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マクロンとルペンのテレビ討論を見て

以下はただの感想文です。最近そんなのばっかりですが。
よかったら読んでください。

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ルペンとマクロンが残ってから、なんだか社会が陰惨な雰囲気になったような気がする。
国民戦線の新たな党首がネガショニスト(ホロコーストはなかった派=親ナチス)だとか、気に入らないプレスを締め出すとか(メディアが連帯して抗議しました)、「ああ、国民戦線って、本質はナチスなんだな」と思わせるようなことが多かった。

共和党のフィヨンも社会党のアモンも「共和国を守るためにマクロンに投票を」と呼びかけたのに、メランションは何も言わない。大きな批判をあびた。
思想が違うから応援したくないのはわかるが、ナチスが政権とっていいと思っているのかと、私も一気に反感をもった。それまでは、投票権があっても彼には投票しないまでも、好意的に見ていたのに。「彼が今回こんなに投票を伸ばしたのは、極右にいきそうな票をとりこんだからで、だから言えないのか?! あんたはそういう人だったのか?! どんな時でも持論をがなりたてるのが、あなたの魅力だったんじゃなかったのか」と思った。感情的だけど。
結局彼は、誰に投票しましょうと言わないまでも、ルペンに投票するなという発言をして一応収まりましたが。

マクロンに関しては、悪口のほうが流布されすぎのような感じがする。
なんといっても国の問題は、景気の悪さと失業率(と国の借金)。アメリカ風(小泉風?)のサルコジ(現共和党)に託したけどダメだった、それなら社会保障を充実してくれるだろう社会党のオランドに期待したけどダメだった、じゃあどうする? というのが今回の選挙。マクロンは、両者の良いとこ取りをしている候補で、新鮮で若い。批判はたくさんあるが、フランス人は彼の新しさと若さに期待したのだと思う。
イタリアがレンツィ首相(マクロンと同世代)をもったときの、若々しい新しい風を期待した人もいたかもしれない。

私は個人的に、人間マクロンに大いに興味がある。この人は普通なら現共和党にいって不思議ではない経歴なのに、なぜ社会党に入ったのか(生育歴・家庭に関係あるのか、パリ第10大学にいたというところがポイントなのか)。しかもこの人は、敬虔なキリスト教徒なのに(だからたまに宗教臭い)、フランスのライシテ(非宗教性)を尊重している。フランスにしか現れない矛盾の化け物、あるいは見事な融合作品だと思う。

ところで、二人のテレビ討論が行われた。
後半くらいから、ほとんど変なショーを見ているような感じになった。
マクロンの言っていることは賛否はともかくまともなのですが、ルペンが。
この人のいっていることは議論にならないどころか、ほとんど根拠もなくウソも多く正確な知識も乏しく、人々のネガティブな感情に訴えることばかりだから、こうなっても当然なのだけど。
(地方の国民戦線の大会での演説が、フィヨン演説の完璧なコピーだったと、話題になった。お前はトランプ夫人か)。
役者のような激しい身振り手振り、とっさに短い言葉を投げかける、人々の理性ゼロの感情にのみ訴える大仰な、でも全く根拠のない言葉の数々。
なんだかこういう感じの女占い師が、昔日本にいたような、まだ私が子供のころ・・・名前が思い出せない・・・ギボなんとか。調べたら宜保 愛子でした。
見ている最中は、気持ち悪さに吐きそうになりましたが、後になると「そうか、極右ってこういうものなんだな」と妙に感心した。

第一回投票の前は、なんだか奇妙に静かな雰囲気を感じたけれど、二人が決まってからは、奇妙な静けさはまだありながらも、一気に騒々しくなった。
ところが、この討論が終わったら、もはや議論する気も起きないというか、疲れ切って終わった雰囲気というか、そんな感じがする。

ルペン落選は当然にしても、どのくらいルペンに票が集まるのか。
そっちのほうに関心があるように思う。
第一回投票は、第一回で決まると思っている人はいないので、批判票や気分の票も集まる。
でも第二回は真剣だ。
おそらく棄権や白票は増大するでしょうが、どちらかに投票しない人は今は関係ない。後で論議すればいい。
大統領はどちらかがなるのだから。

あの討論を見ても、ルペンに投票する人がどのくらいいるのか。
宜保 愛子が大統領になってもいいと???
私は失業者の経験があるので、失業していると心が荒んでいく気持ちはわかる。
でもあのルペンに投票するほど、フランスがひどい状況とは思えない。
フランスはアメリカと違って失業者でも生きていける。健康保険はしっかりしている。
もしルペンへの得票率が高かったら「そんなに私が理解できないほどひどい状況なのか(移民が集まる地域は別として)」とか「人間も民主主義もうんざり」とか思うでしょうね。

メランションに投票する人は、移民系のフランス人が人数としては中核です。
彼が大統領になることはないでしょう。
極右や極左が大統領になるほど、西欧はひどい状況ではない。
それよりもフランスは、社会党の立て直しのほうが重要だと思う。
アモン候補は、とても良い人物だったと思う。
さすが、負けるとわかっている社会党の危機のなかで出てくるだけあって、党内で人望を得ている、左派思想がしっかりある人物だと思った。
好き嫌いだけで言ったら、私はこの人が候補者のなかで一番好きだった。日本人の判官贔屓かもしれないけど(笑)。

そして、もし極右の本質は変わらないとしたら、実際はこの程度(?)なのに政権をとったことがある歴史の極右政権というのは、どういうことだったのだろうと、詳しく知りたくなった。大戦期に関しては、テレビじゃなくてラジオ時代だったから可能だったのかな、など。

ただ、極右の党首が女性だったことは歴史上ないのではないかと思う。今までもテレビ番組で討論とかはあったのだけどね。いざ決戦投票!いざ命運を分ける二者テレビ対決!と思って周到に準備してパワーアップしたら、ああなった、と。どうも、女が極右の党首になると、宜保愛子になるみたい。これは新しい政治カテゴリーの登場(?!)かもしれない。


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