっている選挙戦に出た人なのだから、良いに決まっていたかもしれない。利にさとい政治家はそもそも出馬しないだろう。かつて民主党の危機に「今こそ小沢さんを」と期待されていたのに、決して出馬しなかった小沢氏のように。私は特に民主党支持者でもなかったし(私は浮動票の人です)、どの機会だったかも覚えていないが、このことははっきり覚えている。「小沢氏はだめだ。信頼できない」と。危機感の中で選ばれる人だから、やっぱり人望と何かプラスαがないと選ばれないだろう。もっともここまで社会党が大敗するとは、だれも想像していなかったかもしれないが。
ーーというわけで、集会に行ってみた結果アモン氏支持になった。それに、マクロンが決選投票に行くのと、アモン社会党が勝てないのは明らかだった。ということで、私なら1回目投票アモン、2回目投票はマクロンですね。私はどうも、フランスの6,5パーセントに属するようです・・・苦笑(もっとも投票に行かない人、投票登録していない人もいるので、実際にはこの数字じゃないけど)。なぜかピケティと同じカテゴリーにいるようです。。。再び苦笑・・・)。
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ほっとした
https://euandjapan.blog.ss-blog.jp/2017-04-24
マクロンとルペンが上位2人に残りました。ほっとしました。マクロンが大統領になるのは100パーセント間違いない。結局「中道右派もダメだった。中道左派もダメだった。じゃあどうする?」となったときに、従来の二大政党ではない、若い(39歳)、「真ん中」のマクロンになった。前途多難はこれから。右と左の良いとこ取りだけど、本当にできるのか。これから国民議会選挙(衆議院に相当)があるけど、どうなるのか。個人的には、もし私に投票権があったらマクロンかアモンに入れていたので、マクロンで満足。ルペンは残らないという予測は外れたけど(苦笑)。フィヨンはあと一歩で敗れたけど、むしろフィヨンとマクロンの決選投票にならなくてよかった。フィヨン陣営はサルコジを恨んでいるだろうし、左派陣営は「左派で統一できていれば・・・」と悔やんでいる。メランションとアモンを足すと、トップに立つはずだったので。左派統一という動きはずーーーーとあった。最初は「なぜメランションはアモンに合流しないのか」と言われ、いまは「アモンがメランションに合流していれば・・・」というため息がもれている。でもムリなのはわかっている。国内政策では二人は合意ができるかもしれないけど、対外政策がまったく違う。二人の世界観は、思想の違い。一緒になれるわけがなかった。大学院の友達は、マクロン支持が圧倒的に多かった。他にもいたかもしれないけど、あまりみんな大っぴらに言わないしね。メランション支持者はあまり隠さないので、彼の支持者も割といた感じ。マクロンの隠しきれない宗教臭さが好きじゃないのだけど、少なくとも彼はフィヨンみたいに「キリスト教の寛大の精神にのっとって」などとは言わず、ライシテをちゃんと守ろうとしていた。だからまあいい。あれほど大騒ぎしたにもかかわらず、結果的には、従来の中道右派にすらいかず、もっとずっと左寄りの「まんなか」に行きました。メルケルもシュルツも一安心。フレグジットと騒いだ(というか望んだ)英国の反応はどうなのかな。もう誰もが「マクロン大統領、確定」と思っているので、これからの二人の争点なんてどうでもいい感じだが、「共和国を守れ」という流れになるでしょうね。EUの話は出ても、だから何?という感じでしょう。もう候補者の主張も、がなり声も聞き飽きた。確かにトランプ効果はルペンにとっては追い風になっただろう。とはいっても、フランスはアメリカほど大国じゃないし、地理的に孤立して..
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Sally
2017-04-24T16:03:24+09:00
ほっとしました。
マクロンが大統領になるのは100パーセント間違いない。
結局「中道右派もダメだった。中道左派もダメだった。じゃあどうする?」
となったときに、従来の二大政党ではない、若い(39歳)、「真ん中」のマクロンになった。
前途多難はこれから。
右と左の良いとこ取りだけど、本当にできるのか。
これから国民議会選挙(衆議院に相当)があるけど、どうなるのか。
個人的には、もし私に投票権があったらマクロンかアモンに入れていたので、マクロンで満足。
ルペンは残らないという予測は外れたけど(苦笑)。
フィヨンはあと一歩で敗れたけど、むしろフィヨンとマクロンの決選投票にならなくてよかった。
フィヨン陣営はサルコジを恨んでいるだろうし、左派陣営は「左派で統一できていれば・・・」と悔やんでいる。メランションとアモンを足すと、トップに立つはずだったので。
左派統一という動きはずーーーーとあった。最初は「なぜメランションはアモンに合流しないのか」と言われ、いまは「アモンがメランションに合流していれば・・・」というため息がもれている。
でもムリなのはわかっている。国内政策では二人は合意ができるかもしれないけど、対外政策がまったく違う。二人の世界観は、思想の違い。一緒になれるわけがなかった。
大学院の友達は、マクロン支持が圧倒的に多かった。他にもいたかもしれないけど、あまりみんな大っぴらに言わないしね。メランション支持者はあまり隠さないので、彼の支持者も割といた感じ。
マクロンの隠しきれない宗教臭さが好きじゃないのだけど、少なくとも彼はフィヨンみたいに「キリスト教の寛大の精神にのっとって」などとは言わず、ライシテをちゃんと守ろうとしていた。だからまあいい。
あれほど大騒ぎしたにもかかわらず、結果的には、従来の中道右派にすらいかず、もっとずっと左寄りの「まんなか」に行きました。メルケルもシュルツも一安心。フレグジットと騒いだ(というか望んだ)英国の反応はどうなのかな。
もう誰もが「マクロン大統領、確定」と思っているので、これからの二人の争点なんてどうでもいい感じだが、「共和国を守れ」という流れになるでしょうね。EUの話は出ても、だから何?という感じでしょう。もう候補者の主張も、がなり声も聞き飽きた。
確かにトランプ効果はルペンにとっては追い風になっただろう。とはいっても、フランスはアメリカほど大国じゃないし、地理的に孤立していないし、ルペンは党創始者の娘だというだけで、トランプのような実績も力も頭もないし・・・。
それよりも、二人はテレビ討論をやるのかしら。ルペンは自分の集会で終盤「私が大統領になったら○○○(アラブ系の名前)などというフランス人はいない」などと叫んでいたが、それって実際にどうやるのかということを、マクロンにテレビ討論でぜひつっこんでほしい。すでにそういうフランス人は大勢いて、3世4世すらいる。植民地の遺産。彼らを追い出すの?それってナチスよね?そこをマクロンにぜひ突っ込んで欲しい。トランプは移民(?)の流入はとめようとした(そして裁判所に撃退された)。でも、アメリカ人を追い出すとは言っていない。そもそもアメリカは移民国家の歴史。でもルペンは違う。FNは違う。女性党首をいただいて、マイルド路線で仮面をかぶっているけれど、あの党は根本はナチスなのだ。選挙終盤になって支持率が少し下がってきたら、自分の集会で(テレビではなく)本性を現してきていた。そこをマクロンに突っ込んでほしい。
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いよいよ第1回目投票の日がやってきた
https://euandjapan.blog.ss-blog.jp/2017-04-23
いよいよ投票の朝がやってきました。とっても良いお天気です。今日、大統領が決まることはないだろうけど、なんだ私は何度も、「大統領選(国政選挙)とEUはほとんど関係ありません」と書いてきましたが、万が一「離脱も辞さない派」が大統領になったら、どうしましょう。私は骨身にしみてわかっているのよ。若い世代(30代以下)は別だけど、EUをつくってきたのはエリートである、と。ブレグジットではっきり判明したように、若い世代はEUがあって当たり前の世代だから違う。(問題は、どこの国でも同じだけど、若者の投票率が低いこと)。パリに住んで、さんざんEU関係のイベントに参加して、普段は一般の人は入れないような組織の建物(官庁だの裁判所だのフランス弁護士会だの)に出入りして、つくづく思う。EUをつくってきたのは、右派でも左派でもエリートであると。まず服装。場所が場所だから、みんな身なりを正してやってくるんだろうけど、それにしてもみなさん身なりが良い。着ているものの質が良い。そうでもないのは、若者と、知的左派、おそらく関係者と相場が決まっていると思う。そこで討論されている内容なんていうのは、一般日常生活とまったく関係ないというか・・・。あと、EU議論はきわめて都市型というのはある。ストラスブール、リヨン、マルセイユくらいだと例外かもしれないけど(地方にもEUの拠点はあるので)。EUのことを勉強した人材は、地方の役所や企業などでも必要とされているので、地方の大学でも問題はないとは思う。EU法はすべての企業に関係してくるし、市町村単位でEU他国との交流も盛んだ。ただ、いわゆる国際関係的なEUの問題を考えるのなら、パリに来ないとダメだと思う。ストラスブールでもいいのかもしれないけど、「パリに来るべきだと思った」と言ってストラスブールのEU学科からうちの大学院に来た人を知っているので、やっぱりパリなのかもしれない。つまり、EU問題はきわめて都市型、いや、首都型だと思う。だから、極右が「EUのせいだ」と声高に叫んでも、地方(田舎)の40代、特に50代以上(学校教育を受けた年頃にはEUがまだなかった世代)で、それほど学歴も高くない人は、どう思うのだろう。あっさり信じるのか、なんだかピンと来ないのか。農業関係者だと、スペインの農産物との競争に大きくさらされているから、EUに反感をもっているかもしれない。でも、フランスに入ってくる農産物は、スペインだけじゃ..
未分類
Sally
2017-04-23T18:32:34+09:00
とっても良いお天気です。
今日、大統領が決まることはないだろうけど、なんだ私は何度も、「大統領選(国政選挙)とEUはほとんど関係ありません」と書いてきましたが、万が一「離脱も辞さない派」が大統領になったら、どうしましょう。
私は骨身にしみてわかっているのよ。
若い世代(30代以下)は別だけど、EUをつくってきたのはエリートである、と。
ブレグジットではっきり判明したように、若い世代はEUがあって当たり前の世代だから違う。
(問題は、どこの国でも同じだけど、若者の投票率が低いこと)。
パリに住んで、さんざんEU関係のイベントに参加して、普段は一般の人は入れないような組織の建物(官庁だの裁判所だのフランス弁護士会だの)に出入りして、つくづく思う。EUをつくってきたのは、右派でも左派でもエリートであると。まず服装。場所が場所だから、みんな身なりを正してやってくるんだろうけど、それにしてもみなさん身なりが良い。着ているものの質が良い。そうでもないのは、若者と、知的左派、おそらく関係者と相場が決まっていると思う。そこで討論されている内容なんていうのは、一般日常生活とまったく関係ないというか・・・。
あと、EU議論はきわめて都市型というのはある。ストラスブール、リヨン、マルセイユくらいだと例外かもしれないけど(地方にもEUの拠点はあるので)。
EUのことを勉強した人材は、地方の役所や企業などでも必要とされているので、地方の大学でも問題はないとは思う。EU法はすべての企業に関係してくるし、市町村単位でEU他国との交流も盛んだ。
ただ、いわゆる国際関係的なEUの問題を考えるのなら、パリに来ないとダメだと思う。ストラスブールでもいいのかもしれないけど、「パリに来るべきだと思った」と言ってストラスブールのEU学科からうちの大学院に来た人を知っているので、やっぱりパリなのかもしれない。
つまり、EU問題はきわめて都市型、いや、首都型だと思う。
だから、極右が「EUのせいだ」と声高に叫んでも、地方(田舎)の40代、特に50代以上(学校教育を受けた年頃にはEUがまだなかった世代)で、それほど学歴も高くない人は、どう思うのだろう。あっさり信じるのか、なんだかピンと来ないのか。
農業関係者だと、スペインの農産物との競争に大きくさらされているから、EUに反感をもっているかもしれない。でも、フランスに入ってくる農産物は、スペインだけじゃなくて、モロッコからも結構多いのだ。たまにイスラエルとか南アフリカとかアメリカ産もある。果物なんかはチリとかカナダからもそこそこ入ってくる。EU内だとキノコはオランダ産、ぶどうはイタリア産もあるかな。結局、影響はつくっている農産物によると思う。
小さい工場で手作りの食品をつくっている人は、EUの安全規制がどんどんうるさくなっているので、反感をもっているかもしれない。でもフランスは、自国の農業の利益に関わることには、かなりNONと言っていると思うけど。
ただこういう人たちは、まったくEUと関係ない訳はなく、なんらかの形でEUが自分の商売に与えた影響をちゃんと知っているのは間違いない。彼らは自営業者だから。一番EUをよくわかっていないのは、地方で(都市でもそうだけど)、自営じゃない雇われ人の40代・50代以上の人かもしれない。
結局、「ユーロになったら物価があがった」とか「移民が多すぎる」という感情問題になるのだろう。特に地方の小さな街・町は、まるで一画がイスラム教徒のアラブ系の人にのっとられた(?)みたいなところは結構ある。仕事がないから、昔からいるフランス人の働く世代は、都市にいってしまう。お年寄りが多くなる。そうすると、残るのは家賃と物価が安くて住み着いた移民の人(若者含む)だけ・・・みたいな感じ。
街・町の力が弱いので、フランスへの同化を積極的に促す人の人数も少ないのは想像できる。同化には、彼らの子供がフランスの学校に通って・・・というように時間を待つしかない。彼らは一体何をやって生計をたてているのか。白人フランス人がやりたがらないような仕事なのかもしれない。ああいう所に住んでいたら極右に入れたくなるかも、と想像はできる。それが反EUの感情と結びつくのかどうか。極右がいくらわめいているからといっても。あまり大きく関係ないような気がする。日本にはEUはないけど「外国人が嫌だ」=「極右」になるでしょう。ネトウヨとかいっぱいいますし。
それに、フランスにいる移民のアラブ系・黒人は、圧倒的にフランスの旧植民地(フランス語圏)から来ているのだ。流入は今に始まったことではない。長い歴史がある。EUシェンゲン協定より、むしろ旧植民地問題なのだ。
私は今パリにいる。パリはフランス革命が起きた街で、伝統的に左が強いから、私もその基準で考えすぎているのはと自戒はしている。ただ私は、南仏の、おそらく右(と極右)がフランスで一番強い街に住んでいたことがあるので、まったく地方を知らないわけではない。あの街では、ルペンとフィヨンに票が集中するのだろう。
ああ、なんだかわかんなくなってきた。
それでも私は、極右が2回目投票に行くかどうかはともかく、極右の大統領がフランスに誕生することはないと思っている。
最後に。
私が常にEUに対してもっている疑問を、理論的に解決している人は、メランションです。でも、理論と現実のプロジェクトは別。
今後、世界で興味深い政治的・経済的テーマになると思ったのは、社会党のアモン氏の政策revenu universel。日本だとベーシックインカムと言われている問題。これを論じた討論会に行けなかったのは残念。しかも後になってピケティも参加していたと知って、本当に悔やまれた。
一番ユニークで面白かった候補者は、Jean Lassalleでした。
ピレネー出身。61歳。牧羊をいとなむ家族に生まれ、農業高校を出て、21歳で市長になった。「フランス地方(田舎)市長連合」の推薦をあつめて立候補した人です。TTIP猛反対(TPPと同じで、もうほとんどつぶれたけど)。政治的には中道。ピレネー地方にあった日本企業が去ろうとしたときには、地元の雇用を守るために、ハンガーストライキを断行して、妥協を勝ち取ったことも。大統領候補としては何が言いたいのかよくわからないのだけど、理想ばかりの口八丁(と言わさせてもらいます)をがなりたてている候補者たちの中にあると、朴訥としていて、それでいて芯の強さは感じさせる人で、新鮮でした。「フランスは今、ストレスがありすぎる」と言っていましたが、11人の候補が集まる中で、空気感を変え、テレビ局側の出演者の態度も変えることができたのは、この人だけでした。
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テロが起きてしまいました。その他メランションやつれづれ
https://euandjapan.blog.ss-blog.jp/2017-04-21
あー。テロが起きてしまいました。シャンゼリゼか。なるほど・・・。エッフェル塔やルーブル美術館なども非常にシンボリックな場所だけど、あそこは「入場するところ」だから、すでに厳しい警備が敷かれている。シャンゼリゼって、ただの道(大通り)だものね・・・。シャンゼリゼ通りは坂道で、一番上には凱旋門があるけど、周りは道路で渡れないので、警備はしやすい。今回テロが起きたのは、シャンゼリゼ通りの真ん中より下の方だったみたい。やはり、凱旋門に近いシャンゼリゼは、観光客も多いけど警備も厳しく、やりにくかったんだろうと思う。実際、ジョルジュ5駅より下の方がすぐに封鎖されたけど、シャルルドゴール・エトワール駅(凱旋門の一番近く、シャンゼリゼの一番上)は、少なくともすぐには封鎖はされなかったみたいなので。やっぱりシャンゼリゼというインパクトは大きい。ただ、一般市民や観光客が被害にあうテロじゃなくてよかった治安当局は本当にがんばっている。ニースのような大勢の人が被害にあうテロは、起きにくくなっている。亡くなった警官の人は、本当にお気の毒だと思う大統領選に関して言えば、すべての候補が「テロは許せない、治安対策に力を入れる」といっているので、方針や政策の違いは特にない。でも、やっぱり心理的な影響はある。「ああいう人達は本当にうんざりだ。みんないなくなればいいのに」と思ってしまうけど、「みんな」って誰のこと? と自問自答する。本当に「みんな」を排除しようとすれば、それはナチスである。ナチスの権力、ナチスの思想、ナチスの行動力がないとできない。そんなことできないのは、誰もがわかっている。指名手配犯を追い、疑わしい人物をできるだけマークするなんていうのは、もうとっくの昔にやっているのだから。でも心の奥底で「してほしい」と願い、それを投票に反映しようとするのなら、それができる政治家はルペン父だったと思う。FN国民戦線の創始者で、人種差別主義者。真性極右今の党首のルペン娘には、そんな強さはない。もし本当に事が起これば、彼女は声を荒らげて叫んでも、実際はびくついて震えるだろう。メランション相手の討論程度でも、震えているんだから。父親だったら、断固として行動する強さがあっただろうが。あの人は弱いのだ。いざ国が本当に非常事態になっても、任せられるような人じゃない。でも、そんなマイルドさがあるから、FNは「普通の党」と言われるようになり、支持を集めたのだ。極右..
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Sally
2017-04-21T20:34:07+09:00
シャンゼリゼか。なるほど・・・。
エッフェル塔やルーブル美術館なども非常にシンボリックな場所だけど、あそこは「入場するところ」だから、すでに厳しい警備が敷かれている。シャンゼリゼって、ただの道(大通り)だものね・・・。
シャンゼリゼ通りは坂道で、一番上には凱旋門があるけど、周りは道路で渡れないので、警備はしやすい。今回テロが起きたのは、シャンゼリゼ通りの真ん中より下の方だったみたい。やはり、凱旋門に近いシャンゼリゼは、観光客も多いけど警備も厳しく、やりにくかったんだろうと思う。実際、ジョルジュ5駅より下の方がすぐに封鎖されたけど、シャルルドゴール・エトワール駅(凱旋門の一番近く、シャンゼリゼの一番上)は、少なくともすぐには封鎖はされなかったみたいなので。
やっぱりシャンゼリゼというインパクトは大きい。
ただ、一般市民や観光客が被害にあうテロじゃなくてよかった
治安当局は本当にがんばっている。ニースのような大勢の人が被害にあうテロは、起きにくくなっている。
亡くなった警官の人は、本当にお気の毒だと思う
大統領選に関して言えば、すべての候補が「テロは許せない、治安対策に力を入れる」といっているので、方針や政策の違いは特にない。
でも、やっぱり心理的な影響はある。
「ああいう人達は本当にうんざりだ。みんないなくなればいいのに」と思ってしまうけど、「みんな」って誰のこと? と自問自答する。
本当に「みんな」を排除しようとすれば、それはナチスである。ナチスの権力、ナチスの思想、ナチスの行動力がないとできない。そんなことできないのは、誰もがわかっている。指名手配犯を追い、疑わしい人物をできるだけマークするなんていうのは、もうとっくの昔にやっているのだから。
でも心の奥底で「してほしい」と願い、それを投票に反映しようとするのなら、それができる政治家はルペン父だったと思う。
FN国民戦線の創始者で、人種差別主義者。真性極右
今の党首のルペン娘には、そんな強さはない。
もし本当に事が起これば、彼女は声を荒らげて叫んでも、実際はびくついて震えるだろう。
メランション相手の討論程度でも、震えているんだから。
父親だったら、断固として行動する強さがあっただろうが。
あの人は弱いのだ。いざ国が本当に非常事態になっても、任せられるような人じゃない。
でも、そんなマイルドさがあるから、FNは「普通の党」と言われるようになり、支持を集めたのだ。
極右、極右と言われているけど、真性極右じゃない。
「まんなか」の位置は国によって違うので、日本からみたら、今のFNは極右ですらないかもしれない。
メランションに関しては、組織としてついているのは共産党。
共産党といっても、日本の共産党と似ていて、西側的。
弱くなって人数も激減しているといっても、組織力は日本と同じで大変強い。
ただし、フランスの共産党は、プロレタリア革命の「精神」だけはずっと濃く受け継いでいるように見える。
メランションの思想は「ドゴール的であり、共産主義的である」ということだ。
メランションは、移民系のフランス人に評判がいい。
特に南米系フランス人。
日本では共産主義というと、ソ連やその周りのイメージが強いけど、実際にはチェ・ゲバラじゃないけど、中南米でもすごく強かった。あとアフリカの一部も。
これらの共産主義の流れが、フランス(や欧州)には強く入ってきている。
そういう思想を持っている人、支持する人は、人数的にはスペインほど多くはないけど、一定数いる。
(スペインのポデモスも、この流れでしょう)。
そういえば、メランション支持にはアラブ系をあまり見ない印象だ。ノワール(黒人)はいるけれど。イスラム教というのは、歴史的には共産主義に対抗するもう一つの砦だったのかもしれない。そんなこと考えたことなかったけど。でも、貧しい地域では共産党や極左政党が強いから、実際にはアラブ系の支持者は多いのかもしれない。
あともう一つ、東側から来た系統のフランス人にも、メランションは結構評判がいいことに最近気づいた。東欧というよりも、もっと東。ウクライナとか旧ソ連に属していた国々の系統の人たち。
今回急速にメランションの支持が上向いたのは、本来なら社会党に入れる大きな勢力が、右往左往しているからだろう。マクロン支持に行った人は、もう動かないだろう。社会党に忠実でアモン支持に残っている人も動かない感じだ(ピケティもここに入る)。問題は、それ以外の人たち。
メランションは、主要5人のテレビ討論会の時、周りが自分の発言をするだけだったとき、一人だけ討論にしようと頑張っていた。これは結構好印象を与えた。
(ただ仕方ない感じもする。一人ひとりの発言時間が公平になるように、デジタルカウンターをが置かれている。どの候補者も自分のカウンターを見ていたのだろうから)。
あと、討論会のとき、SNSでテレビ局が同時進行で意見を集めたり、どの候補者がいいか投票を求めたりしていたとき、メランションがダントツ1位だった。熱狂的メランション支持者がSNSに張っているという感じだった。
メランションは、ドゴール的に「フランス第一」であり、EU離脱も辞さないといっても、彼のビジョンは共産主義的で、「世界中で人民に力を!」「人民よ、権力をとれ!」という感じである。そこが、同じ「フランス第一」でEU離脱でも、ルペンとはまったく違う。FNはどこまでも内向きである。「フランス第一」と叫び、移民排斥を叫ぶだけ。
ドゴールはフランスの孤立を恐れなかった(ただし、外交術も大変優れていた。だからこそ偉大だった)。そういうドゴール的強さをメランションには期待できても、ルペンにはできない。それが、ルペンの支持率が落ちてきて、メランションの支持率が上がってきた理由だと思う。それに、もともとああいう革命闘士的な人は、フランス人は好きだと思う。ただ、やっぱりあの共産主義っぽさはどうも、という人は多いだろう。
一番の重要な争点は、前にも書いたように、景気・失業・給料・年金・社会保障(様々な手当てや健康保険など)である。ただ、もう誰もが同じに見えてくる。
フランスは伝統的に、中道右派(シラク・サルコジなど)と中道左派社会党(ミッテラン・オランドなど)の二大政党だった。
「中道右派もダメだった。中道左派もダメだった。じゃあどうすればいい?」というのが今回の選挙である。前にも書いたけど。
オランドの人気はまったくなく、二大政党のかたわれ社会党支持者の層が浮遊している。マクロンに決めた人、社会党候補アモンを支持する人、これらはもう動かない。問題は残りである。この残りが今、あっちこっちに浮遊している。
マクロンは新しい政策をもっているように見える。そういう意味で期待値は高いだろう。彼は上位2人に残ると思う。働き盛りで、生活や仕事・年収も落ち着いている、いわばフランスを支えているような人々は、リッチになればなるほど中道右派が多いとはいえ、フランスの場合伝統的に社会党支持者も結構いる。あるいは、時によって中道左派社会党、時によって中道右派と変えていた、いわゆる「浮動票」の人達もものすごく多い。そういう人は、今回マクロンに行っているように見える。ミーティングに行ってみたが、支持者層(特に服装)を見るとわかる。
一方で、それでも社会党に忠実でアモン支持なのは、女性、若者、高齢者、知的左派が多かったと思う。これもミーティングに行ってみてそう思った。ピケティなんかはアモンの友達らしい。あの人、世界的に大成功した超有名人で、かなりリッチでしょうに。知的左派の中には、今回マクロン支持になった人は結構いると思う。それでも彼はバリバリの社会党支持なのは、骨の髄まで平等を尊ぶ、いかにもフランスにしかいなさそうな知的左派なんだなー、と思う(英国にはいないタイプ。アメリカには絶対いなさそう。ドイツは緑の党が強いし、旧東ドイツもあるので、また違うと思う)。あと、ピケティの「ユーロ圏議会構想」を実現するには、安定した大政党じゃないとダメ、アモンは支持してくれた、という計算もあるのかもしれないけど。
アモン自体の評判は悪くない。誠実そうという評価が高い。社会党候補になると誰もが思っていたバルス元首相を破ったのは、変化を望んだというのもあるだろうけど、アモン氏の実績と人柄に負うところが大きいと思う。それから、彼は、中道左派の中でも、かなり左である。オランドで失敗し、中道左派の中の「中」がマクロンで離脱しちゃったから、必然的にそういう人が選ばれたというのもあるだろう。戦略として、revenu universel (国民全員に約9万円を毎月支給)を恐れずがんがん主張すればよかったのにと、私なんかは思う。良い悪いではなく、信念に基づいた政策はひるまず声高に主張したほうがいいという理由。なんだかちょっと腰が引けたところがあったのは、反発も大きかったからか。
パリの街を歩いていると、極右二人のポスターは破かれていることが多い。「刑務所行け」などの悪口もある。マクロンのポスターには「ロスチャイルドにお問い合わせください」「ロスチャイルド.com」などという、おなじみの批判も描かれている事も。面白いのは、極右二人のポスターは悪口が書かれてびりびりに破かれていて、今はもう痕跡すらないという事が多いのに対し、マクロンやフィヨンは、たまに破かれていたり悪口が書かれていたりといったごく並の程度、左派の人たちのは、ごく並よりももっと手付かずのまま残っている、というケースが多い感じがする。左派に対しては、支持もしないが貶める理由も特にない、ということだろうか。
(アメリカなら貶める人はいるでしょうにね。共産主義っぽい臭いがするだけでヒステリーを起こす人がいる国だから)。
テロがなかったら、私は「フィヨンとマクロンが決戦投票」と言ってしまったかもしれないけどね・・・。
組織票はあなどれない。フィヨンは、スキャンダルにまみれたが、なんだかんだ言っても二大政党の1党の人である。暗めだけど、人品がある落ち着いた紳士に見える。それはアモンも同じ。今回は二大政党の候補者二人が、人品が感じられる紳士らしい風貌なのが面白い。サルコジVSセゴレーヌ、サルコジVSオランドの時と雰囲気が違う。腐ったと言えども二大政党は人材をもっているなあ、と感じた。(特に中道右派(共和党)は、サルコジのあのギラギラした感じにうんざりしていたのかもしれない)。
ただ、フィヨンやマクロンに関しては、キリスト教とライシテの問題がある。
今回ほどキリスト教が表に出てきた選挙戦は私は初めてだけど、メディアでもそう言っているので、おそらく特筆すべき新しい傾向なのだろう。あまりメディアでも表に大きく出ない問題ではあるけれど。
一方でメランションは、冬はいつも赤のマフラー、今は赤のネクタイをしている。
共産主義的、革命的だなあと、なんだかおかしい。
そういえば、ロートレックで有名なアーティスト、ブリュアン。
あの人も赤いマフラーをしていた。
彼はブルジョワのお金持ちの家の出身だったけど、親がおちぶれて、学校中退。
宝石工芸なんかもしていたことあったけど、のちに芸術家になった。詩人であり、作家であり、シャンソニエ(キャバレーなどで風刺的な、あるいは滑稽なシャンソンや一口話をきかせる芸人・アーティスト)。
政治家として立候補したこともあり、そのときのスローガンが「人民(人々)の候補」「資本家財閥たちの敵は、この人間主義の詩人に投票するのだ」だった。共産主義的であり、フランス革命的である。
何度もいうけれど、EUは確かに大きな争点ではあるけれど、あまり関係ないと思う。
問題は、「もうあの人たちにうんざりだ。来てほしくない。我が国からいなくなってほしい」という人々の奥底の心情ではないかと思う。それが直にEU問題に結びつくかというと・・・違う感じがする。一応移民の流入はとまったし、フランスはなんだかんだ言っても豊かで社会保障もきちんとしている。ただ、直前にテロが起きてしまったのはどう影響するのか。どのみちナチスにはなれないのだ。なる必要もない、とどこまで冷静でいられるか。
前も書いたように、「どうせ第1回投票で決まる事はないのだ。批判票・心情だけで投票する」という人が多ければ、ルペンは上位2人に入って決戦投票に行く(そして落ちる)。「今回は本当に1回目から真剣に考えないとまずい」とより一層冷静になれば、ルペンは残らない。
シャンゼリゼのテロの影響は、どこにでるのだろうか。ルペンじゃなくてメランション有利になるかもしれない。あの人が候補者の中で一番、ドゴールばりの強さを感じさせるから。それとも影響は、実際にはあまりでないかもしれない(テロ慣れしてきてるから)。でも投票直前に、亡くなった警官をいたむ国のセレモニーか・・・。行うのは当然なんだけど・・・。うーん・・・。
ただこれは個人的な意見だけど、もし私に投票権があったなら、「あんな犯人や集団に、自分たちの国の最も大事な選挙・大統領選に影響を与えることができるなんて思われたくない。うぬぼれるな」と思い、彼らのテロは無視して、本当に自分の生活や国の問題解決、そして未来のために良いと思える候補者を選んで、投票を決めると思う。「テロは卑劣ではあるが、テロを起こしたくなるようなことを、フランスは外国で散々やってきた」のはわかっている。それでも、毅然としていたいと思うだろう。
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フランス大統領選。今年の欧州、独断予想(ルペン氏は第1回投票で落選)
https://euandjapan.blog.ss-blog.jp/2017-04-15
すっかりご無沙汰してしまいました。生きております。全然更新できなくてすみませんでした。もうすぐフランス大統領選です。ここで私が数ヶ月も前から言っている、独断予想を言ってみたいと思います。マリーヌ・ルペン(国民戦線FN・極右と言われる)は、決選投票に行くことはありません。第1回目の投票で、上位二人に入りません。あーあ、書いちゃった。勇気を出して独断を書きました(苦笑)。そもそも、ルペンが大統領になると本気で思っている人は、そんなにいるのかな。仮に決戦投票にいったとしても、決選投票で落ちる。大抵のフランス人はそう思っていると思いますが。ただし、選挙というのは水物で、あけてみないとわからないところがあるから、不安はあります。日本のマスコミは、極右台頭、EU崩壊、みたいな論調をずっとあおっています。極右が票をのばすのは確かなのですが、極右大統領が誕生するのでは、極右が政権をとるのでは、EU崩壊とはあまりにも言い過ぎです。なぜそうなるのか。決定的な理由が3つあると思います。そのうち最初の2つは、現代日本の欠陥と直に結びついていると思います。まず一つは、再三言っているように、日本のメディアは英国のメディアを見過ぎ。ル・モンドなんて「英国はフレグジット、ルペン大統領という考えにとりつかれている」と書いていますが、私も英国の新聞を見ていると、そんな印象をもちます。大半の英国メディアは、明らかにブレグジットに焦燥感を抱いています。私から見ると「どうしちゃったの?!」と思えるような、自暴自棄のような、断末魔というか、大げさですがそんな感じすら受けます。でも、英国の中にいる人には見えないし、比較対象=複眼をもっていない人にはわからないのかも。想像してください、記者の仕事を。あるEUに関連する動きや決定が、EUで起きた。最初は事実を報道します。こういうことがおきました、と。ところが、翌日あたりには「反応」「評価」を書かなければならない。反応を書く一番てっとりばやい方法は、現地メディアをみることです。ところが、現地メディアってなんだ? 28カ国もあるのに。これがフランスで起きたことなら、フランス駐在の特派員ーーおそらくフランス語ができるーーが、フランスの「複数の」メディアを見て書くでしょう。ドイツも同じ。かなり正確になります。(他の国だと、はなはだ怪しくなってくる。メディアによっては駐在員がいない、現地の言葉ができない、など)ところが「E..
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Sally
2017-04-15T18:02:13+09:00
生きております。
全然更新できなくてすみませんでした。
もうすぐフランス大統領選です。
ここで私が数ヶ月も前から言っている、独断予想を言ってみたいと思います。
マリーヌ・ルペン(国民戦線FN・極右と言われる)は、決選投票に行くことはありません。
第1回目の投票で、上位二人に入りません。
あーあ、書いちゃった。勇気を出して独断を書きました(苦笑)。
そもそも、ルペンが大統領になると本気で思っている人は、そんなにいるのかな。
仮に決戦投票にいったとしても、決選投票で落ちる。
大抵のフランス人はそう思っていると思いますが。
ただし、選挙というのは水物で、あけてみないとわからないところがあるから、不安はあります。
日本のマスコミは、極右台頭、EU崩壊、みたいな論調をずっとあおっています。
極右が票をのばすのは確かなのですが、極右大統領が誕生するのでは、極右が政権をとるのでは、EU崩壊とはあまりにも言い過ぎです。
なぜそうなるのか。決定的な理由が3つあると思います。
そのうち最初の2つは、現代日本の欠陥と直に結びついていると思います。
まず一つは、再三言っているように、日本のメディアは英国のメディアを見過ぎ。
ル・モンドなんて「英国はフレグジット、ルペン大統領という考えにとりつかれている」と書いていますが、私も英国の新聞を見ていると、そんな印象をもちます。大半の英国メディアは、明らかにブレグジットに焦燥感を抱いています。私から見ると「どうしちゃったの?!」と思えるような、自暴自棄のような、断末魔というか、大げさですがそんな感じすら受けます。でも、英国の中にいる人には見えないし、比較対象=複眼をもっていない人にはわからないのかも。
想像してください、記者の仕事を。
あるEUに関連する動きや決定が、EUで起きた。最初は事実を報道します。こういうことがおきました、と。ところが、翌日あたりには「反応」「評価」を書かなければならない。反応を書く一番てっとりばやい方法は、現地メディアをみることです。ところが、現地メディアってなんだ? 28カ国もあるのに。
これがフランスで起きたことなら、フランス駐在の特派員ーーおそらくフランス語ができるーーが、フランスの「複数の」メディアを見て書くでしょう。ドイツも同じ。かなり正確になります。
(他の国だと、はなはだ怪しくなってくる。メディアによっては駐在員がいない、現地の言葉ができない、など)
ところが「EU」というくくりだと、どうしたらいいのか。
そこで手にするのが、英語で書かれている英国の新聞、英国のメディアとなる、とある方に聞きました。
ほとんどのメディアが、ロンドンに欧州総局をおいていること、駐在員の滞在期間が短いのも問題でしょう。
私の知る範囲だと、日本人でも経済関連の人はもっと冷静で、事態を正確に見ようとしている感じがします。自分たちの利益が直撃するので、シビアな情報を入手しようとするのでしょう(そういう冷静な視点さえあるのなら、英語で情報収集は問題ないと思います。たくさんの情報や分析があります)。やっぱり日本は経済大国で、政治後進国だなあ、と思うのです。
もう一つは、これが声を大にしていいたい事なのですが、多くの日本人は左派がわからないから、欧州がわからないということです。
社会主義は欧州でうまれ、欧州大陸に深く根ざしています。20世紀には、社会主義という太い幹から共産主義がうまれ、役割を終えました。今21世紀で、社会主義から、新たな緑の党という勢力がうまれています。
これがわかっていないから、極右も政局も見誤る。極左といわれる勢力(シンザやポデモスやメランション)にいたっては、理解の外。
オランダ総選挙でも、あんなに極右は政権をとる騒いで起きながら、極右が敗北宣言をするほど負けたのは(それでも躍進しましたが)、左が強いからです。ががっと極右にふれそうになっても、欧州大陸に深く根ざした左が、ぐっと左側にひきよせるのです。
オランダの構図は、前回の英国総選挙に似ていると私は思います。英国はEU問題を単体で国民投票にかけたのでああなりましたが、今の議会は、保守党が単独過半数をとっています。保守党が与党なんて、珍しくもない。しかも単独過半数だから、安定政権です。
これは、誰も予想していなかったのです。どのメディアも。結果が出て「えええっ!びっくり!」でした。極右が勢力をのばすという予想と大きな不安があり(今のフランスみたいでしょうか)、でも左に勝機があるかもしれないという予想もあった、でも結果は保守党単独過半数。これは「極右にいかずに保守党でとどまった」とも言えるし「左の人が右によって保守党にいれた」とも言えます。
今のフランスのメランションのように、「社会党・労働党よりももっと一層左に寄る」という現象が英国に出ないのは、英国は欧州ではあるけれど、共産主義をもうんだ社会主義のふるさと・欧州大陸ではないから、むしろ米国に近い思想をもっているからでしょう。
ここでフランスです。社会主義の本家です。共産主義の本家でもあります。この選挙戦の間、フランスの左派の力をずっと見てきました。私の注目ポイントはそこでした。そこでこの独断予想となったのです。ルペンが大統領になることはないのはもちろんですが、決選投票に行くこともない、と。
細かい政局の話をしますと、もっと共和党フィヨンがしっかりしていれば、話は違ったかもしれない。あのスキャンダルは、サルコジの陰謀じゃないかと思うのですが(苦笑)。あとはジュペ? 「悪くはないけど、70代(70−71歳)で大統領には年取りすぎ」と世間では思われていて、本人もそれを仕方なく受け入れていたように見えていたのだけど、トランプ大統領(70歳)の当選で、あきらめきれなくなって悔しくなったのかもしれない。共和党がこけたのは、痛い。そうじゃなければ、極右に行きそうなかなりの票が共和党に集まったでしょうに。
あとは、フランスだけではないけれど、従来の左派(フランスなら社会党、英国なら労働党)が、疲弊を起こしているように見える。時代の変化かもしれない。これは難しい問題なので、詳細はここではやめておきます
要するに問題の根本は、経済がよくなくて、失業率(特に若者)が高いこと。だから以前は「もっと働いてもっと稼ごう」といったサルコジ大統領(中道右派・現共和党)が当選した。それがうまくいかなかったものだから、「そんなくらいなら、社会保障が手厚い社会党のほうがマシ」となって、オランド大統領が当選した。
でも、うまくいかなかった。
中道右派もダメだった、中道左派もダメだった、じゃあどうする? というのが今回の選挙なわけで。
オランド大統領がはなはだ人気がないのは、一言で言えば景気や失業率を回復させられなかったから。社会党のくせに、税金を上げようとしたり、社会保障を引き締めようとしたりしたから。移民問題で、社会主義者にあるまじき発言をしたから(ちょっと気の毒だと思いますけどね・・・)。だから社会党崩壊なんていう悪口すら出てくる。
でもね、私は彼は本当にまじめだったと思うのです。彼は国の財政立て直しを必死にやったのだと思う。それに、社会党らしい「平等」を目指した政策をたくさんやってる。同性愛者の結婚だけじゃなくて、表に目立たないような政策もたくさん。アメリカの大統領だと、人気取りばかりで、国の財政を大赤字にして平気なやつもいたけど、オランド大統領は真逆だったのです。必死にやった背景には、EUによる財政健全化のプレッシャーがあったと思う。こう書くとEUとフランスが別物みたいだけど、フランスはドイツと並んで、EUを動かしている当人ですので。でもEUと財政健全化の関連なんて、そんなことまで考えて投票する人、まずいないでしょうね。
話を元に戻して、最後3つ目の点。
私はこれも声を大にして言いたいです。
「国政選挙にEUはほとんど関係ありません」。
なぜかと言われても、そういうものなんです。
ここをほとんどの日本のメディアがわかっていないような気がします。
確かに今回は、「移民を入れるな」「国境を閉じてしまえ」という感情に訴える要素があり、それがEUに直につながっていく面はある。でもそれは、EUそのものを否定する=EUそのものを論じるとういうことには、国政選挙ではあまりならないと思う。
なぜかと言われても、そうだからとしかいいようがない。
これはもう、現地感覚でそう思うとしか言えない。
もちろん、どの候補者もEUに関して自分の方針を掲げていますけどね。
結局、市民は、自分の生活が一番大事。自分が払う税金、景気、失業、そして社会保障(さまざまな手当て、保険、年金など)の問題が一番大事なのです。日本人も同じでしょう。それはEUに結び付きにくい話なんです。遠すぎて。実際これらの課題がEUに関係あるかというと、あまりないかも。それはみーんなわかっているのです。
だから、この前の主要5人のテレビ討論会でも(討論になってなかったけど)、EUの話題なんてほとんどでなかった。
日本だってそうでしょう。日本の市民が、日米同盟に関する問題を一番に考えて投票しますかね? 沖縄の人ならアメリカの基地問題があるから別でしょうけれど。震災問題・原発問題すら、起こった直後はともかく、遠い地域の人には「関係ない」となってしまう。東日本大震災は、西の人には関係ない。阪神淡路大震災は、東の人には関係ない。当然、投票行動に影響を与えることは、あまりない。そんなものです。ある意味、平和なんです。
前から言っているけど、国民戦線FNというのは、批判票を集める役割でした。なのに今回は、まるで当選してもおかしくないかのような、メインの役者として扱われている。ここがポイント。どこまでがただの批判票で、どこまでが本気か。
本気でルペンに大統領になってもらいたいと思っている人は、あまりいないと思う。あの党は、基本的に否定することが能だから。あれをやめます、これをやめますという否定だけで本当に国政ができるのか。「フランス第一」。耳には心地よく響きます。でも、「フランス第一」といいさえすれば、職がうまれて失業者が減るのか。暮らしが良くなるのか。あの人に、あの党に、大政党(共和党・社会党)すらできなかったことが、本当にできるのか。その点メランションはーーあの人も否定が多いけどーー彼には思想があるけどね。
(だから英国独立党のファラージュは、EUに払う金さえなくなれば、英国の社会保障が充実すると、国民投票時に大キャンペーンを張ったのですよ。大ウソだったことが選挙後にわかり、本人も数字のウソを認めましたが。実に上手なトリックでした)。
つまり、もし「ルペンに投票して、思いっきり批判票をいれてやれ。どうせ決選投票に行っても大統領になるわけじゃないし」と思う人が多ければ、ルペンは上位2人に入り、決選投票にいく。もし「この趨勢で、うっかり勢いで間違ってルペンが大統領にでもなったら困る。今回は安易な批判票をいれておくのはやめとこう」と思う人が多ければ、ルペンは第1回投票で落ちる。
ここは予想のしどころで、私は後者じゃないかと思っているんですけどね。
結局、ヨーロッパは平和で豊かということです。
経済は悪いけど、本気で極右に入れるほどには悪くない。
そして、社会保証が手厚いので、極右になどならなくても、しっかり生きていける。
社会保障が手厚いのは、欧州大陸が社会主義のふるさとだからです。ここがアメリカと違います。
あ・の・経済危機に陥って、銀行ATMの前に長い行列をつくったギリシャですら、極右はうまれなかった。うまれたのは極左でした。逆に、ブレグジット直後にあったスペインの総選挙で、極左ポデモスが大幅に票を伸ばすと言われていたのに、ふたを開けてみたら、かなりの苦戦の伸び悩み。拍子抜け。ブレグジットを現実に目の当たりにして、「ああなってはマズイ」と、みんな我に返ったと言われておりますが(そういえばここでも事前予想が当たらなかったな。ここも政権与党が結局勝利したし、オランダと似ているかも)。
ポデモスはEUを批判ばかりしていて、私にはEUをスケープゴートにしているように見えていましたが(ギリシャのシンザと同じで、本気で出る意気地はないのかも?!)、「やっぱりそうだったのか。市民は批判票としてポデモスを支持していたのかな。市民の方がずっと賢いな」と思ったものでした。
私は、ドイツの総選挙も終わって今年が終わる頃には、「欧州は、確かに極右は票をのばしたものの、各国の政権を見渡すと、極右にふれるどころか、全体的には中道右派で現状維持か、あるいは、むしろ前よりも左に寄った」という結果になるんじゃないかと予想しております。
独断予想でした。
外れたらすみません。
追伸:
テロの問題を付け加えます。1年位前、私は「選挙の前に大きなテロさえ起こらなければ」という条件付きで、「極右が政権をとることはない」と書いたことがあります。でも、最近では、その条件すら自分で疑問視する気になっています。なんというか、テロ慣れしちゃったというのか。欧州のあちこちでテロが起きていて、どういう犯人か詳細が報道されます。たくさんのケースを知ってきた中で、「テロを完全に防ぐことなんて無理」と、つくづく思います。「移民が来るからテロが起きる」「大勢流れてきた移民の中にテロリストが混ざっていた」と極右は叫びたがりますが、いやいやそうじゃないでしょ、もう既に住んでいる人がテロを起こしていることが多いよね、国籍もっている人すら結構いるよね、最初から危険人物だったわけじゃない人も多いよね、と。社会に深く根ざした問題で、叫べば簡単に解決できるような問題じゃないと、誰もが感じていると思う。既にすんでいる市民を、宗教や肌の色、親や本人の出身国で排除すれば、ナチスになっちゃうし。
一方で、現実に、あのすさまじい移民の流れが、ある程度とまったことは、やはり大きい。ちょっとほっとしたというか・・・。トルコのおかげでもある(気の毒なトルコ。高い代償になりそう。エルドアン大統領、いま大問題になってますけどね)。それに、欧州の警察や治安当局も、必死でテロを防ごうと頑張っている。ルーブル美術館の入館警備は厳しくなり、エッフェル塔にも新たな警備が敷かれた。「よほどシンボリックな場所で、大勢の人が亡くなるテロさえ起きなければ」と私ですら思う。本当に治安当局はよくやっていると思う。それでも完全に防ぐことはほぼ不可能だけど・・・。「その場所にいさえしなけば大丈夫」と、もはや開き直りもしているけど、実際にそうでもある。交通事故にあう確率より低いだろう、と。
あと、日本のマスコミ批判ばかり書いていますが、世論調査でずっとルペンがトップに来ているので、日本のマスコミが「極右が政権をとるのか?!」と騒ぐのは仕方がない気もします。でも、世論調査って当たらないのよ。私がはっきり自覚したのは英国総選挙からですが、その後、フランスの地方選挙、ブレグジット、スペイン総選挙、アメリカ大統領選、オランダ総選挙と、もののみごとにすべて予測が外れています。世論調査の方法が悪いのかもしれませんが(時代遅れ?)、時代が大きく変革しようとしている、大きくうねっているのかなとも思います。
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新年のごあいさつ
https://euandjapan.blog.ss-blog.jp/2017-01-06
新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。前から「別の形で新しく欧州連合に関するページをつくりたい」と話していましたが、ある所と契約が結べることが決まりました。先日、先方より合格(?)の知らせを頂戴しました。今月中には始めたいと思います。その際は、またここでお知らせさせていただきます。こちらのブログは、正式な記事では描きにくい部分を書く場所として続けていきたいです。今年は欧州の試練の年です。私はある新聞の原稿に「テロさえ防げれば、欧州はもちこたえられるのではないか」という内容を書きましたが、12月にベルリンでテロが起きてしまいました。ただ、ドイツの連邦選挙まではまだかなり時間があります。もしこのまま大きなテロが起きなれければ、フランスでFNの大統領が誕生することはないと私は思っています。マスコミは好きに騒ぎますけどね。それから、今年はロシア革命100年の記念の年です。新年には、ロシア革命を特集した雑誌や、ムック(のようなもの)が店頭に並びました。ソ連の体制は破壊しましたが、社会主義から生まれた共産主義は偉大な思想でした、、、といっても、社会主義的な左派思想も政党も壊滅状態の日本では、ピンとこないのでしょうね。。。欧州大陸と日本(や米英)と何が一番違うかと聞かれたら、私はこの「社会主義思想の根付き方」を真っ先にあげます。社会主義思想のふるさと、パリにいるからよけいにそう思うのかもしれませんね。ヘミングウェイは言いました。"If you are lucky enough to have lived in Paris as a young man, then wherever you go for the rest of your life, it stays with you, for Paris is a movable feast."もしあなたが幸運にも若者としてパリに滞在したのなら、残りの人生をどこにいようとも、パリはあなたと共にある。なぜならパリは移動祝祭日だからだ。私は若者じゃないし、作家でもない。私の気持ちはパリを「移動祝祭日」ととらえた感覚とちょっと違います。でも、ヘミングウェイの気持ちはとてもよくわかります。でも私はいまパリに住んでいるので、パリを去ったなら「移動祝祭日」ととらえたこの作家の感覚を理解するようになるかもしれません。最近思うのです。どうして英国が欧州連合を去った..
未分類
Sally
2017-01-06T22:40:20+09:00
今年もよろしくお願いいたします。
前から「別の形で新しく欧州連合に関するページをつくりたい」と話していましたが、ある所と契約が結べることが決まりました。先日、先方より合格(?)の知らせを頂戴しました。
今月中には始めたいと思います。その際は、またここでお知らせさせていただきます。
こちらのブログは、正式な記事では描きにくい部分を書く場所として続けていきたいです。
今年は欧州の試練の年です。私はある新聞の原稿に「テロさえ防げれば、欧州はもちこたえられるのではないか」という内容を書きましたが、12月にベルリンでテロが起きてしまいました。
ただ、ドイツの連邦選挙まではまだかなり時間があります。もしこのまま大きなテロが起きなれければ、フランスでFNの大統領が誕生することはないと私は思っています。マスコミは好きに騒ぎますけどね。
それから、今年はロシア革命100年の記念の年です。
新年には、ロシア革命を特集した雑誌や、ムック(のようなもの)が店頭に並びました。
ソ連の体制は破壊しましたが、社会主義から生まれた共産主義は偉大な思想でした、、、といっても、社会主義的な左派思想も政党も壊滅状態の日本では、ピンとこないのでしょうね。。。欧州大陸と日本(や米英)と何が一番違うかと聞かれたら、私はこの「社会主義思想の根付き方」を真っ先にあげます。社会主義思想のふるさと、パリにいるからよけいにそう思うのかもしれませんね。
ヘミングウェイは言いました。"If you are lucky enough to have lived in Paris as a young man, then wherever you go for the rest of your life, it stays with you, for Paris is a movable feast."
もしあなたが幸運にも若者としてパリに滞在したのなら、残りの人生をどこにいようとも、パリはあなたと共にある。なぜならパリは移動祝祭日だからだ。
私は若者じゃないし、作家でもない。私の気持ちはパリを「移動祝祭日」ととらえた感覚とちょっと違います。でも、ヘミングウェイの気持ちはとてもよくわかります。
でも私はいまパリに住んでいるので、パリを去ったなら「移動祝祭日」ととらえたこの作家の感覚を理解するようになるかもしれません。
最近思うのです。どうして英国が欧州連合を去ったのか。
欧州連合そのものが、左派思想によって建設されているものであり、それは英国には本質的になじまないのものなのだと。
ただ、英国における左派思想は階級とともにあったけれど、その階級制度は急速にくずれつつある。くずれはじめたのは、ブレア政権からと言えると思います。
英国社会における100年単位の変化=本質の変化が本格的に始まるのは、いまの20代が社会で活躍しはじめるころかもしれない。その変化を語るのに、欧州連合の存在は欠かせないであろう、と。
アメリカも変わるが、それは想像できる範囲にすぎないだろう。
中国やインドの変化は巨大で想像しにくいが、やはり100年単位で見た場合、後進国における進化の方向性はある程度予想ができるのではと思う(中国は一つの国でいられなくなるかもしれないが)。
この世界の一番新しい実験は、やはり欧州連合だと私は思います。
アラブ世界の変革は、欧州を抜きに語れない。ロシアも同様(アフリカも)。それはアメリカや中国に大きな影響を与えていく。
日本の立場も、欧州を見ることなしに考えることはできない。
そして私が一番知りたいのは、日々変わる国際情勢とはちょっと違う。それは知るべきことであり、知りたいことを知るための不可欠な手段。何よりも私は、人間の思想や世界のあり方、文明がどう変わっていくのかが、一番知りたいのだと思う。
とりとめのない話になってしまいましたが、今年もよろしくお願いします。
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よいお年を
https://euandjapan.blog.ss-blog.jp/2016-12-31
もう2016年も終わり。1年があっという間に過ぎていきます。いま、年明け早々にテストがある科目の勉強をしています。ここ最近ずっとこればっかりやってます。「領土の統合」(英語だと Territorial cohesion)という科目なのですが。・・・いやあ、面白い。私は欧州連合のことを「一番大事なのは、始終集まって顔突き合わせて話していること。それが一つの欧州を目指す、もっとも重要な行為」とこのブログに何回か書いています。今度から「最も重要」の項目に「領土の統合政策」を入れたいと思います。日本のメディアでこれが取り上げられることは、おそらく決してないでしょう。日本に限りません。裏方にすら見える、地味な仕事ですから。でもEUの予算も最も使っているこの政策、この地道な仕事こそがEUをつくっているのだと感じ入りました。そういえば去年の今頃は、ブリュッセル訪問の実現のために、最後の追い込みをしていたんだっけ。訪問先なかに地域委員会の訪問もありました。初日の1番目の訪問先でした(ていうか、私が予約とって組んだんだけど)。ああ、1年はあっという間。来年はどんな年になるのでしょう。いまひとつ結果を待っていることがあるので、うまくいくといいのですがみなさんも来年がすばらしい年になりますように。よいお年を。
未分類
Sally
2016-12-31T11:38:19+09:00
1年があっという間に過ぎていきます。
いま、年明け早々にテストがある科目の勉強をしています。ここ最近ずっとこればっかりやってます。「領土の統合」(英語だと Territorial cohesion)という科目なのですが。
・・・いやあ、面白い。
私は欧州連合のことを「一番大事なのは、始終集まって顔突き合わせて話していること。それが一つの欧州を目指す、もっとも重要な行為」とこのブログに何回か書いています。今度から「最も重要」の項目に「領土の統合政策」を入れたいと思います。日本のメディアでこれが取り上げられることは、おそらく決してないでしょう。日本に限りません。裏方にすら見える、地味な仕事ですから。でもEUの予算も最も使っているこの政策、この地道な仕事こそがEUをつくっているのだと感じ入りました。
そういえば去年の今頃は、ブリュッセル訪問の実現のために、最後の追い込みをしていたんだっけ。訪問先なかに地域委員会の訪問もありました。初日の1番目の訪問先でした(ていうか、私が予約とって組んだんだけど)。
ああ、1年はあっという間。
来年はどんな年になるのでしょう。
いまひとつ結果を待っていることがあるので、うまくいくといいのですが
みなさんも来年がすばらしい年になりますように。
よいお年を。
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日本人留学生が行方不明の事件とEU逮捕状
https://euandjapan.blog.ss-blog.jp/2016-12-29
いま、ブザンソンで日本人の留学生が行方不明になったことが報道されています。一刻もはやく、犯人と被害者をみつけてほしいですが・・・。なぜこのブログで取り上げるかというと、フランス警察の情報収集があまりにも素早く、恐るべしEU、と思ったからです。現地新聞の記事等の報道をもとに時系列を書きますと。12月4日 被害者の女性がダンス教室からいったん寮に戻る。郊外のレストランで男性と夜ご飯。その後二人で寮に戻った。監視カメラで判明。これが友達が見た彼女の最後の姿。5日 警察によると犯行はこの日。犯人はフランスを電車で去る。(犯人は本人を装って、たどたどしいフランス語で「領事館にいってくる」というメッセージを友達や学校に送る)7日 犯人はこの日に、欧州を飛行機で出国して「別の大陸」に向かったという。12日 被害者の近しい者が警察に届ける。「成人の行方不明」の手続きがとられる。15日 検察がブザンソン司法警察に捜査室を付託する。大学寮の部屋が封印される。(あまり訳に自信がないのですが、正式に事件とみなされて捜査班がつくられたという意味ではないかと思います)19日 目撃者探しが始まる。23日 司法警察は正式に犯罪と認定。26日 正式に国際逮捕状が発効。私の記憶では、警察が被害者はもう死亡しているとはっきり言ったことが報道されたのは、23日である。12日から23日までのたったの11日間で、フランスの警察は、彼女が死亡している証拠をつかみ、犯人の犯行後の足取りをつかんでいたのだ。報道されているとおり、フランスからは電車(列車)で出国、欧州の国をあちこちいった後、3日後に別の大陸へ飛行機で移動。(犯行前の足取りをつかむために、ブザンソンのホテルの聞き込みなどは、同時並行して進められていたようだ)。残念ながら報道されていないが、国際指名手配だけじゃなくて、EU指名手配というものもある。これはーー投獄刑が確定している懲役刑か、最低4ヶ月の安全措置機関がもうけられる懲役刑のときーー投獄刑となる違法行為か、最低1年とみなされる安全措置機関もうけられる違法行為のときだそうです。刑法にまったく詳しくないもので、訳がしょうもなくてすみません。1件スリを犯したくらいでは、出ないということでしょうか。2012年には、1万450件のEU逮捕状が出され、5840人がみつかったそうです。すごい、検挙率が50パーセントを超えてますよ・・・。2012年までの記録で..
未分類
Sally
2016-12-29T04:50:56+09:00
一刻もはやく、犯人と被害者をみつけてほしいですが・・・。
なぜこのブログで取り上げるかというと、フランス警察の情報収集があまりにも素早く、恐るべしEU、と思ったからです。
現地新聞の記事等の報道をもとに時系列を書きますと。
12月4日 被害者の女性がダンス教室からいったん寮に戻る。郊外のレストランで男性と夜ご飯。その後二人で寮に戻った。監視カメラで判明。これが友達が見た彼女の最後の姿。
5日 警察によると犯行はこの日。犯人はフランスを電車で去る。
(犯人は本人を装って、たどたどしいフランス語で「領事館にいってくる」というメッセージを友達や学校に送る)
7日 犯人はこの日に、欧州を飛行機で出国して「別の大陸」に向かったという。
12日 被害者の近しい者が警察に届ける。「成人の行方不明」の手続きがとられる。
15日 検察がブザンソン司法警察に捜査室を付託する。大学寮の部屋が封印される。
(あまり訳に自信がないのですが、正式に事件とみなされて捜査班がつくられたという意味ではないかと思います)
19日 目撃者探しが始まる。
23日 司法警察は正式に犯罪と認定。
26日 正式に国際逮捕状が発効。
私の記憶では、警察が被害者はもう死亡しているとはっきり言ったことが報道されたのは、23日である。12日から23日までのたったの11日間で、フランスの警察は、彼女が死亡している証拠をつかみ、犯人の犯行後の足取りをつかんでいたのだ。報道されているとおり、フランスからは電車(列車)で出国、欧州の国をあちこちいった後、3日後に別の大陸へ飛行機で移動。
(犯行前の足取りをつかむために、ブザンソンのホテルの聞き込みなどは、同時並行して進められていたようだ)。
残念ながら報道されていないが、国際指名手配だけじゃなくて、EU指名手配というものもある。
これは
ーー投獄刑が確定している懲役刑か、最低4ヶ月の安全措置機関がもうけられる懲役刑のとき
ーー投獄刑となる違法行為か、最低1年とみなされる安全措置機関もうけられる違法行為のとき
だそうです。
刑法にまったく詳しくないもので、訳がしょうもなくてすみません。
1件スリを犯したくらいでは、出ないということでしょうか。
2012年には、1万450件のEU逮捕状が出され、5840人がみつかったそうです。すごい、検挙率が50パーセントを超えてますよ・・・。2012年までの記録では、2009年の1万5800件が最多数とのこと。
いや本当にすごい、すごい速さ。。。と思ったのです。11日間のわけがない、実際はもっと短いはず。
テレビ朝日は「犯人はアメリカ大陸(北南)の出身」と報道しましたが、フランスではその報道はありません。他局もまだ言っていないようです。いまやネットでまわる情報の速さ(正しいか間違っているかは別問題)がすごすぎるので、信頼がもてる情報源からの発信は大事かとは思いました。
実は私は第一報を見たときから、もしかしたらそこの出身じゃないかと思っていたんです。いろいろ考えていくと西欧人でもおかしくない。西欧に初めて来た人という感じがしないし、むしろ西欧人のほうが簡単な説明ができるような感じもしたのですが、どうしても西欧人という感じがしなかった。なぜ私はそう思ったのだろう・・・と後で考えてみました。
犯人は「時計職人のような緻密さ」で、計画的に動いていたという。
犯人はシェンゲン協定のために欧州に国境検査がないのを知っていた。なのに国を転々と変えれば、目くらましがかけられると思っていた。そんな行為、まったく無駄だったのに。伝統的な国単位で考えるこの感覚。私はこの点がヨーロッパ人らしくないと、無意識に違和感をもったのはではないだろうか。
私はEUの警察機構なんてほとんど全く知らないが、EUシェンゲン内の国を転々とすれば目くらましがかけられる、なんていう感覚をあまりもっていないのだーーということに初めて気づいた。今まで自覚がなかった。これは私が、国境を意識せずにつながっているこんにちの欧州大陸に住んで、無意識に体得していたものだ。
実際は前述のように、1万人以上の人が欧州内を逃げ回ったようだ。でも考えてみれば少ないかもしれない。意外と自分の国にいるほうが目立たなくて隠れやすいのかもしれない。
「移民やテロリストが国境なく勝手にやってくるから、もう嫌だ」という気持ちが高まっている人は多い。気持ちはわかる。でも、冷静に考えると意外とそうでもないのかもしれない。
国境がなくなった分、EU内の警察の連携は密であり、あっというまに足がついてしまう。
この前のベルリンのテロも、19日に起きて23日にはミラノで犯人が射殺された。たったの4日。あの時もはやいとは思ったが、テロなので全総力を挙げたにちがいないと漠然と思っていた。でも今回の事件はそういうわけではない。それなのにこの速さ。
昔は、「外国に脱出するのは大変だが、一度出てしまえばつかまりにくい」という考えだったかもしれないが、少なくとも今のEUは「EUシェンゲン内の外国に脱出するのは国内を移動するように簡単だが、外国だと思って移動すればするほど足がつきやすい」「EU内は外国にいようとも国内にいるかのように全部筒抜け」のかもしれない、と思いました。
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イタリアの国民投票について言いたい
https://euandjapan.blog.ss-blog.jp/2016-12-05
相変わらず勉強に仕事に忙殺されています。でも、前にお話しした「別の形でEUの記事を書く」という目標に向けて、着実に進めています。さて、イタリアの国民投票について、ちょっと書きたいです。ネットで見られる日本のニュースは、なんだか核心の周辺ばかり報道している感じがするので。報道されているとおり、これは「上院の改革」を問う国民投票です。日本では「衆議院の優越」という一文が、さらっと憲法に記されています。つまり、衆議院(下院)と参議院(上院)で異なる決議になった場合、衆議院の議決が法律になるというものです。(日本人が自分たちで痛みを伴って結論に至った条文じゃないけど、優れたものを与えられたのだなと、今回イタリアを見ていて思いました)。ところがイタリアでは二つの院は同等の権力をもっており、異なる議決が出ると、結局内閣がつぶれることになるのだそうです。イタリアでは日本みたいにころころ内閣が変わりますが、このためだそうです。国政の停滞や、政治の不安定化は避けられません。詳しいところは、イタリア政治の専門家に聞きたいですけど。(ちょっと古いですが参考記事。http://euandjapan.blog.so-net.ne.jp/2014-04-01 )じゃあなぜ同等の権利をもっているのか。それは、イタリアの上院は地方の権力を代弁しているからです。上院=地方権力の府 なんです。ご存知のように、イタリアはかつて、たくさんの国家(都市国家)に分かれていました。それだけ豊かな、世界の先進地域だった。地理的には、海とアルプス山脈に守られていたというのもあるでしょう。ところがフランス革命で国民国家がうまれ、ナポレオンにイタリア半島をほぼ占領され、ほぼ統一された。その結果、ウイーン体制ののち、イタリア統一戦争が起き、イタリアはサルデーニャ王のもとに統一されました。1861年のことです。まだ1世紀半しか経っていない。日本では信長の時代は1500年代ですから、300年の違いがあると言うとわかりやすいでしょうか。私が読んだ日本の記事のなかで、参考になった部分があったのは日経のもの。引用しますと。「当初から反対派が多いとみられた南部に加え、賛成派優勢とされた北部でも反対派が票数を伸ばした。有権者が景気回復の鈍さに不満を抱えたことに加え、改憲で下院と首相が強くなりすぎることを不安視したとみられる。伊憲法は過去に独裁者ムッソリーニが台頭した反省から、権力の..
未分類
Sally
2016-12-05T22:06:59+09:00
相変わらず勉強に仕事に忙殺されています。
でも、前にお話しした「別の形でEUの記事を書く」という目標に向けて、着実に進めています。
さて、イタリアの国民投票について、ちょっと書きたいです。
ネットで見られる日本のニュースは、なんだか核心の周辺ばかり報道している感じがするので。
報道されているとおり、これは「上院の改革」を問う国民投票です。
日本では「衆議院の優越」という一文が、さらっと憲法に記されています。
つまり、衆議院(下院)と参議院(上院)で異なる決議になった場合、衆議院の議決が法律になるというものです。
(日本人が自分たちで痛みを伴って結論に至った条文じゃないけど、優れたものを与えられたのだなと、今回イタリアを見ていて思いました)。
ところがイタリアでは二つの院は同等の権力をもっており、異なる議決が出ると、結局内閣がつぶれることになるのだそうです。イタリアでは日本みたいにころころ内閣が変わりますが、このためだそうです。国政の停滞や、政治の不安定化は避けられません。詳しいところは、イタリア政治の専門家に聞きたいですけど。
(ちょっと古いですが参考記事。http://euandjapan.blog.so-net.ne.jp/2014-04-01 )
じゃあなぜ同等の権利をもっているのか。
それは、イタリアの上院は地方の権力を代弁しているからです。
上院=地方権力の府 なんです。
ご存知のように、イタリアはかつて、たくさんの国家(都市国家)に分かれていました。
それだけ豊かな、世界の先進地域だった。
地理的には、海とアルプス山脈に守られていたというのもあるでしょう。
ところがフランス革命で国民国家がうまれ、ナポレオンにイタリア半島をほぼ占領され、ほぼ統一された。その結果、ウイーン体制ののち、イタリア統一戦争が起き、イタリアはサルデーニャ王のもとに統一されました。1861年のことです。まだ1世紀半しか経っていない。日本では信長の時代は1500年代ですから、300年の違いがあると言うとわかりやすいでしょうか。
私が読んだ日本の記事のなかで、参考になった部分があったのは日経のもの。
引用しますと。
「当初から反対派が多いとみられた南部に加え、賛成派優勢とされた北部でも反対派が票数を伸ばした。有権者が景気回復の鈍さに不満を抱えたことに加え、改憲で下院と首相が強くなりすぎることを不安視したとみられる。伊憲法は過去に独裁者ムッソリーニが台頭した反省から、権力の分散を重視した経緯がある。」
なるほど。ムッソリーニ台頭の反省。南部で反対派が多いと。
「権力の分散を重視」は、それがもともとイタリアの体質に歴史的になじんでいるからでしょう。フランスなどは歴史=中央集権といえますが、イタリアは中央集権の歴史がとても浅い国です。
だからこの国民投票は本質的に、中央権力 VS 地方権力 の対立なんです。
頼むから、そこをちゃんとニュースで言ってください。
すべての国民投票は、現政権への信任投票といった側面をもつのは事実です。でも、現政権の不満だとか、EUへの影響とか、株価がどうとか、そんなものは付属的なことです。核心の周辺です。
そういう内容も大事だし、日本に影響する内容を報道するのは当然ですが、ちゃんと本質を説明してからにしてください。
イタリア人をバカにしてます?
例えば日本で憲法9条改正を国民投票で問うとして、そりゃ現政権への不満だの、アメリカべったりへの不満だのといった批判は出るでしょうが、みんなそれぞれ真剣に「平和憲法をこのままにするべきか否か」「改憲は自分たちや子供たちの未来のために有益なのか」と考えるでしょう? 首相がクビをかけても改革が必要だといって行われた国民投票ですよ?
たぶん、イタリア語ができるイタリア常駐の特派員が、日本のメディアにはほとんどいないせいだと思います。英国発あたりの英語情報を読んで書いているんじゃないですかね。せめて、ドイツ語やフランス語などの大陸ヨーロッパ言語から情報を得ていれば全然違ったでしょうに。あるいは日本人のイタリア研究者や専門家に聞いて書けばいいのに。数は少ないけどちゃんといます。
この国民投票は、本質的では国内問題であり、内政改革であり、構造改革の問題だと私は思ってます。
もちろん、EUへの影響は必至ですけどね。欧州情勢が不安定になるということが一番の問題でしょう。ただ、それは結果的にレンツィ政権が終わるから起こるという問題。くどいようですが、この国民投票の本質は、国内の構造改革問題です。
ヨーロッパ各国から見ると、EUが不安定になるというのが一番自分の国の利害に関わるので、大きく報道されるわけです(もっとも英国に至っては、喜んで騒ぎたてているだけかもしれませんが・・・)。そこだけ日本に移して報道しても、偏るだけじゃないでしょうか。
ダイレクトに五つ星運動などを利するとは考えにくいです。彼らは自分たちの大勝利と派手に宣伝しているようですけど。確かに五つ星運動は反EUで、例によって現政権を批判するのにEUをスケープゴートに使っています。ああ複雑。でも、英国が国民投票でEU離脱を決定したからといって、イコール、UKIPが英国で政権をとるにはならないでしょう? それと同じです。
私の学友のイタリア人二人は、両方ともNOでした。一人はトリノ出身、もう一人はナポリ近郊出身ですが。私が「変革しようとしているのに妨げるのは、保守派じゃないの」といったら「レンツィ首相と同じことを言うな!」と糾弾されました(笑)。
こういうふうに地方権力が強いままでいたいという欧州各地域の願望は、スコットランドやカタルーニャのことを考えあわせると、とても面白いです。彼らは独立してEU加盟国になりたがってますが。結局、EUが築いた大きな平和があるからだと私は思うのですが、当のヨーロッパ人がそれに自覚的ではなく、地方勢力の中には逆に「政権がEUを見すぎる。そのせいで地方がおろそかになる」とEUを批判する傾向も一方ではあるのですよね。でも後者は独立したいかというと、そういうことはないわけで。
いつものことですが、EUというスケープゴートがあってうらやましい、と思うのでした。
日本なんて何もないもんね。
全部自己責任。
中国が軍事的野心をあらわにし始めても、頼れるのはトランプのアメリカだけ。
今回のイタリアの決定を受けて、国政を犠牲にしても地方権力を温存させたいと願うなんて、イタリアもヨーロッパも平和だなあと思うのでした。
ちなみにレンツィ首相は、首相辞任のサインに、鉛筆を使って署名したそうです。ほんとかな。
この話には前フリがありまして。Piero Pelùというイタリア人歌手がFACEBOOKで「自分が投票にいったら鉛筆を渡された」と投稿、つまり暗に不正があるのではといったわけです。投稿から5時間以内で8万5000の「共有」が拡散されたとか。
レンツィ首相、小泉風の「ぶっこわし宣言」といい、若くて面白かったのにな。
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すさまじい時代に生きる
https://euandjapan.blog.ss-blog.jp/2016-10-26
今週の月曜日から、急に寒くなって、雨が降って、どんよりして・・・。ああ、パリの冬がやってくると思った。今年は例外的に暖かい日が多くて、お陽様を見る機会が多くて、精神的にはとてもよかったのだけど。1年前にテロが起きたのも、こんな日々だった。あれからニースでもテロが起きた。私の住んでいたニース、そしていま住んでいるパリ、二つの街で起きた大きなテロ。人々はもう忘れたかのように、普通の日々を過ごしている。火曜日、カレ地方のジャングル(移民村。貧民窟となっていた)の解体がはじまった。大学院のイタリア人の友達SがFBを見なくなったので、もしやと思ったら、やっぱり赴いていた。今年から私のいる大学院に入ってきて、なぜかすぐに友達になった。私は移民に関して、ウイともノンとも言えない。どちらの気持ちもわかるからだ。でも彼は、移民の人権のために闘う人だった。自分が外国に勉強に気軽に行けるように、彼らだって行きたいところに行く権利があるはずだ。彼の言うことは、私の心を揺さぶった。わかっているけど・・・踏み切れない私。それでも私は、平等のために闘う人を支援することだけはしてきた。平等、人権のための闘い。パリにはそういう人が多い。そういう人が集まってくるのだ。先生もそう。去年、「政治史」を担当した先生は、高齢で、共産主義を教えていた。今年は同じ授業で先生が変わったけど、この人はある有名な飢餓支援団体の長をやっている人。まだ40歳くらいで、教授としては若い。この人の思想にも、明らかに共産主義の影響を感じる。というよりは、共産主義は、もともとフランス革命が母体になっているのだ。革命精神というべきなのかもしれない。人間は平等だ。すべての人間には、平等に生きる権利がある、と。そういう精神を体現している人が、パリには集まってくる。そういう精神が、パリにはある。「パリで生きた人は、生涯パリを忘れることができない」とか。。。なんだかそんなセリフがあった。誰の入ったセリフだったか。もうすぐテロから1年がたつ。イスラム教徒との対立。まだまだ次から次へとやってくる移民。それでも欧州連合を勉強する人は、夢をもっている。彼らにとって、欧州連合は、一つの理想なのだ。一人ひとりにとって欧州連合とはなんなのだろう。学生は若いから、それだけで明るい。くったくがない。でも、すべてがそうであるわけではない。一人ひとり心にもつ思いがある。大陸がぶつかりあってきしめくように、文明..
未分類
Sally
2016-10-26T07:51:28+09:00
ああ、パリの冬がやってくると思った。
今年は例外的に暖かい日が多くて、お陽様を見る機会が多くて、精神的にはとてもよかったのだけど。
1年前にテロが起きたのも、こんな日々だった。
あれからニースでもテロが起きた。
私の住んでいたニース、そしていま住んでいるパリ、二つの街で起きた大きなテロ。
人々はもう忘れたかのように、普通の日々を過ごしている。
火曜日、カレ地方のジャングル(移民村。貧民窟となっていた)の解体がはじまった。
大学院のイタリア人の友達SがFBを見なくなったので、もしやと思ったら、やっぱり赴いていた。
今年から私のいる大学院に入ってきて、なぜかすぐに友達になった。
私は移民に関して、ウイともノンとも言えない。
どちらの気持ちもわかるからだ。
でも彼は、移民の人権のために闘う人だった。
自分が外国に勉強に気軽に行けるように、彼らだって行きたいところに行く権利があるはずだ。
彼の言うことは、私の心を揺さぶった。
わかっているけど・・・踏み切れない私。
それでも私は、平等のために闘う人を支援することだけはしてきた。
平等、人権のための闘い。
パリにはそういう人が多い。
そういう人が集まってくるのだ。
先生もそう。
去年、「政治史」を担当した先生は、高齢で、共産主義を教えていた。
今年は同じ授業で先生が変わったけど、この人はある有名な飢餓支援団体の長をやっている人。
まだ40歳くらいで、教授としては若い。
この人の思想にも、明らかに共産主義の影響を感じる。
というよりは、共産主義は、もともとフランス革命が母体になっているのだ。
革命精神というべきなのかもしれない。
人間は平等だ。
すべての人間には、平等に生きる権利がある、と。
そういう精神を体現している人が、パリには集まってくる。
そういう精神が、パリにはある。
「パリで生きた人は、生涯パリを忘れることができない」とか。。。
なんだかそんなセリフがあった。誰の入ったセリフだったか。
もうすぐテロから1年がたつ。
イスラム教徒との対立。
まだまだ次から次へとやってくる移民。
それでも欧州連合を勉強する人は、夢をもっている。
彼らにとって、欧州連合は、一つの理想なのだ。
一人ひとりにとって欧州連合とはなんなのだろう。
学生は若いから、それだけで明るい。くったくがない。
でも、すべてがそうであるわけではない。
一人ひとり心にもつ思いがある。
大陸がぶつかりあってきしめくように、文明がすさまじい音をたててきしんでぶつかりあっている。
闘う者もいれば、ヨーロッパの中で夢見る者もいる。
すさまじい時代に生きていると思う。
そして日本は、中国がフィリピンを使って、米日の分断をはかる作戦に気づいていない。
恐るべき自覚を迫られている日本なのに。
これが私たちにとっての「In Our Time」だと思う。
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ユンケル氏とティーマーマン氏がパリにやってきた
https://euandjapan.blog.ss-blog.jp/2016-10-11
この1週間は、EUの大物たちが講演会でパリにやってきた。先週10月6日は、ジャン=クロード・ユンケル欧州委員会委員長が、今日10月10日には、フランス・ティーマーマンス第一副委員長が、パリで講演会を開いた。前者は、日本風に言うと弁護士会が主催。シテ島にある弁護士会会館みたいなところの中にある会場で開催。全体的に、いかにも法律家って感じの年配の人か、学生(法律系?多し)の人の二極化していた。ここは会場が割と狭いのに(200人収容と言ってた)、ものすごい勢いで入場登録の希望が殺到したみたい。2回も主催者から「登録希望者が多いので、本当に来るかどうか、確認が必要です」みたいなメールが来ていたけど、完全に見落としていた。気づいたのは当日。こりゃまずい。。。と思って、当日は1時間早くいった。最初に到着の中の5人に入っており、やっぱりリストには私の名前はなかったけど、入れてくれた。こうして私は、3列目のどまんなかというところに座ったのだった。(前2列は主催者側がとってある席)後者は、メゾン・ド・ヨーロッパ・パリの主催で、彼とジャックドロール研究所所長が出演。会場はパリ4区区役所。パリ市庁舎のすぐ近くにあります。観客は、学生もいたけど、割と年配の人が多かった。色々な種類の人や国籍の人が集まっている感じで、広く広報をして人が集まった感じですかね。ユンケル氏の時とは雰囲気が違いました。どちらも録音をとったので、文字起こしして、翻訳したいと思っています。今日は感想だけ書きます。2つ大きく感じたことがありました。一つは、どちらの方もとても開けていて、気さくに話しかけやすい雰囲気を持っていたこと。ユンケル氏は、ユーモアが上手。もちろん実際は、二人とも老練な大狸なのでしょうが。1国の長というと威厳が求められたりするけど、欧州のトップというのは役割が違うのかもしれない。友達に言わせると、「実際に会う人には感じよくしなければいけないものだ」ということだ。確かに会ったことがある人に「あいつはふんぞり返っていて感じが悪い」などと思われ、かつそれをネットで流布されたら、たまらない。イメージダウンになってしまう。メディアでは一国の長として威厳があるようにふるまいつつも、実際にあったら気さく。このように使い分けるのは今の時代は当然なのかもしれない。でも使い分けとも限らないかもしれない。今時のトップというのは、オバマ大統領もそうだけど、メディアでも実物で..
未分類
Sally
2016-10-11T06:28:16+09:00
先週10月6日は、ジャン=クロード・ユンケル欧州委員会委員長が、今日10月10日には、フランス・ティーマーマンス第一副委員長が、パリで講演会を開いた。
前者は、日本風に言うと弁護士会が主催。シテ島にある弁護士会会館みたいなところの中にある会場で開催。全体的に、いかにも法律家って感じの年配の人か、学生(法律系?多し)の人の二極化していた。ここは会場が割と狭いのに(200人収容と言ってた)、ものすごい勢いで入場登録の希望が殺到したみたい。2回も主催者から「登録希望者が多いので、本当に来るかどうか、確認が必要です」みたいなメールが来ていたけど、完全に見落としていた。気づいたのは当日。こりゃまずい。。。と思って、当日は1時間早くいった。最初に到着の中の5人に入っており、やっぱりリストには私の名前はなかったけど、入れてくれた。
こうして私は、3列目のどまんなかというところに座ったのだった。(前2列は主催者側がとってある席)
後者は、メゾン・ド・ヨーロッパ・パリの主催で、彼とジャックドロール研究所所長が出演。会場はパリ4区区役所。パリ市庁舎のすぐ近くにあります。観客は、学生もいたけど、割と年配の人が多かった。色々な種類の人や国籍の人が集まっている感じで、広く広報をして人が集まった感じですかね。ユンケル氏の時とは雰囲気が違いました。
どちらも録音をとったので、文字起こしして、翻訳したいと思っています。
今日は感想だけ書きます。
2つ大きく感じたことがありました。
一つは、どちらの方もとても開けていて、気さくに話しかけやすい雰囲気を持っていたこと。ユンケル氏は、ユーモアが上手。もちろん実際は、二人とも老練な大狸なのでしょうが。1国の長というと威厳が求められたりするけど、欧州のトップというのは役割が違うのかもしれない。
友達に言わせると、「実際に会う人には感じよくしなければいけないものだ」ということだ。確かに会ったことがある人に「あいつはふんぞり返っていて感じが悪い」などと思われ、かつそれをネットで流布されたら、たまらない。イメージダウンになってしまう。メディアでは一国の長として威厳があるようにふるまいつつも、実際にあったら気さく。このように使い分けるのは今の時代は当然なのかもしれない。
でも使い分けとも限らないかもしれない。今時のトップというのは、オバマ大統領もそうだけど、メディアでも実物でも気さくなタイプが多いような気がする(会ったことないけどね)。逆というと・・・プーチン大統領?
でも、にこやかで親切でも、緊張感というか威厳のために、近づきにくい指導者もいるのではないだろうか。そのへんの会社の部長クラスでもそういう人はいるのに、欧州委員会委員長のナンバー1と2が、そういう印象をもたせないというのは、やはり特筆に値するのではないだろうか。
その2。
この二人は「一つの欧州」という理想をもっている。はっきりそう感じた。現実は違うことは百も承知であったとしても。
前にこのブログでも書いたが、英国は、ユンケル委員長が指名されようというとき、猛反対した。ユンケル氏は「連邦主義者だ」と非難され、「彼が(国民)国家というものを信じているかさえ、はなはだ怪しい」とまで言われた。そして下のほうでは、やれ親戚がナチスの協力者だの、英国に反抗的な態度を見せただの、かまびかしかった。私は「英国政府はユンケルが大物だから恐れた」と書いたことがあるけれど。
でも私は、いくらなんでも「彼が(国民)国家というものを信じているかさえ、はなはだ怪しい」というのは、言い過ぎではないかと思っていた。
でもこの1週間、二人を目の前にして直接話を聞いていた思った。
英国のインテリ保守派の批判者たちの言っていることは正しかったのだ。
彼らは知っていたのだ。
キャメロン首相が国民投票を約束しなくてはいけなかった背景には、様々な理由がある。
一番大きな理由は、UKIPの台頭だ。
首相と政府は、離脱派のつきあげをなだめ、納得させるために国民投票を約束したのだろうか。
そうだと、私には見えていた。
そう解説する論調もよくあったし、流れからみて自然な解釈だ。
でもそれだけではないのではないか、と、今回二人を見ていて思った。
首相は、政府は、決めることができなかったのではないか。
旧大英帝国としてのプライドをもった独立独歩の道。
一つの欧州を目指し、欧州の一員として生きる道。
どちらも理想にすぎない。
前者は、下り坂にある理想。
後者は、上り坂にある理想。
この2つの大きな理想、大きな思想が、拮抗して対立した。
首相と政府は、本当に決めることができなかった。
だから国民に聞いたのではないだろうか。
もし100年単位で歴史を描くとしたら、こうなるだろう。
欧州連合はどんどん深化を強めていった。
一度も統合の真のメンバーになろうとはしなかった歴史をもつ英国が、残る=深化に組み込まれていくのか、それを嫌って出るのか、国家の根本方針をせまられる事態となった。
逆に言えば、それを迫られるほどに欧州大陸の深化は進んできたのだ。
(ユンケル委員長になってから、さらに加速された)。
結果。
際立ったのは、学歴(階級)差と年齢差だった。
学歴(階級)差というのは、デマゴーグに踊らされやすいか否かということになる。
しかし今回の場合、学歴が極めて高くて年配のインテリの超保守派が存在し、彼らは離脱派だった。彼らがまったく反対の層の人々と意見が一致する現象というのは興味深い。
(極右と極左がつき進んでいったら、あらふしぎ、なんだか似てきた。。。というのに近いのかもしれない)。
でもそれよりも、年齢差のほうがいっそう興味深い。
残留・離脱の投票の分岐点は40代だ。
40代とはどういう世代か。
マーストリヒト条約が結ばれた時、20歳だった人間が、現在44歳だ。
30代以下は、欧州連合があるのが当たり前な世代。
50代以上は、欧州連合がないのが基準になっている世代。
人生80年とすると、英国の国民投票は、ちょうど真ん中、両者が拮抗する時代に行われた。
英国は離脱し、欧州大陸は、一つの欧州を固く理想とするナンバー1と2が率いていく。
大きな歴史を描く時、いまが大分岐点なのかもしれない。
(追伸。講演会が終わり、ユンケル委員長が建物から出てきて、車に乗りこもうとしていたとき、私は車のわりと近くにいた。ガードマンが人の群れに対して、道を開けていた。車に乗り込む直前、なんとユンケル委員長は私を見てにっこり笑って「さようなら」と言ったのです! 私にだけ!「良い晩を」と返しました。3列目ど真ん中に座っていたので、台上から見えていたんだろうなー。あと、アジア人がいなかったから目立っていたのでしょうね。わーい。ティーマーマン氏はサイン会もやったので、著書にサインをもらって、一緒に写真をとらさせてもらっちゃった。なんだか嬉しい)
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長くご無沙汰しております
https://euandjapan.blog.ss-blog.jp/2016-09-27
閲覧者のみなさま、たいへんご無沙汰しております。長いこと間があいてしまって、申し訳ありませんでした。9月。欧米では新年度が始まりました。日本の4月にあたります。去年は訳のわからないまま怒涛のごとく1年が過ぎてしまいましたが、今年はもっと自分と時間と環境をコントロールして行きたいと思います。仕切り直しです。欧州連合について、もう一つページをつくろうと思っています。そちらはもっとフォーマルな感じで、このブログはもっと本音を書くような感じで続けていけたらと考えています。1ヶ月以内に始められるように準備しておりますので、いましばらくお待ちいただけますと嬉しいです。パリは、例年に比べて異常に暖かい、気持ちのよい日々が続いています。普通ですともう今頃は、女性はブーツをはきだすのです(ショートブーツが多いですけど)。昼間ですと、半袖で歩いている人もいるほどです。天気がよいと気持ちもよく、新しいことを始めるパワーもわいてきます。パリのアンニュイな雰囲気は、薄暗い気候に負うことが大きいので(苦笑)、天気のよいうちにクリアにいきたいと思います。9月16日。1スロバキアのブラチスラバで、初めて英国首脳をのぞく27カ国のEU首脳会議が開かれました。ブレグジットと、アメリカ大統領選挙(TTP&TTIP問題)から始まる新年度。今後とも、よろしくお願い申し上げます。
未分類
Sally
2016-09-27T19:22:02+09:00
長いこと間があいてしまって、申し訳ありませんでした。
9月。欧米では新年度が始まりました。日本の4月にあたります。
去年は訳のわからないまま怒涛のごとく1年が過ぎてしまいましたが、今年はもっと自分と時間と環境をコントロールして行きたいと思います。仕切り直しです。
欧州連合について、もう一つページをつくろうと思っています。そちらはもっとフォーマルな感じで、このブログはもっと本音を書くような感じで続けていけたらと考えています。
1ヶ月以内に始められるように準備しておりますので、いましばらくお待ちいただけますと嬉しいです。
パリは、例年に比べて異常に暖かい、気持ちのよい日々が続いています。
普通ですともう今頃は、女性はブーツをはきだすのです(ショートブーツが多いですけど)。
昼間ですと、半袖で歩いている人もいるほどです。
天気がよいと気持ちもよく、新しいことを始めるパワーもわいてきます。
パリのアンニュイな雰囲気は、薄暗い気候に負うことが大きいので(苦笑)、天気のよいうちにクリアにいきたいと思います。
9月16日。1スロバキアのブラチスラバで、初めて英国首脳をのぞく27カ国のEU首脳会議が開かれました。
ブレグジットと、アメリカ大統領選挙(TTP&TTIP問題)から始まる新年度。
今後とも、よろしくお願い申し上げます。
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ボリス・ジョンソンの悲哀のものがたり
https://euandjapan.blog.ss-blog.jp/2016-07-06
あのボリスという人は、なぜか惹かれるキャラである。もちろん、ボリス・ジョンソン。前ロンドン市長で、離脱派の象徴的存在となり、次期首相と言われていたのに、党首レースに出馬することなく、敗退した人物のことである。惹かれるのは容姿もそうなのだが、全体からにじみ出る、なんだか憎めないあの感じである。私はEUのことを書いているので、あの男が首相になってEUと有利な交渉なんて絶対に無理と固く信じている。(有利に交渉できるとしたら、いままで苦楽を共にし、離脱で憔悴しきっているキャメロン首相だけだろう)。ロンドン市長時代は、ロンドンが親EUだったせいもあると思うけど、親EUだったはずなのに、あの変節ぶり。どうしても冷ややかに見てしまう。彼が出馬断念を表明したとき、私は英国政治のバランス感覚だけではなく、奥の院というか、重厚で歴史のある深みを感じた。それは思慮深さとも言えるが、腹黒さでもあり、新しい人を簡単によせつけないものでもある。アメリカとはかなり印象が異なる。でも、ボリスは妙に気になる存在であった。なぜかみんなボリスとファーストネームで呼ぶのも気になっていた。FACEBOOKでも、人々(主に若者)がボリスを批判したりからかったりするのには、なぜか妙な「愛」があるような感じを受けていた。今回、首相レース断念をうけて、ネットに色々な記事が出て理由がわかった。以下、面白い記事を2つはっておきます。ーーつまり、この男は政治家らしくないのだ。国政政治家のキャリアも浅い。政治家らしい思慮と腹黒さが足りず、人脈も少ない。よく言えばいいやつだが、政治家としては弱いのだ。ジャーナリスト出身らしい時勢をみる頭の良さ、一般受け、サービス精神と同時に、軽薄さももっていた。だから人気があった、愛されたのだろう。これから重要なポストを得るのは間違いないようなので、今後も注目したい人物である。いまのままで変わらないうちは、「ボリス君」と呼ぶことにしようかしら。(私なんかに呼ばれたくないだろうけど・・・)。舛添前都知事と比較すると、なんだか面白い。両方ともエリートなのだが、全然ちがう。愛嬌がありすぎ(?)て追い落とされたボリス。エリート臭が強すぎて嫌われた舛添氏。どちらにも共通しているのは、脇の甘さというべきか。ーーーーーーーーーーー策におぼれた? 英次期首相を断念したボリスの道化度在英ジャーナリスト 小林恭子2016年07月01日 17時51分 読売新聞..
未分類
Sally
2016-07-06T17:22:19+09:00
もちろん、ボリス・ジョンソン。前ロンドン市長で、離脱派の象徴的存在となり、次期首相と言われていたのに、党首レースに出馬することなく、敗退した人物のことである。
惹かれるのは容姿もそうなのだが、全体からにじみ出る、なんだか憎めないあの感じである。
私はEUのことを書いているので、あの男が首相になってEUと有利な交渉なんて絶対に無理と固く信じている。(有利に交渉できるとしたら、いままで苦楽を共にし、離脱で憔悴しきっているキャメロン首相だけだろう)。ロンドン市長時代は、ロンドンが親EUだったせいもあると思うけど、親EUだったはずなのに、あの変節ぶり。どうしても冷ややかに見てしまう。
彼が出馬断念を表明したとき、私は英国政治のバランス感覚だけではなく、奥の院というか、重厚で歴史のある深みを感じた。それは思慮深さとも言えるが、腹黒さでもあり、新しい人を簡単によせつけないものでもある。アメリカとはかなり印象が異なる。
でも、ボリスは妙に気になる存在であった。なぜかみんなボリスとファーストネームで呼ぶのも気になっていた。FACEBOOKでも、人々(主に若者)がボリスを批判したりからかったりするのには、なぜか妙な「愛」があるような感じを受けていた。
今回、首相レース断念をうけて、ネットに色々な記事が出て理由がわかった。
以下、面白い記事を2つはっておきます。
ーーつまり、この男は政治家らしくないのだ。
国政政治家のキャリアも浅い。
政治家らしい思慮と腹黒さが足りず、人脈も少ない。
よく言えばいいやつだが、政治家としては弱いのだ。
ジャーナリスト出身らしい時勢をみる頭の良さ、一般受け、サービス精神と同時に、軽薄さももっていた。
だから人気があった、愛されたのだろう。
これから重要なポストを得るのは間違いないようなので、今後も注目したい人物である。
いまのままで変わらないうちは、「ボリス君」と呼ぶことにしようかしら。
(私なんかに呼ばれたくないだろうけど・・・)。
舛添前都知事と比較すると、なんだか面白い。
両方ともエリートなのだが、全然ちがう。
愛嬌がありすぎ(?)て追い落とされたボリス。
エリート臭が強すぎて嫌われた舛添氏。
どちらにも共通しているのは、脇の甘さというべきか。
ーーーーーーーーーーー
策におぼれた? 英次期首相を断念したボリスの道化度
在英ジャーナリスト 小林恭子
2016年07月01日 17時51分 読売新聞
英国の欧州連合(EU)離脱の旗振り役だったボリス・ジョンソン前ロンドン市長が6月30日、キャメロン首相の後任を決める与党・保守党の党首選に出馬しないことを発表した。ボサボサの髪形に人の心をつかむ巧みな弁舌、23日の国民投票で事前の予想を覆して離脱派が勝利したのも、この人がいたからである。国民投票後は離脱派の主張に非現実的な点があることが次々と発覚し、ジョンソン氏らには逆風が吹いていた。次期首相の座を断念したことで、ジョンソン氏の政治生命は終わってしまうのだろうか。在英ジャーナリストの小林恭子さんに寄稿してもらった。
?ファーストネームで呼ばれる男
英国では、友人、知人同士で互いをファーストネームで呼び合うが、政治家はラストネームで呼ぶのが普通だ。例えば、デービッド・キャメロン首相の場合、「キャメロン」となる。
ところが、唯一、ファーストネームで呼ばれる政治家がいる。それがジョンソン前ロンドン市長(52歳)だ。英国の流儀にならって、ここからは彼を取り上げる時は「ボリス」と書くことにしたい。
寝起きのようなぼさぼさの金髪とコロッとした体形が特徴的なボリス。その金髪の乱れ具合は公の場に出る前にわざと自分でぼさぼさにしている、とも言われる。サイクリング用ヘルメットをかぶり、自転車でロンドン市内を移動する姿はおなじみの光景だ。
2008年から今年5月までロンドン市長を務めたので、12年にロンドン五輪・パラリンピックが開かれた時は「ロンドンの顔」として世界に情報を発信した。
これまでに2回、下院議員として当選(01―08年、15年から現在)する政治家である一方で、全国紙デイリー・テレグラフの記者(1987―94年)、保守系政治雑誌「スペクテーター」のコラムニスト、編集長でもあった。現在もテレグラフをはじめ様々な媒体にコラムを寄稿している。小説を含め、数冊の本も出版した。
ジャーナリストと政治家という二足のわらじを履いてきたボリスが全国的に広く注目されるきっかけとなったのは、BBCテレビのコメディー番組で、時事ニュースを題材にクイズを行う「ハブ・アイ・ゴット・ニューズ・フォー・ユー」だった。
パネリストたちのジョークに鮮やかな切り返しを見せたかと思うと、自分がジョークのネタになるや一緒になって笑う姿を見せ、「面白いやつ」「政治家だけど、気さくだな」という印象を視聴者に与えた。
?エリートなのにエリートらしくない
ボリス・ジョンソン氏は昨年10月、ロンドン市長として来日。東京と友好都市提携を結び、舛添都知事(当時)と握手を交わした
ボリス・ジョンソン氏は昨年10月、ロンドン市長として来日。東京と友好都市提携を結び、舛添都知事(当時)と握手を交わした
ボリスは米ニューヨークで生まれた。父は欧州議会議員だった。裕福な家庭の子孫が行く名門イートン校からオックスフォード大学に進学。大学では弁論部の部長を務めた。
ボリスの2歳下で、同じくイートン校からオックスフォード大に進んだのがキャメロン首相である。政治家としての2人はライバル同士と言われてきた。
名門大学卒業後にジャーナリスト、そして政治家になったボリスはエリート層に属するが、コメディー番組に出ればジョークを言って笑わせた。
ロンドン五輪を盛り立てるためにワイヤ吊りのアトラクションに挑戦したところ、空中で宙ぶらりんになるアクシデントに遭遇し、無様な格好をさらけ出すなど、まるで「道化」のようなエピソードには事欠かない。「本当はエリートなのに、それをひけらかさない人物」という好感が年々、増幅されてきた。
?「いつかは首相」の野望を胸に
自転車の愛好者としても知られるボリス・ジョンソン氏(手前)。昨年10月に来日した際も自転車で都内に繰り出した
自転車の愛好者としても知られるボリス・ジョンソン氏(手前)。昨年10月に来日した際も自転車で都内に繰り出した
道化と言われてきたが、ボリスの最大の政治的野望は首相になることだと以前から言われてきた。
08年、ボリスはロンドン市長選に立候補する。下院議員であったが「実績らしい実績がない」という批判を打ち消す必要があった。無事に当選後は、自転車(ボリス・バイク)共有サービスを新設し、12年の五輪も成功裏に終了させた。
16年、英国でEUからの離脱か残留かの国民投票が行われることになった。ボリスが離脱運動「ボート・リーブ」に参加を決意したのは、長年の政治目標だった首相の座を狙うための第一歩になるからだったと言われた。ただし、本人はこうした見方を否定している。
本当は親欧州派だったようだ。テレグラフの記者時代にはEUの政策執行機関である欧州委員会の本部があるブリュッセルの支局員であり、2期を務めたロンドン市長時代は、国際都市ロンドンをアピールするため、文化や価値観の多様性を奨励し、移民の流入を歓迎してきた。自分自身も元はといえばトルコ系移民の子孫だ。
ライバルとなるキャメロン首相は残留運動を主導した。「離脱すれば経済に悪影響」という理由付けが国民の大きな支持を得ると信じ、国民投票にかけた。保守党内にはEU懐疑派が多い。残留派が勝てば、党内の懐疑派を黙らせることができると考えた。
逆にボリスは懐疑派を一気に味方につけ、将来の党首そして首相就任に結びつくと計算した。
?トランプ氏と一緒にされ
国民投票を前に離脱への投票を訴えるボリス・ジョンソン氏(ロンドンで、6月19日撮影)
国民投票を前に離脱への投票を訴えるボリス・ジョンソン氏(ロンドンで、6月19日撮影)
6月23日の投票日に向けて、残留派と離脱派の選挙戦は熾烈を極めた。
キャメロン首相が、離脱すると「戦争が起きるもしれない」と脅しにも近い表現を使えば、ボリスは「欧州を統合する動きはかつてヒトラーも試みた」と発言。第二次世界大戦ではナチスの侵攻によって大きな犠牲者を出した欧州諸国にとって、ナチスやヒトラーの例を持ち出した表現のインパクトは強烈だ。
議論が熱を帯びると、煽情的な表現を用いて議論をより過激な方向にもっていったのが離脱派運動で、その先頭に立ったのがボリスだった。
例えば、4月に訪英したオバマ米大統領が英国にEU残留を求める発言をすると、ボリスはこれを「内政干渉」としてはねつけた。さらに、「半分ケニア人の大統領は大英帝国に対する長年の嫌悪感を持つ」と大衆紙サンの記事の中で書いた。
オバマ大統領はケニア出身の父と米国人女性の母から生まれている。大統領の出自と英国のEU離脱の是非は何の関連もなく、人種差別的な表現ととられても仕方ない。
米国には女性軽視、人種差別的な発言を連発しながらも、大統領選で共和党の指名候補となることが確実なドナルド・トランプ氏がいる。ボリスはいつしかトランプ氏に似ていると言われるようになった。
離脱派は選挙戦中に「英国はEUに毎週3.5億ポンド払っている。この金額を医療サービスに回すべきだ」という文章を選挙バスの車体に乗せて各地を回った。ところが投票結果が出た翌日、「3.5億ポンド」が不正確な数字であることを離脱派の幹部が認めてしまった。
選挙中にも複数のメディアがこの点を指摘していたが、離脱派運動は「意に介さなない」という姿勢だった。投票結果が出た後に幹部自身が数字の不正確さを認めたことで、「嘘をつかれた」と憤る国民が続出した。
離脱派の勝利によって、これを主導したボリスの株は上がった。その一方で、ボリスの自宅周辺に集まった市民の一部が「嘘つき」などと言って罵倒する場面を報道陣が目撃している。
結果が出た後、離脱についてボリスは「英国が国の行方にコントロールを取り戻す偉大な機会」としながらも、欧州に「背を向けているわけではない」と発言。数日後には、離脱を支持した国民は残留派の国民との間に「橋をかけるべきだ」、英国とEU諸国との間にこれからも「強い協力関係が続くだろう」と述べた。選挙戦中に離脱派が見せた反EUの姿勢をかなりやわらげた表現となった。
?離脱派からも反感を買い
離脱派の勝利を受けてキャメロン首相は辞任を表明、次の保守党党首すなわち首相を選出する手続きが始まった。
ボリスは党首就任の最有力候補だった。キャメロン首相自身が「次の党首候補」として以前、名前を上げた数人のうちの一人である。
6月30日、続々と大物議員らが立候補の手続きを取ってゆく。受け付けの締め切りはこの日の正午時だ。ぎりぎりになって会見を開いたボリスは、そこであっと驚く決意を表明した。立候補すれば当選する可能性が最も高かったが、自分は立候補しないと宣言したのである。
立候補を断念した理由にはいくつかあるが、最も大きな要因は、同じく離脱派としてついこの間までともに戦ってきたマイケル・ゴーブ司法相がこの日の朝、突如立候補を表明したことだ。
ボリスには寝耳に水だった。ゴーブ氏は残留派と離脱派の間にできた「溝を埋め」、新しい政治を進めてゆくには「ボリスは指導者にふさわしくないと思うようになった」ため、自分自身が立候補をすることにしたという。
正午少し前に会見を開いたボリスの顔にはいつもと違って笑みが消えていた。奔放に乱れる金髪もきちんとなでつけられていた。
「今こそ、英国をそして社会全体を一つにするときだ」と述べたボリスは、キャメロン首相の後を引き継ぐのは「自分ではない」と断言した。
国民の道化役として多くの人に愛されたボリスだったが、最新のテレグラフのコラムでは親EUの論調がにじみ出て、一部の離脱派の反感を買ったとも言われている。過熱した選挙戦の間に、引用した数字の信憑性が低いと指摘されたり、時には人種差別とも受け取れかねない表現に走ったりして、批判を招いたこともあった。
離脱派を勝利に導いた功労者の一人であるボリスには、両派の溝を作った人物、国民を二分させた人物というイメージもついた。「ボリスには国政の大きな任務を任せられない」と結論付けたゴーブ司法相が自分の対抗馬として立候補することが分かった時、保守党内の支持を十分に得られないことをボリスは自覚し、自分自身の立候補をあきらめざるを得なくなった。
しかし、これでボリスの政治生命が終わったわけではない。「1週間先のことは分からない」という英国政治の世界。新政権ではボリスに主要閣僚のポストが提供されることは確実と言われている。
エスタブリッシュメント(政治家、大企業、大手メディアなど)に対する強い反感が離脱派の原動力となったが、エスタブリッシュメントの一部でありながら、笑いを通じて普通の国民とつながることができるボリスのパワーを既存の政治家は放っておくわけがない。なにしろ、ボリスがいれば「選挙に勝てる」のだ。
離脱後の混乱が一段落した後で、新たに首相の座を狙うのかどうか、英国政治の行方からますます目が離せなくなった。
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160701-OYT8T50043.html?page_no=1
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【英国民投票】離脱派の「顔」2人、保守党党首選に向けてなぜ「別離」
2016年07月4日
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マーク・マーデル、BBCラジオ「今週末の世界」司会
Image copyright Getty Images
Image caption マイケル・ゴーブ氏(左)とボリス・ジョンソン氏。2人の仲たがいはシェイクスピア的悲劇だったのか?
シェイクスピア悲劇との比較は、もはやありきたりだ。「ジュリアス・シーザー」や「マクベス」、ひいては「コリオレイナス」と、あまりにも似ているので。
しかし今回の政変はシェイクスピアというよりは、ハロルド・ピンターの不条理劇に近いと言えるかもしれない。
威圧的な沈黙。慇懃無礼(いんぎんぶれい)なやりとり。ひとりの男が自信を失い、それがもうひとりに流れ込む様子。そして、圧倒的な支配を求めて情け容赦なく力を追求する姿。
劇作家を志す人には、またとない題材だ。既知のことと私が取材で知った内容を合わせて、ことの顛末“保存版”をご説明する(文中敬称略)。
○23日木曜
国民投票当日。
マイケル・ゴーブ司法相とボリス・ジョンソン前ロンドン市長(現・下院議員)は演説原稿をひとつだけ用意して、床に就いたと知らされる。敗北演説の原稿だ。
○24日金曜
現地時間午前4時45分。ゴーブ邸で携帯電話が鳴る。
ゴーブ夫人のサラ・バインはデイリー・メイル紙のコラムで、夫の電話が鳴ったと書いた。
さらに、続くやり取りは次の通りだったと。
「マイケル、聞いてよ。勝ったんだよ!」
「本当か」
サラ・バインはコラムでこう書いた。「マイケルは離脱運動で目立つ立場にいた。ということはこれから1700万人への指示を彼が、私たちが、実行しなくてはならないわけだ。それはとてつもない重大責任だ」。
さらに携帯電話が狂ったように鳴り止まなくなったと。
サラ・バインはさらにこう書く。「『ドアを吹き飛ばすだけって言ったのに』と、自分としては最高の(つまり、あまり上手ではない)『Italian Job』のマイケル・ケイン物まねで私は言った。『破れてボロボロじゃないか』」。(訳注・1969年映画「Italian Job」は邦題「ミニミニ大作戦」)
ボロボロの亀裂は、デイビッド・キャメロン首相の辞任表明でさらに広がる。
首相がテレビの生中継で辞任すると発表する様子を、ボリス・ジョンソンは自宅で見ていた。数人のスタッフが周りにいた。
消息筋によると、この勝利の時こそ、すべてがおかしくなった瞬間だった。
別の内部関係者によると、ボリスはこの時、銃を突き付けられたような気分だったという。すでになかなかいい暮らしをしているのに、自分は本当に総理大臣になりたいのか?
首相の辞任表明を見ながらチーム・ボリスは、ゴーブが首相に名乗りを上げるのではないかと考えていた。ゴーブは、オズボーン財務相と話をしていたわけだし。
この後、総理大臣を目指した男は、世間に向けて何も語らなかった。
○25日土曜
場面転換。「バシッ」という音と共に、クリケットのボールを木製のバットが叩くクロースアップショットだ。なかなかお上品な場所で、なかなか楽しげなクリケットの試合に、ボリスは興じていた。
舞台は、英中部にあるスペンサー伯爵(故ダイアナ元妃の弟)の邸宅「オルソープ」だ。
ボリスはその後、自分の田舎の別邸でなかなか楽しいバーベキューに参加したらしい。
(国民投票の結果が発表された翌日、ボリス・ジョンソンはクリケットを楽しんでいた)
マイケル・ゴーブも参加し、自分たち2人はドリーム・チームだと告げた。ボリス・ジョンソンは自分が首相になれば、財務相は君だと言い、ブレグジット(EU離脱)交渉は一任すると約束した。
しかし保守党主流派は、イートン出身者はやめておこうと判断したのだろうか。
とある消息筋は私にこう言った。エリートが嫌われるこの時代に、キャメロン首相に続いてまたしても、イートン校とオックスフォード大学の出身者を党代表に選ぶのは止めておこうと、そう判断したのだと。しかもあの「ブリンドン・クラブ」の写真に一緒に写っている人間を、立て続けに選ぶのは。
(訳注――「ブリンドン・クラブ」は、オックスフォード大の上流階級や金持ち男子学生が集う社交クラブ。キャメロン首相とジョンソン議員は学生時代、同時期にブリンドン・クラブに所属し、1987年の写真に一緒に写っている)。
ということは誰かがゴーブに、不謹慎な行為をするよう、促したのだろうか?
○27日月曜
・朝
ぐるぐる回る輪転機の、ありきたりなショット挿入は止めてもらいたい。
とはいっても次の場面は、デイリー・テレグラフ紙に寄稿したボリス・ジョンソンのコラムなのだが。
「離脱に投票した人たちは主に、移民問題への不安感に突き動かされていたと言われる。私はそうは思っていない(略)英国の人たちは今後も、EUに行って働くことができる。EUで暮らし、旅行し、勉強し、家を買い、定住することができる」とジョンソンは書いた。
これが転回点だったのだろうか? これではマイケル・ゴーブにとって、緩すぎたのか? ブレグジットらしさが足りなかったのか?
とんでもない。26日午後6時の時点では、細かい修正点を指摘するほかは「とても、とても良い」とほめるメールを送っていたのだから。
・午後5時
ボリス支持の下院議員の一覧が、ゴーブに届けられる。
とある消息筋は私に、党首選の初期段階で意味があるのは数字だけだと話した。左派も右派も、老いも若きも、離脱派も残留派もともかく引き込んで、数を確保しないとだめだと。
Image copyright PA
Image caption ジョンソンとゴーブはロンドンのビクトリア駅近くに離脱運動本部を構えた
○28日火曜
・午前
場所はロンドンのパーク・レーン。 オーストラリア出身の選挙戦略の名手、サー・リントン・クロスビーの事務所で会議が開かれた。
ゴーブの若き腹心、ドミニック・カミングスの出席に、チーム・ボリスは驚く。参加させないよう、あらかじめ要求してあったからだ。
続いて、不穏な空気の最初の兆候が表れた。
サラ・バインが夫マイケル・ゴーブにあてたメールが、めぐりめぐってマスコミの手に届いたのだ。
「言いたいことはこれだけ。ボリスから具体的な言質を必ずとっておくこと。でなければ支持すると約束してはダメ」とメールには書いてあった。
「一歩も譲ってはダメ。頑固に徹するように」ともあり、さらに「詳細は後から相談すればいいけれども、言質をとっておかなくては交渉できない」と付け足してあった。
「何より、議員たちがボリス支持に回るには、今のままでは不十分だし、デイカーとマードック(デイリー・メール編集長とニューズ・インターナショナルの最高経営責任者)も直感的にボリスが嫌いだけど、あなたの能力を信じているからこそ、ボリス=ゴーブのペアを支持してくれるはず」
ルーパート・マードックはロンドンで、「マイケル・ゴーブがなれば嬉しい」と言い、「最も理念のしっかりした、最も有能な」候補だと称えた。
・午後6時
チーム・ボリスは、下院議員63人の支持を確保していると明らかにする。
○29日水曜
・午前
肝心要の1日だ。
ロンドンのビクトリア駅に近いグレイコート・プレイス10番が、ジョンソン=ゴーブ本部となる。
午後6時
チーム・ボリスは、下院議員97人の支持を「確実に」確保していると発表。
午後7時
ロンドン・ウェストミンスターで開かれた保守党議員のパーティーに、ボリス・ジョンソンが出席。
ゴーブ側から、パーティーでボリスは失態を犯し、支持を急速に失っているという情報が流れる。
(マイケル・ゴーブは、アンドレア・レッドソム・エネルギー相を副首相に推したのか? 写真はボリス・ジョンソン(左)とアンドレア・レッドソム。)
ゴーブ陣営が特筆する失態とは、保守党の期待の星、アンドレア・レッドソム・エネルギー相に、支持と引き換えに財務相の地位を約束した手紙を、ボリス・ジョンソンが忘れたことだという。
チーム・ボリスは、これはありえない馬鹿げたことだと反論する。財務相ポストはすでに、ゴーブに約束していたのだからと。
チーム・ゴーブは、レッドソムには副首相職を与えるべきだと主張する。けれどもこのやりとりから、ゴーブ側はひとつの結論を得る。
ゴーブは、ボリスは軽率で集中力が足りない、方向性を欠いたミサイルのようだと考え始める。
・午後8時
ボリス・ジョンソンとマイケル・ゴーブとデイビッド・キャメロン首相はいずれも、ロンドンのハーリンガム・クラブのパーティに出席する。
この場でさらなる深謀遠慮が繰り広げられたのだろうか? この場でマイケル・ゴーブは愛想を振りまき、策謀を重ね、支持を取り付けて回ったのだろうか?
それともロビー活動を受けているのか。あるいはうわの空で孤立しているのか。同じ場には首相もいる。言葉を交わしたのだろうか?
国民投票に向けた運動期間中の別のパーティーで、サラ・バインとキャメロン首相を目撃したという人から、次のようなやりとりがあったと聞かされた。
サラ・バインが首相に近づいて「私たち、仲良し?」と尋ねると、首相は鋭い調子で「おたくのだんなをテレビに出すな。そうすれば仲良しだ」と切り返したのだという。
このやりとりを見た人は私に、「誰もが、これにはのけぞった。周りには人が大勢いたので」と話した。
・午後10時
ボリスはチーム・ゴーブの主要人物と一緒に会場を去り、演説原稿を書きに行く。
人生で最も重要な演説、首相出馬宣言の原稿だ。
・真夜中ごろ
チーム・ゴーブのひとりは何回か電話を受けた後、断りを入れてその場を後にする。
ゴーブはオズボーン財務相と話をしようとするが、連絡がつかない。
○30日木曜
・午前8時
司法省のドミニク・ラアブ政務次官が「サン」に、ボリスの首相就任を支持する記事を寄稿。
いわく、前ロンドン市長は「ハイネケン効果」を駆使できる、「普通の政治家では届かない部分の渇きも癒せる」人物だと。
ただし政務次官は、予定されていたBBCラジオ4の番組出演をキャンセルする。
(ボリス・ジョンソンの「ハイネケン効果」に、下院議員たちは飽きてしまったのだろうか)
・午前8時
ゴーブはスタッフに正式に、自ら首相を目指すと告げる。
・午前8時35分
ジョンソン=ゴーブチームの対策本部グレイコート・プレースに報道関係者が、ゴーブが鞍替えすると電話で伝える。
「ばかばかしい」というのが反応だった。
・午前8時40分
ゴーブからの電話をサー・リントン・クロスビーが受ける。グレイコート・プレースのスタッフは、ゴーブの言葉を唖然として聞く。
「みぞおちを蹴られたみたいな、最悪の感じだった。ゴーブは野心の塊で、ボリスなしでもやれると説得されたんだ。自分が首相になれると。ただひたすら権力が目当てだ」と関係者のひとりは話す。
・午前11時25分
ボリスが記者会見に登壇する直前、少人数の側近たちは、出馬は無理だと判断する。
・午前11時50分
ボリス・ジョンソンは、保守党党首選に出馬しないと発表する。
・午後
チーム・ボリスは怒り心頭に発している。
チームのひとりは、「サン」のトム・ニュートン・ダン政治編集長にテキストメールを送り、表現豊かにゴーブを色々と呼んだ上で、「最初からこのつもりだったんだ」と書いた。
「ひどいことになる」と。
別のボリス側近は、ゴーブについて「あいつは実はシオン・グレイジョイなんだ。少なくとも、同じような目に遭わせてやる」とメールで書いた。
「ゲーム・オブ・スローンズ」をご存じない方に解説すると、ドラゴンも出てくるあの政治陰謀ドラマにおいて、シオン・グレイジョイは拷問され、去勢され、さらに拷問され、ほとんど人間ではないものに成り果ててしまう役だ。
Image copyright PA/HBO
Image caption ボリス・ジョンソンの側近は、マイケル・ゴーブ(左)を「ゲーム・オブ・スローンズ」のシオン・グレイジョイになぞらえた
政治がこれほど面白いドラマになるのは、政治とは権力欲と絶え間ない野心の物語、シニシズムと信念のバランスの物語だからだ。
政治とは、容赦ない一撃をいつ放つか、それとも今は待つかを見極める作業だ。
それと同時に政治とは、人間の人格や内面性、そして誰もが内心に抱える不安にまつわる物語でもある。
政治とは、人の自信と、愛されたいという欲求の物語でもある。
今回の政変劇では、まさにその欲求がカギとなった。
愛されたいという欲求
ボリスが離脱派に回った理由は野心だけでなく、それと同じくらい愛されたかったからだろうと、多くの人が感じている。
通りすがりのタクシー運転手が面白がるような表情で「よお、ボリス」と叫ぶのを、側近たちは手放しで喜んだ。
しかし国民投票の後、ロンドンのあちこちで罵倒されブーイングされるのを、ボリスは喜ばなかった。
ボリスの計算の上では、自分は市民に拍手されるはずだったのだ。負けた側を選んで見事に負けた、よくやったと。そして次のキャメロン内閣で主要ポストをもらい、その次にはさらに重要なポストをもらうはずだったのだ。
自分は本当に乗り気なのか、そして自分に本当にできるのか、おそらく突き詰めて考えてはいなかったのだろう。
ボリス・ジョンソンは決して社交的ではないし、下院で広く人脈や友情を築いてきたわけでもない。
エリザベス1世の時代に国家反逆罪で処刑されたエセックス伯爵のように、ボリス・ジョンソンも「かき売りのおかみさんに挨拶し、自分を称える下世話な連中に控えめなお辞儀をした」というタイプだ。
そして国のエスタブリッシュメント、つまり王宮や裁判所には、処刑の権力があるのだと、エセックス伯と同様、忘れていたのだ。
Image caption 今回の政変は「マクベス」や「ジュリアス・シーザー」といったシェイクスピア悲劇にも似ていた。左はマクベスを演じるピーター・オトゥール。右はジュリアス・シーザーの絵。
ジョンソン陣営はマイケル・ゴーブを、マキアベッリ的な権謀術数の悪役として言い立てる。野心的な妻や側近たちに駆り立てられ、組織の内側から次々と盟友を滅ぼし、不実と裏切りによって権力の柱を這い上がろうとしているのだと。
ゴーブ側は、馬鹿げたことだと一蹴する。碇のようにどっしりと物事を安定させたのは常にゴーブで、物事は常に交渉と取引によって決まるだけ、今回は単に取引がうまくいかなかっただけだと。
ゴーブとしては、自分をなぞらえるならマクベスよりはもう少し穏やかな裏切りの場面を希望するかもしれない。たとえばシェイクスピアの「ヘンリー4世」で、若きハル王子が長年の遊び仲間フォルスタッフを、幼稚すぎると遠ざけた場面のような。
あまりにあっという間のことだったと、関係者のひとりは振り返る。怒ってというより、悲しみと共に。急転直下の出来事に押されて、全員が崖から墜落してしまったのだと。
とはいうものの、怒りは確実にある。それは間違えてはならない。次の幕は必ず開く。
関係者のひとりは私にこう言った。
「これでおしまいじゃない。ゴーブにはボリスが必要だったんだ。そしてボリスはまだ口を開いていない」
http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-36700784
(英語記事 Tory leadership: Behind the scenes of Johnson-Gove drama)
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スコットランドの地鳴りが聴こえてくる。。。
https://euandjapan.blog.ss-blog.jp/2016-06-30
6月27日。英国議会の下院(または庶民院。日本の衆議院に相当)のAngus Robertson議員の演説。https://www.youtube.com/watch?v=8Oek96B96E8これと同じものを自分のFBでシェアしたら、さらにシェアする人が続いた。びっくり。次に、6月28日、欧州議会でのスコットランド人Alyn Smith議員の演説。http://www.bbc.com/news/uk-scotland-scotland-politics-36649450?SThisFB%3FSThisFB6月29日の英国議会のAngus Robertson議員とキャメロン首相のやりとり.https://www.youtube.com/watch?v=_FYEqhmYSL8翻訳は今度時間があるときにつけます。英国とEU首脳の動きは、日本でも報道されているようです。「EUとの交渉は後任に任せる」といいながら、時間稼ぎと、裏でのEUとの交渉をしたがっているであろうキャメロン首相。一方で、英国による正式な離脱通知なしには交渉には応じられないとするEU首脳。あのロンドン前市長に、EUとの交渉ができるわけがない。経験、自分がしてきた言動。全部ムリ。第一あの人、いつから反EUになったのよ。あの人の動向をずっとウオッチしていたわけではないけど、少なくともロンドン市長だったときには、親EUだったはず。保守党内も労働党内もぐちゃぐちゃです。保守党は、どちらかというと反EUと思われていたのに、国民投票を前に実際は親EUとなり、離脱となったのでもめている。逆に労働党は、親EUだったのに、支持者の実際は反EUが多かったゆえに、親EUをうちだせなかったと、離脱決定後もめている。私はもう少し、スコットランドは慎重に事を進めると思っていたのだけど。。。歴史は、一度堰を切ったら誰にもとめられないという事象を、いま目の当たりにしているのだろうか。私はコックス議員の死に関していいたい事があるのだけど、それは日本人にはあまりにもわかりにくいので、いまはもっぱらヨーロッパ人に言って反応を見ているところです。もしまとまった結果が得られたら、ここで報告します。
未分類
Sally
2016-06-30T03:56:29+09:00
https://www.youtube.com/watch?v=8Oek96B96E8
これと同じものを自分のFBでシェアしたら、さらにシェアする人が続いた。びっくり。
次に、6月28日、欧州議会でのスコットランド人Alyn Smith議員の演説。
http://www.bbc.com/news/uk-scotland-scotland-politics-36649450?SThisFB%3FSThisFB
6月29日の英国議会のAngus Robertson議員とキャメロン首相のやりとり.
https://www.youtube.com/watch?v=_FYEqhmYSL8
翻訳は今度時間があるときにつけます。
英国とEU首脳の動きは、日本でも報道されているようです。
「EUとの交渉は後任に任せる」といいながら、時間稼ぎと、裏でのEUとの交渉をしたがっているであろうキャメロン首相。一方で、英国による正式な離脱通知なしには交渉には応じられないとするEU首脳。
あのロンドン前市長に、EUとの交渉ができるわけがない。経験、自分がしてきた言動。全部ムリ。第一あの人、いつから反EUになったのよ。あの人の動向をずっとウオッチしていたわけではないけど、少なくともロンドン市長だったときには、親EUだったはず。
保守党内も労働党内もぐちゃぐちゃです。
保守党は、どちらかというと反EUと思われていたのに、国民投票を前に実際は親EUとなり、離脱となったのでもめている。逆に労働党は、親EUだったのに、支持者の実際は反EUが多かったゆえに、親EUをうちだせなかったと、離脱決定後もめている。
私はもう少し、スコットランドは慎重に事を進めると思っていたのだけど。。。歴史は、一度堰を切ったら誰にもとめられないという事象を、いま目の当たりにしているのだろうか。
私はコックス議員の死に関していいたい事があるのだけど、それは日本人にはあまりにもわかりにくいので、いまはもっぱらヨーロッパ人に言って反応を見ているところです。もしまとまった結果が得られたら、ここで報告します。
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そういえば英語はどうなる?
https://euandjapan.blog.ss-blog.jp/2016-06-28
テレグラフの記事を読んでいて、すごいことに気づいてしまった。いま、EUの中で、「自国の公用語」として英語を登録しているのは、英国しかない。実際にはアイルランドとマルタでは英語が話されているのだけど、両者はゲール語、マルタ語を公式登録している。EUでは、共通公式語はない。だから、議会では各国が自国語と登録した言語(公式言語)のすべてに通訳がつくことになっている。(実際には、全部つかないこともあるようだけど)。EUの公式文書は、すべての公式言語に訳されている。ただし、プレスリリースや報告書などは英・仏だけだったり、英・仏・独だったり、英語だけだったりすることもある英国が脱退となると、公式文書は英語に訳す必要がなくなるのだ。だって、英語を登録している加盟国は一つもなくなるのだから。これはちょっとショックだった。私は、国民投票が行われる前から、言語の問題には関心があった。欧州理事会を訪問したときには、説明してくれたポルトガル人の高級官僚に「もし英国が離脱したら、EUで英語を話すことが減ると思いますか」と質問したことがある。彼はにっこり笑って「思わない。みんな、他の国に利点をあたえたくないからな」と言ったものだった。なかなかラテンの人らしいユーモアのある人だった(ちなみに彼が話していたのはフランス語)。実際に話される言語では、英語がもっとも強く、次にフランス語。最近ドイツ語も強いという感じだ。私はそこにばかり頭がいっていて、公式文書のことはすっかり忘れていた。そんな大事なことに今頃気づくな、私、、、という感じ。。。公式通訳はどうなるのだろうか。いまは、英語が公式言語の一つだから、英語の通訳がいるのは当然になっている。でも公式言語の登録がなくなるとなると。。。?実際は英語は共用語として広く使われていて、たとえばギリシャ人がギリシャ語で議会で発言するのをスウェーデン語に訳すとして、ギリシャ語・スウェーデン度通訳などはいない。間に英語・フランス語(ドイツ語)などの通訳がはいるのだ。つまりギリシャ語 → 英語・フランス語(ドイツ語) → スウェーデン語 となる。これ、、、どうするのだろうか。予算のつけ方とか、そういう問題にもなるわよね???あ、それから、日本の報道で「離脱のドミノだおしを心配」なんていう表現がNHKですら使われておりますが、そんなことは「絶対に100パーセントありえません!!!!!」ので。国際連盟を脱退した日本が、..
未分類
Sally
2016-06-28T21:03:51+09:00
いま、EUの中で、「自国の公用語」として英語を登録しているのは、英国しかない。
実際にはアイルランドとマルタでは英語が話されているのだけど、両者はゲール語、マルタ語を公式登録している。
EUでは、共通公式語はない。
だから、議会では各国が自国語と登録した言語(公式言語)のすべてに通訳がつくことになっている。
(実際には、全部つかないこともあるようだけど)。
EUの公式文書は、すべての公式言語に訳されている。
ただし、プレスリリースや報告書などは英・仏だけだったり、英・仏・独だったり、英語だけだったりすることもある
英国が脱退となると、公式文書は英語に訳す必要がなくなるのだ。
だって、英語を登録している加盟国は一つもなくなるのだから。
これはちょっとショックだった。
私は、国民投票が行われる前から、言語の問題には関心があった。
欧州理事会を訪問したときには、説明してくれたポルトガル人の高級官僚に「もし英国が離脱したら、EUで英語を話すことが減ると思いますか」と質問したことがある。
彼はにっこり笑って「思わない。みんな、他の国に利点をあたえたくないからな」と言ったものだった。なかなかラテンの人らしいユーモアのある人だった(ちなみに彼が話していたのはフランス語)。
実際に話される言語では、英語がもっとも強く、次にフランス語。最近ドイツ語も強いという感じだ。私はそこにばかり頭がいっていて、公式文書のことはすっかり忘れていた。
そんな大事なことに今頃気づくな、私、、、という感じ。。。
公式通訳はどうなるのだろうか。
いまは、英語が公式言語の一つだから、英語の通訳がいるのは当然になっている。
でも公式言語の登録がなくなるとなると。。。?
実際は英語は共用語として広く使われていて、たとえばギリシャ人がギリシャ語で議会で発言するのをスウェーデン語に訳すとして、ギリシャ語・スウェーデン度通訳などはいない。間に英語・フランス語(ドイツ語)などの通訳がはいるのだ。つまりギリシャ語 → 英語・フランス語(ドイツ語) → スウェーデン語 となる。
これ、、、どうするのだろうか。
予算のつけ方とか、そういう問題にもなるわよね???
あ、それから、日本の報道で「離脱のドミノだおしを心配」なんていう表現がNHKですら使われておりますが、そんなことは「絶対に100パーセントありえません!!!!!」ので。国際連盟を脱退した日本が、「国際連盟はぜいじゃくで、我が国に続く国があらわれるだろう」と言っているのと同じです。ないないないないないないないない!!!!! 英国の報道を中心に、日本に報道すると、こうなるというはなし。
もちろん、警戒は必要です。EU各国の首脳が恐れるのは、移民問題や経済問題で、各国の極右や極左が台頭して、自国の安定性が失われること。そしてそれはEUに波及し、欧州の安定が失われてしまう。そして、最悪のケースを想定して動くのが、良い政治です。
そもそも、まず極右や極左が政権をとることがあるのか。仮にとっても、反EUなのか。ポーランドはいま極右政権ですけど、全体としては親EUです。ギリシャは極左政権ですけど、EU、じゃなくてユーロ圏を追い出されないように必死の努力をしてきました。まあ確かに、経済で英国と深く繋がっている国は大ショックでしょうけど。だからってEU離脱? それは飛躍しすぎ。
この前の26日日曜日、スペインの選挙が行われましたが、ポデモスは現状維持にとどまりましたし。
英国国民投票の結果が出る前から、もっと伸びると予測されていたのですが。英国離脱で、逆に安定を求める意識になったのではとも言われています。確かにそうだけど、そうかな?とも思う。国民というのは、EUは大事ですが、自国の総選挙では自国のことが一番大事なのです。日本だって、外国との安全保障問題は大事な選挙の争点だけど、それだけでは投票先は考えない、やはりなんといっても自分の暮らし、経済問題が一番にくるでしょう。どこの平和な国も同じです。もし英国離脱が影響を与えたとしたら、国民の感情にアピールしてあおるような過激めの政党に投票しても、ロクなことにならないかもしれない、という理性でしょうかね。
「安定性が失われ、常に最悪のケースを想定して政治をするなら離脱を恐れる」というニュアンスを、わかってほしいです。
EUの離脱連鎖、ドミノだおしなんて報道、お願いですからやめてください。
英国の状況を英国から報道するのは当然ですが、もうEU政治を英国から報道するのは完全にやめたほうがいいです。
変わらなければいけないのは、ロンドンにEU貿易の拠点がある企業だけではありません。
マスコミも同じだと思います。
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安倍内閣「支持する」47% 「支持しない」36%
6月27日 19時00分 NHK
NHKの世論調査によりますと、安倍内閣を「支持する」と答えた人は1週間前に行った調査と変わらず47%、「支持しない」と答えた人は2ポイント上がって36%でした。
NHKは今月24日から3日間、全国の18歳以上の男女を対象に、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行いました。調査の対象となったのは3189人で、64%にあたる2044人から回答を得ました。
それによりますと安倍内閣を「支持する」と答えた人は1週間前に行った調査と変わらず47%でした。一方、「支持しない」と答えた人は2ポイント上がって36%でした。
来月10日に投票が行われる参議院選挙で、投票に行くかどうか聞いたところ、「必ず行く」が59%、「行くつもりでいる」が25%、「行くかどうかわからない」が7%、「行かない」が4%でした。また「期日前投票をした」が4%でした。この結果、「必ず行く」と答えた人と、「期日前投票をした」と答えた人は合わせて63%で、前回・3年前の参議院選挙のこの時期と同じ数字となっています。
今回の参議院選挙にどの程度関心があるか尋ねたところ、「非常に関心がある」が28%、「ある程度関心がある」が48%、「あまり関心がない」が16%、「まったく関心がない」が4%でした。
今回の参議院選挙で投票先を選ぶ際に、最も重視したいと考えることを6つの政策課題を挙げて聞いたところ、「社会保障」が29%、「経済政策」が26%、「消費税」が12%、「憲法改正」が11%、「外交・安全保障」が8%、「原子力政策」が3%でした。
今回の参議院選挙で与党と野党の議席がどのようになればよいと思うか尋ねたところ、「与党の議席が増えたほうがよい」が27%、「野党の議席が増えたほうがよい」が30%、「どちらともいえない」が37%でした。
安倍政権の経済政策「アベノミクス」への評価を聞いたところ、「大いに評価する」が6%、「ある程度評価する」が43%、「あまり評価しない」が33%、「まったく評価しない」が11%でした。
今の憲法を改正する必要があると思うか尋ねたところ、「改正する必要がある」が26%、「改正する必要はない」が36%、「どちらともいえない」が32%でした。
今回の参議院選挙で、民進・共産・社民・生活の野党4党が連携を強めていることを評価するか聞いたところ、「大いに評価する」が10%、「ある程度評価する」が35%、「あまり評価しない」が27%、「まったく評価しない」が20%でした。
イギリスがEU=ヨーロッパ連合から離脱することの日本への影響に不安を感じるか尋ねたところ、「大いに不安を感じる」が22%、「ある程度不安を感じる」が47%、「あまり不安を感じない」が16%、「まったく不安を感じない」が3%でした。
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英EU離脱、「円満な離婚ではないが速やかに」欧州委員長
2016年06月25日 17:45 発信地:ベルリン/ドイツ
【6月25日 AFP】欧州委員会(European Commission)のジャンクロード・ユンケル(Jean-Claude Juncker)委員長は、英国の欧州連合(EU)離脱について、「円満な離婚ではない」が速やかに行ってほしいとの考えを示した。
ユンケル委員長は24日、ドイツ公共放送ARDに対し、「英政府が(EU本部が置かれているベルギーの首都)ブリュッセル(Brussels)に離縁状を送るかどうかを決断するのになぜ10月まで必要なのか、私には理解できない」として、「私としては直ちに送ってほしい」とコメントした。
またユンケル委員長は、EUは英国の残留を望んでいたが、今となっては、離脱の手続きをできるだけ速やかに、なおかつ痛みを伴わない形で進めることが肝心だとし、さらに、「(EUと英国は)円満な離婚ではないが、親密な恋愛関係というわけでもなかった」「英国とEUにとって良き日ではないが、私たちは前に進まなければならない」と述べた。
英国のデービッド・キャメロン(David Cameron)首相は24日、同国のEU離脱の是非を問う国民投票で離脱派が勝利した結果を受け、10月に辞任し、「ブレグジット(Brexit、英国のEU離脱)」をめぐるEU側との交渉は後任となる首相に任せる意向を表明した。(c)AFP
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「ブレグジット地震」、英新聞の反応は二極化 英国民投票
2016年06月25日 14:39 発信地:ロンドン/英国
【6月25日 AFP】欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票で離脱派が勝利したことについて、25日の英国の新聞各紙の論調は、離脱と残留の間で世論が割れたことを反映して投票結果への歓迎と今後への不安に二極化した。
発行部数が多く、EUに懐疑的な姿勢を取るデーリー・メール(Daily Mail)は一面に「よくやった、英国!」という見出しを載せ、「静かな英国民が、思い上がった、実態を把握していない政治家らや人をばかにしたブリュッセル(Brussels)のエリートに対して立ち上がった日だ」とつけ加えた。
EU離脱を歓迎する見出しは他にもある。デーリー・エクスプレス(Daily Express)は「私たちはEUから離れた」「輝かしい勝利」と書き、タイムズ(The Times)は「ブレグジット(英国のEU離脱)地震」と呼んだ。
また、デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)は一面に「新しい英国の誕生」と載せ、社説で「2016年6月23日は、英国民が自国を管理する力を投票によって取り戻した日として永遠に記憶されるだろう」と述べて投票結果を歓迎した。
一方、親EU派は、大衆紙デーリー・ミラー(Daily Mirror)が暗い調子で「今いったい何が起きているのか?」と一面に書いた。
英紙ガーディアン(Guardian)は、国民投票の結果を受けて辞意を表明したデービッド・キャメロン(David Cameron)英首相の写真の上に「終わった。そして退場」と書き、社説で「英国は政策や経済の転換を余儀なくされる非常に危険な旅に乗り出した」と述べた。
スコットランド(Scotland)では、各紙が英国からの独立の是非を問う国民投票の可能性について大きく扱い、現地紙スコティッシュ・デイリーメール(Scottish Daily Mail)は「非連合王国」と見出しをつけた。(c)AFP
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英国民投票やり直し求める署名、100万件超える
2016年06月25日 20:34 発信地:ロンドン/英国
【6月25日 AFP】欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票で離脱派が勝利したことを受け、英国では25日までに、2度目の国民投票を求める議会への電子署名が100万件以上集まった。
議会のサイトは、国民投票のやり直しを求める署名が殺到し一時ダウンした。
請願は「(国民投票の)投票率が75%未満だった場合や、離脱または残留どちらか多数の得票率が60%未満だった場合」国民投票のやり直しを求めるとの内容。23日に行われた国民投票の投票率は72.2%だった。
グリニッジ標準時(GMT)の25日午前10時(日本時間同日午後7時)までに政府や議会の公式ウェブサイトで請願に署名した人は約104万人に上り、実際に下院での議論が検討されるために必要な10万人の署名の10倍以上となっている。
下院に問題を上げるかどうかを判断する議会の委員会は、28日に会合が予定されている。(c)AFP
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「英政府の考え甘かった」国民投票でプーチン大統領が批判
2016年06月25日 10:18 発信地:モスクワ/ロシア
【6月25日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は24日、英国で行われた欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票について、英政府の「考えが甘く、思慮が足りなかった」と批判する一方で、英国のEU離脱に向けてロシア政府が水面下で動いたとの見方を否定した。
ロシアの国営放送で放送された発言の中でプーチン大統領は、今回の国民投票について「一国、そして欧州全体にとっての重大な決定に決着を付けるやり方としては、英国首脳部の考えが甘く、思慮が足りなかった」と述べた。
EU加盟諸国の関係にくさびを打ち込もうとしていると非難されてきたプーチン大統領にとって、英国のEU離脱は「思うつぼ」だとする見方も多い。
しかしプーチン大統領は同日、英国をEUから離脱させるためにロシア政府が英国の国民投票に働き掛けたとの見方を一蹴。「当然、情勢はしっかり見守っていたが、わが国がその過程に影響を及ぼしたことはなく、影響を及ぼそうと試みたことさえない」と述べた。
プーチン大統領はさらに、ロシア政府としては英国のEU離脱のロシア経済への影響を最小限に抑える努力をすると明言した。ロシア経済は原油安と通貨ルーブルの下落によって既に打撃を受けている。
一方、ロシアのドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)首相は、英国のEU離脱が各国市場に及ぼす影響によって「世界経済、ひいてはロシア経済にもさらなるリスク」が生じていると警鐘を鳴らした。(c)AFP/Gabrielle Tétrault-Farber
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英国のEU離脱は中国に有利、経済専門家ら
2016年06月26日 13:47 発信地:北京/中国
【6月26日 AFP】英国民投票で欧州連合(EU)離脱派が勝利し、英国が世界最大の単一市場から離脱する方向になったことを受けて、複数の専門家は24日、中国が通商面で英国から有利な条件を引き出す上ではまたとない好機になるとの見解を示した。
欧州国際政治経済研究所(ECIPE)のギー・ドジョンキエール(Guy de Jonquieres)シニアフェローはAFPに対し、英国が今後EUなどの貿易相手国・地域から有利な通商条件を引き出せなかった場合、中国との交渉で「苦境に陥る」との予想を示した。
英中両国は、二国間関係が新たな「黄金期」を迎えたと主張している。英国はかつての帝国主義国で、19世紀には中国にたびたび侵攻した。一方の中国はアジアの巨大な新興国であり、世界第2位の経済規模を誇る。
中国税関当局の統計によると、昨年の英国との貿易額は785億4000万ドル(約8兆円)で対EU貿易総額の約14%を占め、貿易収支は400億ドル(約4兆円)余りの黒字。外国為替相場がポンド安になれば、中国の対英輸出額は押し上げられることになる。
ECIPEのドジョンキエール氏は「実際には中国のペースに巻き込まれていないとは言え、これまで英政府は中国の主張を大幅に受け入れる用意をにじませる行動を取ってきた」と付け加えた。その上で「英国が自力で中国との通商交渉を行えば中国市場へのアクセスを改善できるとは考えにくい」と語った。
■独自の通商交渉官がいない英国
中国外務省の華春瑩(Hua Chunying)報道官は24日、英国民投票の結果を尊重し、英国やEUとの関係で「長期戦略的観点」に立つと表明。その上で、「欧州の繁栄と安定は全ての人々の利益に資する」と付け加えた。
しかし投票から数時間後、国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)のウェブサイトは、中国との新たな通商協定の締結を目指して交渉するならば、英国は10年間にわたって500人の交渉官が必要になると指摘した。しかしECIPEのドジョンキエール氏によると、英国は1970年代にEUに加盟してから独自の通商交渉を行っておらず、今では独自の通商交渉官もいないという。
英中両国が経済関係を強化する中、先月にはエリザベス女王(Queen Elizabeth II)が習近平(Xi Jinping)中国国家主席の昨年の訪英に言及して一部の中国高官は「とても非礼」だったと発言している場面がカメラに捉えられた。中国は習主席の訪英に合わせて巨額投資契約を締結した。
国民投票の数日前、中国のある投資会社の首席エコノミストは、中国国営紙の環球時報(Global Times)に対し、英国はEU離脱で中国との「連携強化」が加速するとの見解を寄稿した。このエコノミストは「かつて世界を支配した国の影響力は現在低下している」とした上で、英国が世界の状況を踏まえた上で「相互援助」を求めて中国に目を向けるようになると予想。「英国がEUから離脱した場合、中国にとって本当に不利だろうか」と問いかけた。(c)AFP/Benjamin CARLSON
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スコットランド独立に賛成52%、英国民投票後の世論調査
2016年06月26日 10:17 発信地:グラスゴー/英国【6月26日 AFP】
英国で23日に行われた欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票で離脱が多数を占めたことを受けて行われた世論調査で、英スコットランド(Scotland)の住民の過半数が英国からの独立に賛成であることが分かった。
調査は英高級紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)の委託を受けた市場調査会社パネルベース(Panelbase)が24、25日の両日、成人620人を対象に実施し、25日に結果が発表された。
スコットランドの独立に賛成と回答した人は52%、反対と回答した人は48%だった。
また回答者の52%が、スコットランドは今後5~10年の間に独立する可能性が高いと回答した。今年4月の調査で同じ回答をした人の割合(約30%)より増えた。
スコットランドで2014年に行われた住民投票で英国からの独立は否決されたが、スコットランドのニコラ・スタージョン(Nicola Sturgeon)自治政府首相は、スコットランドの住民がその意思に反してEUからの離脱を強いられるならば、再び住民投票が行われる可能性は「極めて高い」と述べた。(c)AFP
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昨日の午前中は疲れた。。。世代間戦争?
https://euandjapan.blog.ss-blog.jp/2016-06-25
本当にびっくりした。。。お昼時まで、パソコンの前でFACEBOOKに張り付いていた。いま私が毎日やっているFACEBOOKは、大学院に入ったときにつくったもので、院での活動から派生した人たちの集まりだ。フランス語と英語のみ。日本人は一人もいない。ここで、昨日の午前中は大騒ぎだった。午後や夕方になると減ってきて(金曜日なので)、夜から今日の朝にかけると、かなり落ち着いた意見も出るようになってきた。ここでの議論噴出は、たいへん面白かった。フランス人が6割くらい、フランス在住者が8−9割くらい。ヨーロッパ人、イギリス人もたくさんいて、FBなので、イギリス人の友達の友達の投稿もどびこんでくる。私がいるのはヨーロッパ学院なので、当然仲間内は親EU派が多い。外国人も多いけど、少なくともEUやヨーロッパに関心のある人たちだ。ただ、何度も書いているけれど、親EUといっても、若い世代はEUがあるのが当たり前の世代。マーストリヒト条約は1992年調印。うまれたときからEUは存在し、中学、高校、大学と、ずっと学校で学んでいる(今後は小学校から始めるという話もある)。この結果が、くっきりと国民投票に現れている。BBCニュースから、この表を見ていただきたい。年齢差がくっきりはっきり現れている。1992年調印のマーストリヒト条約の際に、大学に入る年齢の18歳だった人は、いま42歳。調印したらすぐに教育が充実するわけじゃないだろうけど、ECC、ECから連続しているのだし。このあたりの年齢が、残留と離脱の分岐点になっている。実にわかりやすい結果だ。ほとんど世代間戦争である。そのせいか、FBには、若いのに離脱を投票した人たちが、いかに頭がからっぽでバカかというビデオが出回った。女の子に「どうして離脱に投票したの」と男性がきいて、女性が答えて、そのバカな答えを笑いものにするという内容だ。非常に不愉快だった。もしこれが本当なら深刻な社会問題だ。若者は、EU内で自由に安価で勉強に来ている人がたくさんいるのに、こんな人がいまだにいるのかという、「身分」格差、あるいは地方格差の問題だ。「やらせ」なら、なぜ男の子じゃなくて女の子なのか。実に不愉快。でも、このビデオの背景には、「若い人が反対するなんて信じられない。いったいどんな奴だ」という意識があるのだろう。そういう私も、まさか本当に離脱するとは思わなかった。私が一応知っているのはロンドンだけなのに、それだけ..
未分類
Sally
2016-06-25T18:30:49+09:00
お昼時まで、パソコンの前でFACEBOOKに張り付いていた。
いま私が毎日やっているFACEBOOKは、大学院に入ったときにつくったもので、院での活動から派生した人たちの集まりだ。フランス語と英語のみ。日本人は一人もいない。
ここで、昨日の午前中は大騒ぎだった。午後や夕方になると減ってきて(金曜日なので)、夜から今日の朝にかけると、かなり落ち着いた意見も出るようになってきた。ここでの議論噴出は、たいへん面白かった。フランス人が6割くらい、フランス在住者が8−9割くらい。ヨーロッパ人、イギリス人もたくさんいて、FBなので、イギリス人の友達の友達の投稿もどびこんでくる。
私がいるのはヨーロッパ学院なので、当然仲間内は親EU派が多い。外国人も多いけど、少なくともEUやヨーロッパに関心のある人たちだ。
ただ、何度も書いているけれど、親EUといっても、若い世代はEUがあるのが当たり前の世代。マーストリヒト条約は1992年調印。うまれたときからEUは存在し、中学、高校、大学と、ずっと学校で学んでいる(今後は小学校から始めるという話もある)。
この結果が、くっきりと国民投票に現れている。
BBCニュースから、この表を見ていただきたい。
年齢差がくっきりはっきり現れている。
1992年調印のマーストリヒト条約の際に、大学に入る年齢の18歳だった人は、いま42歳。調印したらすぐに教育が充実するわけじゃないだろうけど、ECC、ECから連続しているのだし。このあたりの年齢が、残留と離脱の分岐点になっている。実にわかりやすい結果だ。
ほとんど世代間戦争である。
そのせいか、FBには、若いのに離脱を投票した人たちが、いかに頭がからっぽでバカかというビデオが出回った。女の子に「どうして離脱に投票したの」と男性がきいて、女性が答えて、そのバカな答えを笑いものにするという内容だ。非常に不愉快だった。
もしこれが本当なら深刻な社会問題だ。若者は、EU内で自由に安価で勉強に来ている人がたくさんいるのに、こんな人がいまだにいるのかという、「身分」格差、あるいは地方格差の問題だ。「やらせ」なら、なぜ男の子じゃなくて女の子なのか。実に不愉快。でも、このビデオの背景には、「若い人が反対するなんて信じられない。いったいどんな奴だ」という意識があるのだろう。
そういう私も、まさか本当に離脱するとは思わなかった。
私が一応知っているのはロンドンだけなのに、それだけで多少なりとも英国を知っているような気分になっていたのだろう。「自分を疑え」とは自分に言わないといけない言葉である。反省。
ただ。。。本当に、これからEU政治を英国の情報で語るのは、心の底からやめてもらいたい。
今までも日本では、そのためにおこる弊害だらけだった。
でもまだ今までは、英国は加盟国だった。
もう脱退するのだ。
国際連盟を脱退した日本のメディア情報を見て、国際連盟の情勢を語るようなものである。
確かに今後、英国との交渉は難しいものとなるだろう。英国という大国が抜ける打撃は大きい。
各国の極右、極左の動きもあなどれない。特に移民問題は深刻である。
これからEUは、嵐の中を、舵を手放すことなく乗り切らなければならない。
でも、結局は、28カ国が27カ国になるだけである。
脱退の連鎖? 笑ってしまいますね。大陸でそんなこと起きるわけないでしょう。
結局、日本も英国も、島国なのよね。
移民問題で極右と極左の台頭が心配といっても、彼らが政権をとっている国はほとんど存在しない。
これからしばらくは、イタリアの役割が、相対的に大きくなるだろう。
いままで独仏英という3者のバランスがEUを支えてきた。
2者ではなくて3者というのは大事なのだ。
特にイタリアは、前にこのブログで書いたように、前回の欧州選挙で、欧州議会に安定を与えたことで、力がある。レンツィ政権も、ローマ市長選で驚きがあり油断はできないものの、国政ではまあまあ安定している。
ショック療法ではあったけど、私もこれから心を引き締めて頑張らなくては、と思いを新たにした。
これからもよろしくお願いします。
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離脱。あまりにもびっくりして。。。
https://euandjapan.blog.ss-blog.jp/2016-06-24-1
えっ、離脱!?まさか、まさか本当に離脱するとは思っていなかった。昨日の夜「離脱したらどうなる?」を全部書こうと思ったけど、眠すぎて寝てしまった。「この続きを書くことはないだろうな」と思いながら。まさか、続きを書くことになるとは。キャメロン首相は、すぐに辞意を表明。ルモンドの予測より早かったです。これは大陸ヨーロッパにとって激震だ。これから当分、動揺が続くだろう。でもだからといって、EUが崩壊するなんて、まったく思わない。そもそも、英国はシェンゲンにもユーロにも入っていない。私はこれから、深刻な英国の衰退が始まるのではないかと思っている。昨日FBで、英国が離脱したら、インドにすりよるという投稿が飛び込んできた。これからは、コモンウエルスとの関係強化をいっそう図るに違いない。中国は?中国は、英国をEU市場の窓口とみなしたからこそ、すりよっていたのだ。離脱となると。。。どうなるのか。当面の問題は、スコットランドでしょうね。。。まさかそう簡単に連合王国は離れないでしょう。でもイングランドとの良好な関係は保持しつつ、独立してEUに残れたら、理想でしょう。英国が「EUを離脱して、でもEU経済とのおいしい関係は残しておきたい」と思っているように、スコットランドも「独立して、でも連合王国とのおいしい関係は残しておきたい」と思うのでしょう。でもどちらも、そう簡単にはいかないでしょうね。EU側は、ここで英国にあまりにも甘い顔をしたら、さらに離反する国が出かねない。「自分の国も、英国と同じように、離脱しながら、EUと特別な関係を要求すればいいのだ」と。要するに美味しいところ取りである。こんなのはEUが許すはずがない。権利と義務はセットなのだ。英国を手厳しくはねつけることはしないが、権利と義務はセットであるとわからせるーーーこのあたりの微妙な政治がこれから必要になるだろう。でもスコットランドはーーー。即座に独立要求にはならないだろう。なんといっても、英国は自分が属する国なのだ。でも、独立投票で、独立派と反独立派は、それほど差がなかった。。。EUは、28カ国が27カ国になるだけだ。でも、スコットランドが本当に独立を希望したら、連合王国は崩壊してしまう。どうするのだろうか。日本にとっては、これがどう教訓になるのだろうか。唯一、日本と金融経済が関わり合いが深いヨーロッパの国、英国が離脱して、ますますいっそう日本はEUに関心がなくなって、ますま..
未分類
Sally
2016-06-24T15:23:29+09:00
まさか、まさか本当に離脱するとは思っていなかった。
昨日の夜「離脱したらどうなる?」を全部書こうと思ったけど、眠すぎて寝てしまった。
「この続きを書くことはないだろうな」と思いながら。
まさか、続きを書くことになるとは。
キャメロン首相は、すぐに辞意を表明。ルモンドの予測より早かったです。
これは大陸ヨーロッパにとって激震だ。
これから当分、動揺が続くだろう。
でもだからといって、EUが崩壊するなんて、まったく思わない。
そもそも、英国はシェンゲンにもユーロにも入っていない。
私はこれから、深刻な英国の衰退が始まるのではないかと思っている。
昨日FBで、英国が離脱したら、インドにすりよるという投稿が飛び込んできた。
これからは、コモンウエルスとの関係強化をいっそう図るに違いない。
中国は?
中国は、英国をEU市場の窓口とみなしたからこそ、すりよっていたのだ。
離脱となると。。。どうなるのか。
当面の問題は、スコットランドでしょうね。。。
まさかそう簡単に連合王国は離れないでしょう。でもイングランドとの良好な関係は保持しつつ、独立してEUに残れたら、理想でしょう。
英国が「EUを離脱して、でもEU経済とのおいしい関係は残しておきたい」と思っているように、スコットランドも「独立して、でも連合王国とのおいしい関係は残しておきたい」と思うのでしょう。
でもどちらも、そう簡単にはいかないでしょうね。
EU側は、ここで英国にあまりにも甘い顔をしたら、さらに離反する国が出かねない。「自分の国も、英国と同じように、離脱しながら、EUと特別な関係を要求すればいいのだ」と。要するに美味しいところ取りである。こんなのはEUが許すはずがない。権利と義務はセットなのだ。英国を手厳しくはねつけることはしないが、権利と義務はセットであるとわからせるーーーこのあたりの微妙な政治がこれから必要になるだろう。
でもスコットランドはーーー。即座に独立要求にはならないだろう。なんといっても、英国は自分が属する国なのだ。でも、独立投票で、独立派と反独立派は、それほど差がなかった。。。EUは、28カ国が27カ国になるだけだ。でも、スコットランドが本当に独立を希望したら、連合王国は崩壊してしまう。
どうするのだろうか。
日本にとっては、これがどう教訓になるのだろうか。
唯一、日本と金融経済が関わり合いが深いヨーロッパの国、英国が離脱して、ますますいっそう日本はEUに関心がなくなって、ますます疎くなるのか。
それとも、英国でEU離脱の深刻な影響が出始め、英国メディアも離脱でどう打撃があったか論じるようになるに至り、日本はEUの重要性をやっと理解しはじめるのか。
それとも、以前にもまして英国では、「EUはどうしようもない崩壊しそうな組織」との、まるで国際連盟を脱退した日本のような論調が出てきて、それらをうのみにする報道が日本でなされるのだろうか。英国から見たら、離脱するのだから、EUに関心は薄れていくかもしれないが。そして政治的には、まんなかの軸が、ぐぐっと右にいくとは思うのだけど。今の中道右派と極右のまんなかあたりが、中道になるのかなと思う。
私が以前に某新聞社のサイトに書いた記事をアップしておきます。
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なぜ英国ではEU離脱が問題になっているのか
ーースコットランド独立問題とAIIB参加の理由
英国の国政選挙が2015年9月7日に行なわれた。予想に反して、保守党が単独過半数を獲得
した。
キャメロン首相は「もし保守党が次に政権をとった場合、EUと再交渉し新条件で妥結したら、EU
離脱か否かを問う国民投票をおこなう」と2013年に公約していた。EU離脱=Brexit(British exit)が
一気に現実味を帯びて、欧州では重大ニュースの一つになっている。なぜ英国では、EUに加盟し
ていることがそれほど問題になっているのだろうか。背後には「連合王国」が解体するかもしれ
ないという危機感が潜んでいる。スコットランド独立問題や英国のアジアインフラ投資銀行
(AIIB)参加の「なぜ」を解くカギが、ここにある。
●EU加盟国にそっぽを向かれた英国
いま、英国はEUで孤立している。欧州で孤立があらわになって恥をかいた出来事が、2014年6月
に起きた。この事件は、英国とEUの問題を考える上で、とても重要だ。
それは、EUを束ねる立場の欧州委員会委員長を選ぶときに起きた。バローゾの次として、ジャン
=クロード・ユンケルがほぼ確定していた。彼はルクセンブルク首相を18年つとめた人物だ。
あとは加盟国首脳28人が承認しさえすればいいという時に、英国政府は彼の就任に猛反対した
。「彼は古すぎる」「改革にふさわしくない人物だ」と。すさまじかったのはタブロイド紙だ。
いわく「狂ったEU。ユンケルは欧州で最も危険な男」「家族がナチスの賛同者だった」。ユンケ
ル氏にパパラッチをつけ、彼の私生活をかぎまわった。彼は「隣人に迷惑をかけるのが一番煩わ
しい」とキレていた。さらに普通の新聞まで「私は膝をついて英国に請うことなどしないとユン
ケルは言った」などと大きく書くという具合。
キャメロン首相は、EU内で仲間をつくろうとした。湖上で仲良くボートに座る4カ国首脳。ラフ
な格好でカメラ目線でにっこり笑うのは、キャメロン英首相、メルケル独首相、オランダとスウ
ェーデンの首相。英国政府は、これを「反ユンケルサミット」としたかったのだが。
メルケル首相は、ユンケル支持を一貫して変えなかった。EU離脱をちらつかせる英国に「脅しは
欧州の精神の真髄ではない。われわれが通常、物事を進めるではない」とたしなめた。オランダ
は「中立」と言い出した。
そもそも、今回から、委員長の選出は改革されたものとなっていたのだ。以前のように、首脳た
ちが密室で決める方法ではなくなった。選挙の前に、欧州議会の各会派(党のようなもの)がそ
れぞれ委員長の候補を立てる。EU市民は5億人強。彼らを代表する欧州議会の選挙で、一番に勝
った会派の委員長候補が委員長になるという民主的な方法になった。選挙では、ユンケルを擁し
た中道右派の会派、欧州人民党グループが勝利。選挙に勝ったユンケルの就任は決まったも同然
だった。
それでも英国は騒ぎ立てた。そして結局、ほぼ全加盟国にそっぽを向かれた。最後に英国につい
てくれたのは、親ロシアと言われるハンガリーだけ。26対2でユンケル氏が就任、英国の孤立
があらわとなった事件だった。
なぜこれほどに、英国政府はユンケル氏の就任に反対したのか。
●「独立してEU加盟国になればいい」という考え
ユンケル委員長は、「欧州連邦主義者」と言われる。彼は欧州統合の信念に揺らぎがない。冷戦
が終了し欧州では、西欧だけではなく東欧も加盟、経済だけではなく政治も含めた共同体の創設
を決めた。90年代初頭の欧州連合の創設議論に、30代後半という若きユンケルはルクセンブ
ルク財務大臣として携わっていた。
彼は英語、フランス語、ドイツ語が達者である。フランス・ストラスブールの欧州議会で、ユン
ケルがフランス語で演説していたのを見た事がある。議会では全言語に通訳がつくが、彼は英国
に耳が痛いセリフを、さっと英語に切り替えて再度述べた。英国選出の議員は苦笑いをしていた
が、こんなことは日常茶飯事である。彼は血統書付きの大物だ。だから英国は、彼を恐れたのだ
。
確かにEUの深化は、国家主権に抵触してくる問題ではある。しかし、他の27加盟国には、ここ
までの先鋭的な反応はない。極右が台頭している国は他にもあるが、英国に同調していない。い
くら英国人はヨーロッパ人意識が薄いとはいえ、なぜ英国でのみこれほど先鋭化したのか。
目下一番重要な問題は、スコットランドである。英国はイングランド・スコットランド・ウエー
ルズ・北アイルランドの4つの地域からなる「連合」王国である。一つの国にまとまってきたの
は、大陸ではなくて島国であること、各地域が「たとえ独立しても小国では立ち行かない」とい
う意識があったこと、束ねる存在として王室が存在することなどがある。
しかし、EUはどんどん大きな枠組みとして深化してきた。EUが築いた大きな平和がある。そして
欧州が一つになってきたという漠然とした雰囲気が出て来た。そんな中、「独立してEU加盟国に
なればいい」という意識が登場してきた。他にもスペインのカタルーニャ、ベルギーのフランド
ル、しいては少数だがベネチアまで、独立派の動きが出て来ているのは、このためだ。スコット
ランド独立派は、エリザベス女王を国家元首にすることには同意していた。しかし、独立国とし
てEU加盟国であり続けることを望んでいた。この考えを認めたら「連合」王国は解体してしまう
。
「われわれは、なんとかやっていくには、弱すぎて貧しすぎるというのだから!」とあるスコッ
トランド人は言った。「国の大きさが問題というのなら、ベルギーやギリシャだってなんとかや
っている。どうしてスコットランドはダメだというんだ?」。この弁が、独立派の意見を代表し
ている。
2014年9月の独立投票の前、スコットランド民族党のサモンド党首(当時)は言った。「ユ
ンケルは、小さな国でもEUに影響を与えることができるという生きた証拠である」「スコット
ランドは、EUの一部になるだろうし、交渉ができるだろう。EUの国々は、スコットランドの
民主主義と、人々の決断を認めるだろう」と。
●迷走するフィナンシャルタイムズの論調
どんなに英国が、EUの権限強化と、国の解体を恐れているか。
フィナンシャル・タイムズの論説を2つ見てみよう。
まずは社説から。「EU加盟28カ国の首脳は、2つの理由からユンケル氏の任命を認めないよう
結束すべきだ。第1に、ユンケル氏の立候補は欧州議会による露骨な権限拡大に等しい。主要候
補の1人である同氏を任命したのは、欧州委員長を選ぶという議会の主張を補強するためだけの
策略で、EUの条約に根拠はない」「第2に、ユンケル氏の任命は欧州のリーダーが選挙での反
EUの声を無視した象徴になる。同氏はEUの奥の院では熟練した交渉人かもしれないが、保守
派の連邦主義者であり、反EUの有権者がEUに対して抱く不信を全て体現している」。
実に奇妙な論である。議会が権限を拡大するのは策略なのか。多数派が反EUという少数派を無視
するのはいけないことなのか。議会、そして多数派が力をもつのは、民主主義の基本ではないか
。英国を代表するはずの新聞が、一体どうしてしまったのだろう。
もう一つ、同紙の記事を紹介しよう。「ユンケル氏の委員長就任を阻止しなければならない最も
重要な理由は、欧州の民主主義を守ることにある」「欧州の民主主義を巡る2つのビジョンの対
立がある。1つは、欧州議会の権力を強めることがEUをさらに民主的にする唯一の道だとするビ
ジョンであり、特に ドイツでよく見られる。もう1つは――筆者はこちらに与するが――欧州議会の
権力強化は実際には民主主義に深刻なダメージをもたらすというビジョンである」「欧州全体を
1つの民主主義政体にするという考え方は良策ではない。政治を行う単位としては大きすぎるた
め、有権者は理解できなくなってしまうのだ」。
この論理は、英国政府にとって地雷となりうる。「欧州議会が大きすぎる」というのなら、スコ
ットランド独立派は「英国議会は大きすぎる」と言えるからだ。
2つの論説は、要するに「欧州議会の権限が増すのは嫌だ。権限が増して欧州が一つの政体にな
るのに反対だ」と言いたいのだ。
まるで、ユンケル氏が就任すれば、欧州は「ヨーロッパ合『州』国」になり、1つの議会が機能
すると言わんばかりである。いくらなんでも先走りすぎの感があった。
しかし、英国解体の不安は現実のものになってしまうかもしれない。
半年前に行なわれたスコットランドの独立投票では、賛成44,7%、反対55,3%で、否決された。
しかし団結の風潮は増しに増し、先日の国政選挙では、スコットランド民族党は大躍進をとげた
。同地の59議席中40をもっていた労働党はたった1議席という大敗を喫した。そのかわり民
族党が、6議席から56議席に票をのばす、歴史的大勝利となった。民族党党首のスタージョン
女史は「英国政府がEU離脱を問う国民投票を行なうなら、拒否権を発動する」と選挙前から明言
。「再び独立投票を行なう」とまで言っていたのだ。一体どうなっていくのだろう。
●シティの不安とAIIB参加
これからは、「EU離脱は、英国経済にとって損か得か」という議論が活発になるだろう。現在、
英国からの輸出の約50%が対EUであるという数字もある。EUを離脱したら関税が高くなり、損
害をこうむるのは間違いない。ロンドンは、世界のEU貿易の窓口としての地位を失ってしまうだ
ろう。シティにずっと存在し続けたこの不安は、英国が中国のAIIBに参加した理由の一つに違い
ない。
英国のシンクタンク、オープンヨーロッパは、いち早くEUを離脱した場合の経済予想を発表した
。この親EU組織は、英国が被る損害に警鐘を鳴らしている。しかし、離脱の長所も少しだけ述べ
ている。EUの規制がなくなれば「製造業者は中国との貿易で利益を受ける」と推定したのだ。こ
のレポートを紹介したフィナンシャル・タイムズは「英国は、潜在的に特に重要になりつつある
、アメリカやアジアの市場と、金融サービスに焦点を大きな焦点をおいた貿易協定を結べるかも
しれない」と記事を結んだ。3日後の12日、オズボーン財務相はAIIBの参加を検討していると発表
、世界で驚きをもって受け止められた。この記事は、AIIBの参加を示唆していたのだと思う。政
府は、EU離脱やスコットランド独立という最悪のシナリオを想定しつつ、国が衰退しないような
国家戦略を練っていたに違いない。
EUの政治問題は、直撃ではないにしろ、日本をとりまく国際情勢に必ず影響を及ぼす。そして、
現実を知った英国市民は、残留を選択する可能性は高いと思う。そのとき初めて日本人は、EUの
重要性に気づくのかもしれない。(了)
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投票が締め切った。もし脱退したらどうなる?(2)
https://euandjapan.blog.ss-blog.jp/2016-06-24
いま、となりで24時間ニュースのテレビ放送をつけています。ずっと英国情勢をやっています。あとフランスでは、労働法改正の大きなデモがあったので、その話(これも長引いているな〜)。「英国にとって最悪中の最悪のシナリオは、EUを離脱して、スコットランドや他の地域が独立して、連合王国崩壊というものだ」と言っています。まあそんなことは起きないでしょう。22時(23時のところもあるのかな?)で投票は締め切りなようで、いま、英国は22時30ですが、Facebookで最初の投票予想が飛び込んできました。Yougovの予測で、残留52パーセント、離脱48パーセントとのこと。さて続きです。26日 日曜日 スペイン総選挙の日保守政党(国民党)がかろうじて勝利し、ブレイ首相が続投になるが、ポデモスが社会労働党よりも票を獲得し、左派の連合を呼びかけるだろう。経済学者のピケティはマドリッドに赴き、南ヨーロッパの借金を再建するように依頼するだろう。メルケルは、当分の間は静観して、ブレイ首相の良き友人であろうとするだろう。27日 月曜日 キャメロン首相が辞任キャメロン首相は「ブレグジットは経済に爆弾の効果をもたらす」と言っていたが、政治の不安定のために気狂い状態になっている市場のために、予言を終わらせないといけなくなる。彼の人気は地に落ち、反EU派から袋叩きにあうので、辞任をよぎなくさせられる。保守党は、新しい党首を決めるための選挙を組織する。フランスではオランド大統領が、エリゼ宮に欧州の中道左派のリーダーを集める。チプラス首相もだ。翌日には大統領はベルリンに赴くので、そのための準備である。ヨーロッパ人は、行動を起こすというよりも、耐えるという感を与える。28日 火曜日欧州議会は臨時セッションを開催。EU懐疑派は大喜びだし、極左のジャン=リュック・メランション(フランス人)は、英語を事実上の公用語にするのはやめて、フランス語にしろと主張する。各会派のリーダーたちは、シュルツ議長のもと、事態の解決を目指すプロジェクトにとりかかる。 フェルホフスタット(元ベルギー首相。現在、会派の一つである欧州自由民主同盟のリーダー。中道リベラル)は、英国人が正式に50条の手続きを踏まないのではないかと危惧し始める。50条とはEU離脱を定めた条項で、離脱は2年以内と決めているのだが「英国人は20年かかる泥沼の交渉にもちこむのではないか」と考えている。キャメロン首相..
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Sally
2016-06-24T07:25:18+09:00
ずっと英国情勢をやっています。あとフランスでは、労働法改正の大きなデモがあったので、その話(これも長引いているな〜)。
「英国にとって最悪中の最悪のシナリオは、EUを離脱して、スコットランドや他の地域が独立して、連合王国崩壊というものだ」と言っています。
まあそんなことは起きないでしょう。
22時(23時のところもあるのかな?)で投票は締め切りなようで、いま、英国は22時30ですが、Facebookで最初の投票予想が飛び込んできました。Yougovの予測で、残留52パーセント、離脱48パーセントとのこと。
さて続きです。
26日 日曜日 スペイン総選挙の日
保守政党(国民党)がかろうじて勝利し、ブレイ首相が続投になるが、ポデモスが社会労働党よりも票を獲得し、左派の連合を呼びかけるだろう。経済学者のピケティはマドリッドに赴き、南ヨーロッパの借金を再建するように依頼するだろう。メルケルは、当分の間は静観して、ブレイ首相の良き友人であろうとするだろう。
27日 月曜日 キャメロン首相が辞任
キャメロン首相は「ブレグジットは経済に爆弾の効果をもたらす」と言っていたが、政治の不安定のために気狂い状態になっている市場のために、予言を終わらせないといけなくなる。彼の人気は地に落ち、反EU派から袋叩きにあうので、辞任をよぎなくさせられる。保守党は、新しい党首を決めるための選挙を組織する。
フランスではオランド大統領が、エリゼ宮に欧州の中道左派のリーダーを集める。チプラス首相もだ。翌日には大統領はベルリンに赴くので、そのための準備である。ヨーロッパ人は、行動を起こすというよりも、耐えるという感を与える。
28日 火曜日
欧州議会は臨時セッションを開催。EU懐疑派は大喜びだし、極左のジャン=リュック・メランション(フランス人)は、英語を事実上の公用語にするのはやめて、フランス語にしろと主張する。
各会派のリーダーたちは、シュルツ議長のもと、事態の解決を目指すプロジェクトにとりかかる。
フェルホフスタット(元ベルギー首相。現在、会派の一つである欧州自由民主同盟のリーダー。中道リベラル)は、英国人が正式に50条の手続きを踏まないのではないかと危惧し始める。50条とはEU離脱を定めた条項で、離脱は2年以内と決めているのだが「英国人は20年かかる泥沼の交渉にもちこむのではないか」と考えている。
キャメロン首相は国民投票の結果を手短かに発表するが、50条の発動を正式には求めない。これがキャメロン最後の評議会出席となる。27カ国は共同声明を発表する。「EUの目的は、平和と民主主義、繁栄、そして域内市場の維持である」。しかし貧血状態である。
オランダの首相は不安そのものだが、フランス大統領は「権利と義務はセットであり、英国は二つとももたないことを選択した。不安定な状態で居続けることはできない」と、いらだちを隠さない。
ポーランド、チェコ、ハンガリーは、評議会の結論のなかに、ユーロ圏とその政治・予算の同化を強化する必要性に言及することを拒否する。ドイツはこれを支持する。なぜなら東西の亀裂のリスクを恐れているからだ。
イタリア首相は、さらに訪れる移民の波に、独仏に慎重な態度を望み、ハンガリー首相は、メルケル首相とユンケル委員長を「移民の危機にさらした」と。「キャメロン首相が辞任した。ユンケル委員長はこの災害の結果を責任をとるべきだ」と。
トゥスク大統領は、マスコミにスポークスマンを送って、当たり障りのない言葉をいう。2週間後には、キャメロン首相の後継者を迎えてサミットを開くことにする。
29日 水曜日
ドラギ欧州中央銀行総裁と、イエレン連邦準備制度理事会議長、カーネイ英国銀行総裁が、ポルトガルのシントラで会合。ドラギ総裁が声明を発表。2012年に使った表現「whatever it takes」を再度つかう。ポンドは相変わらず混乱しているが、予想どおり。ユーロも危機にさらされるが、一応嵐は静かになる。一時的だが。
7月7日 ボリス・ジョンソンが二度目の投票で、オズボーンを破って保守党の党首となる。「欧州はわれわれをさらに必要とするが、われわれは欧州を必要としない」と発言。
7月8日 ワルシャワでNATOのサミット
オバマ大統領は記者会見を行い、ワシントンとロンドンの間には特別な関係は存在しないと、再び発言する。しかし、大西洋の同盟に関しては、なんの問題も起きないとも。ストルテンベルグ事務総長は、EUとNATOを近づけようとする派である。英国の離脱は、NATOの安全保障プランを弱めはしないが、EUは弱めると考えている。EUはますます東へと流れていき、ますますドイツ化し、平和主義者となる。
ロシアは、二者の間に断層を見て、EUとNATOのはざまを強化しようとする。ロシアの潜水艦が英国領の水面下に発見され、戦闘機がトルコの国境から遠くないところに侵入してくる。プーチンは新たなNATOの新たな「挑発」を非難し、「独仏という盟友が、アングロサクソンの罠にはまらないように」と誘いをかける。しかし、この日の見ものはジョンソンの登場である。「ちょっとおかしくはあるが、感じの良い人」と、オランドからメルケルへささやかれることになる。
続く。
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