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シャルリ・エブドを支援するデモ: 誰が参加したか

お久しぶりです。ただいま日本におります。
年末から、ドイツ滞在を経て日本に一時帰国するために、大忙しでした。
日本に帰国してまず目に飛び込んだニュースが、パリのテロ。
ああ、犯人がたてこもったあのスーパーは、知り合いの仕事場のすぐ近く・・・などなど。

日本でもたくさん報道されていますが、まずこのブログに書く内容として気になったのは、各国首脳たちがデモ行進のためにやってきて、どのような「席次」でデモをしたのかでした。

上記写真ですが、真ん中にオランド仏大統領と、メルケル独首相がいるのはわかると思います。

manifcharlie.jpg

-----------------オランド大統領から写真の左へ。

●黒人の人はイブラヒム・ケイタ  マリ大統領。

マリ人かマリ系フランス人がユダヤ系スーパーで4人を殺害して、機動隊に射殺されたと報道されています。これは深刻です。一般市民を殺しているのですから。対して、新聞社を襲った兄弟は、新聞社の人(と警官)というように、動機があって標的だけを殺しています。兄弟が立てこもった印刷会社では、ある人質の証言によると、兄弟は人質に「心配するな」と話しかけるなどしており、「殺される感じはしなかった」と発言しています。この人質は、コーヒーを入れて二人に出したといいます。同じテロでも、この二つは性質が異なると思います。そのうえ、殺された一般市民はユダヤ系。イスラム教徒との問題も深刻だけど、ユダヤ系との問題はもっと深刻で大きな火種になりえます。そのために、マリの大統領はオランド大統領の隣になったのかと推察します。あと、人種を超えた連帯を見せるためもあるでしょう。

●ベンヤミン・ネタニヤフ イスラエル首相

●次の男性、このアラブ系が入っているかのように見える男性がどうしてもわからない。ユンケル委員長よりも上座(?)に来ているのだから、トップクラスの重要人物だろうと思ったのだけど(髪型がそれっぽくないけど)。歩き始める前は、この人は最前列にいなくて、2列目のイスラエル首相の後ろにいた。犯人の兄弟はアルジェリア系フランス人なので、アルジェリアの要人かと思ったけど、違う。フランスのイスラム教徒の団体の代表者かなと思ったけど、みつけられない。メディアにのっていた各国の首脳・大臣クラスの参加人物リストに載っている人は画像検索したけど、出てこない(リストも完全ではないだろうが)。
もしかしたら・・・イスラエル首相のガードマンかもしれない。深読みかもしれないけど、隣のユンケル委員長は腕をくんでいないし・・・。イスラエル関係は常にものすごくガードが堅い。それに、この群衆である。殺し屋がいくらでも潜伏できる。前述したように、今回のテロでは、ユダヤ人と思われた一般市民が、無差別に殺されている。このデモに参加するのは、命がけかもしれません。
この男性がだれかわかる方がいたらぜひ教えてください。

●ユンケルEU委員長(ルクセンブルク人)

●イダルゴ パリ市長(青いマフラーの女性。社会党です)

●写真に写っていないけど、パリ市長の隣にキャメロン首相がいたようです。

----------オランド大統領・メルケル首相の写真の右

●トゥスクEU大統領(ポーランド人)

●マフムード・アッバース  パレスチナ自治政府大統領


●アブドゥッラー2世 ヨルダン国王夫妻

ヨルダンというのは、小さいし、アラブのイメージに合わない割と貧乏な国なのですが、このヨルダンのハシミテ王家というのは、イスラム教の開祖ムハンマドの直系の子孫と言われ、由緒や権威に関してはもう並ぶものがないほどの地位を保っているのです。彼が参加することの意義は大きいと思います。

●シモネッタ・ソマルーガ スイス大統領(だと思う。今年の1月1日に就任したばかり。女性大統領です)

●アフメト・ダウトオール トルコ首相(だと思う)

トルコはたいへん難しい位置にいます。もともとヨーロッパとアラブを中心とするイスラム教の国々のはざま。今は迫りくるイスラム国の脅威と、クルド人問題と、シリアの政権と、ぐちゃぐちゃです。一つ間違えると、自国がイスラム国のテロの対象になる。政教分離が進んでいるとはいえ、イスラム教の国なのに。イスラエル首相ほどではないかもしれないけど、この人もデモ参加は命がけですね。。。

●ポロシェンコ ウクライナ大統領


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行進が始まる前は、最前列にサルコジ元大統領(次期大統領になるかも???)がいたのですが、追い出されたのか、後ろのほうにいます。夫人であるカルラ・ブルーニは見えますから、見えないけどその隣にいるのでしょう。サルコジは背が低いので埋もれちゃった。
(のちに得た情報によると、最初最前列にいたけど、行進が始まるころは整理係に後ろに追いやられ、行進し始めると少しずつ前に出てきてまた最前列に入り、歩をとめて黙とうするころには、また列を仕切りなおしたので後ろに追いやられた。前に出たがるところを、ネットユーザーたちは嘲笑というか揶揄しているのでした)

こういうことからも、行進が始まると、やはり誰がどういう場所にいるのかは、当然問題になったのだと思います。ヨーロッパ人に関しては、各国首脳が来ていたのにもかかわらず、最前列にきたのは、EU政治家のようですね。ある報道によると、EU加盟国で来ていた首相・大統領クラスは16人いました。全員最前列にならべないので、EU首脳が前に並んだ、ということでしょうか。
ただし英仏独は常に例外なんでしょうかね。そう考えると、レンツィ伊首相は最初は最前列にいたのにいなくなったということは、後ろに追いやられたのか。他のEU加盟国の首脳から抗議があった・・・とか?


オバマ大統領は来るといううわさがあったようですが、来ませんでしたね。アメリカは一歩遠いなと感じました。アメリカからは司法長官が、ロシアからはラブロフ外務大臣がやってきました。

で、日本は? 外務大臣くらいは派遣するべきだったと思うのですが。
フランスの極右FNの党首ルペン氏は、パリのデモに参加しなかったのは「招待がなかったから」と答えています(地方のデモに参加しました)。ということは、フランス政府は、各国に招待を送ったのだと思います。おそらく各国の在仏大使館にでしょうけれど。G7の日本にお誘いが来ないわけがない。

デモそのものは、政府が組織したのではないかもしれません。フランス人は、特にパリの人はデモに慣れていますので、これほど大きな事件が起きれば、誰もがデモはあるものだと思いますし、情報の伝達も早いと思います。主催者はメディアの人かもしれません。でも、フランス政府は外交の舞台にすることにしたのです。

日本はイスラム世界と直接確執があるわけじゃないし、阿部首相が行くべきとまでは私は思わないのですが、でも言論の自由を守る先進国でG7の一員としては、こういう機会に参加するべきだし、恰好の外交展開のチャンスだと思います。外務大臣くらいは行くべきだったでしょう。

どうせ「アメリカ様が行かないから、いっか」となったんじゃないかなと思うんですけどね・・・。宗教や地域の違いを乗り越えて、こんなにたくさんの要人が集まったのに。アメリカ一辺倒ボケの弊害が、目に見える形で出ましたね。

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[追記] フランスの政治家以外で参加した要人

(出典:ヌーヴェル・オブゼルトゥール)

ーーー欧州の代表者

ドイツ メルケル首相(女性)
英国 キャメロン首相
イタリア レンツィ首相
スペイン マリアーノ・ラホイ・ブレイ首相
デンマーク シュミット首相(女性)
ベルギー シャルル・ミシェル首相
オランダ マルク・ルッテ首相
ギリシャ アントニス・サマラス首相
ポルトガル ペドロ・パッソス・コエーリョ首相
チェコ ボフスラフ・ソボトカ首相
ラトビア ライムドータ・ストラウユマ首相(女性)
ブルガリア ボイコ・ボリソフ首相
ハンガリー オルバーン・ヴィクトル首相
クロアチア Zoran Milanovic首相(外務省の方、公式HPの情報が更新されていませんよ~)
ルクセンブルク グザヴィエ・ベッテル首相
ルーマニア クラウス・ヨハニス大統領

ユンケルEU委員長(ルクセンブルク人)
シュルツEU議会議長(ドイツ人)
トゥスクEU大統領(ポーランド人)
(ブログ筆者の注・EUの大臣は複数出席していました)

スイス シモネッタ・ソマルーガ大統領(女性)

ーーー世界の代表者

アメリカ エリック・ハンプトン・ホルダー司法長官
イスラエル ベンヤミン・ネタニヤフ首相とアヴィグドール・リーバーマン外務大臣
パレスチナ マフムード・アッバース大統領
ヨルダン アブドゥッラー2世国王と ラニア王妃
カナダ Steven Blaney公共安全大臣
ロシア ラブロフ外務大臣
コソボ アティフェテ・ヤヒヤーガ大統領(女性)
アルバニア エディ・ラマ首相
トルコ アフメト・ダウトオール首相
グルジア イラクリ・ガリバシヴィリ首相
ウクライナ ポロシェンコ大統領
チュニジア メヘディ・ジョマア首相
アルジェリア ラムタン・ラマムラ外務大臣
マリ イブラヒム・ブバカール・ケイタ大統領
アラブ首長国連邦 アブダッラー・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン外務大臣(殿下)
ガボン アリ・ボンゴ・オンディンバ大統領
ニジェール マハマドゥ・イスフ大統領
ベナン ボニ・ヤイ大統領

NATO イェンス・ストルテンベルグ事務総長
その他、フランコフォニー国際機関, Bureau international du Travail, Ligue arabeなどのリーダーも出席。

そのほかの多くの国が、ブラジルやモロッコの大使のように、外交官を出席させる予定とした。

ーーーフランスの宗教指導者たち

•Joël Mergui, (イスラエルConsistoire centralのプレジデント)
•Moché Lewin, (欧州ラビ la Conférenceのエギュゼクティブ・ディレクター)
•Roger Cukierman,(président フランス・ユダヤConseil représentatif des institutionsのプレジデント)
•Mgr Stanislas Lalanne, パレスチナ宗教の Pontoiseの主教)
•Mgr Pascal Delannoy,(サンドニ地域の司教。la Conférence des évêques de Franceという名での出席)
•イスラム教団体では、Le Conseil français du culte musulman (CFCM)---フランスのイスラムの代表的な決定機関、l'UOIF (proche des Frères musulmans),が、「イスラム教の信仰をもつ市民たち」デモに参加することを呼びかけた。
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コメント 3

キバナ

こんにちは


イスラエル首相の隣の男性は首相のボディガードだそうですよ
by キバナ (2015-01-14 00:24) 

バン

日本国内の意見を見ると勿論テロは言語道断だが、でもシャルリ側にも非があるといった論調が多いんですよね
やりすぎだとか、言論の自由といえばなんでも許されるのか、みたいな

日本もイスラムにとってのムハンマド、アッラーほどではないですけど天皇という存在がいますからそういうところで欧州とは違うのかなあと思うんですが


日本も一応言論の自由はありますし弾圧されてるとも思いませんが、でも天皇制に関してだけはどうでしょうね・・・
それこそシャルリが天皇制を皮肉ったら右翼が何かしでかすかもしれません
さすがにテロまではないと思いますが

政府が行かなかったのはそれがあるのかな?と勘ぐったりしたんですが
欧米流の言論の自由は行き過ぎだと思ってる人も多いですからね・・・

by バン (2015-01-14 22:31) 

Sally

キバナ様 バン様

情報をありがとうございました。やはりガードマンだったのですね。

ご指摘の件、とても鋭いと思います。日本の学生時代、論者たちが「日本人の性質を考察したり、批判の目を向けると、必ず天皇制にいきつく」というセリフをみかけたものでした。当時は「???」でしたが、いまはすごくよくわかります。ただ、欧州にも王室がある国はたくさんあります。なんとなく、極右やテロが台頭しやすいのは、革命が起きた国という気もしないでもないのです。このあたりは私が今注目して観察しているところです。

今後ともよろしくお願い申し上げます。
by Sally (2015-01-17 08:22) 

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