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いよいよ第1回目投票の日がやってきた

いよいよ投票の朝がやってきました。
とっても良いお天気です。

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今日、大統領が決まることはないだろうけど、なんだ私は何度も、「大統領選(国政選挙)とEUはほとんど関係ありません」と書いてきましたが、万が一「離脱も辞さない派」が大統領になったら、どうしましょう。
私は骨身にしみてわかっているのよ。
若い世代(30代以下)は別だけど、EUをつくってきたのはエリートである、と。
ブレグジットではっきり判明したように、若い世代はEUがあって当たり前の世代だから違う。
(問題は、どこの国でも同じだけど、若者の投票率が低いこと)。

パリに住んで、さんざんEU関係のイベントに参加して、普段は一般の人は入れないような組織の建物(官庁だの裁判所だのフランス弁護士会だの)に出入りして、つくづく思う。EUをつくってきたのは、右派でも左派でもエリートであると。まず服装。場所が場所だから、みんな身なりを正してやってくるんだろうけど、それにしてもみなさん身なりが良い。着ているものの質が良い。そうでもないのは、若者と、知的左派、おそらく関係者と相場が決まっていると思う。そこで討論されている内容なんていうのは、一般日常生活とまったく関係ないというか・・・。

あと、EU議論はきわめて都市型というのはある。ストラスブール、リヨン、マルセイユくらいだと例外かもしれないけど(地方にもEUの拠点はあるので)。
EUのことを勉強した人材は、地方の役所や企業などでも必要とされているので、地方の大学でも問題はないとは思う。EU法はすべての企業に関係してくるし、市町村単位でEU他国との交流も盛んだ。

ただ、いわゆる国際関係的なEUの問題を考えるのなら、パリに来ないとダメだと思う。ストラスブールでもいいのかもしれないけど、「パリに来るべきだと思った」と言ってストラスブールのEU学科からうちの大学院に来た人を知っているので、やっぱりパリなのかもしれない。
つまり、EU問題はきわめて都市型、いや、首都型だと思う。

だから、極右が「EUのせいだ」と声高に叫んでも、地方(田舎)の40代、特に50代以上(学校教育を受けた年頃にはEUがまだなかった世代)で、それほど学歴も高くない人は、どう思うのだろう。あっさり信じるのか、なんだかピンと来ないのか。
農業関係者だと、スペインの農産物との競争に大きくさらされているから、EUに反感をもっているかもしれない。でも、フランスに入ってくる農産物は、スペインだけじゃなくて、モロッコからも結構多いのだ。たまにイスラエルとか南アフリカとかアメリカ産もある。果物なんかはチリとかカナダからもそこそこ入ってくる。EU内だとキノコはオランダ産、ぶどうはイタリア産もあるかな。結局、影響はつくっている農産物によると思う。
小さい工場で手作りの食品をつくっている人は、EUの安全規制がどんどんうるさくなっているので、反感をもっているかもしれない。でもフランスは、自国の農業の利益に関わることには、かなりNONと言っていると思うけど。
ただこういう人たちは、まったくEUと関係ない訳はなく、なんらかの形でEUが自分の商売に与えた影響をちゃんと知っているのは間違いない。彼らは自営業者だから。一番EUをよくわかっていないのは、地方で(都市でもそうだけど)、自営じゃない雇われ人の40代・50代以上の人かもしれない。

結局、「ユーロになったら物価があがった」とか「移民が多すぎる」という感情問題になるのだろう。特に地方の小さな街・町は、まるで一画がイスラム教徒のアラブ系の人にのっとられた(?)みたいなところは結構ある。仕事がないから、昔からいるフランス人の働く世代は、都市にいってしまう。お年寄りが多くなる。そうすると、残るのは家賃と物価が安くて住み着いた移民の人(若者含む)だけ・・・みたいな感じ。
街・町の力が弱いので、フランスへの同化を積極的に促す人の人数も少ないのは想像できる。同化には、彼らの子供がフランスの学校に通って・・・というように時間を待つしかない。彼らは一体何をやって生計をたてているのか。白人フランス人がやりたがらないような仕事なのかもしれない。ああいう所に住んでいたら極右に入れたくなるかも、と想像はできる。それが反EUの感情と結びつくのかどうか。極右がいくらわめいているからといっても。あまり大きく関係ないような気がする。日本にはEUはないけど「外国人が嫌だ」=「極右」になるでしょう。ネトウヨとかいっぱいいますし。
それに、フランスにいる移民のアラブ系・黒人は、圧倒的にフランスの旧植民地(フランス語圏)から来ているのだ。流入は今に始まったことではない。長い歴史がある。EUシェンゲン協定より、むしろ旧植民地問題なのだ。

私は今パリにいる。パリはフランス革命が起きた街で、伝統的に左が強いから、私もその基準で考えすぎているのはと自戒はしている。ただ私は、南仏の、おそらく右(と極右)がフランスで一番強い街に住んでいたことがあるので、まったく地方を知らないわけではない。あの街では、ルペンとフィヨンに票が集中するのだろう。

ああ、なんだかわかんなくなってきた。
それでも私は、極右が2回目投票に行くかどうかはともかく、極右の大統領がフランスに誕生することはないと思っている。

最後に。
私が常にEUに対してもっている疑問を、理論的に解決している人は、メランションです。でも、理論と現実のプロジェクトは別。
今後、世界で興味深い政治的・経済的テーマになると思ったのは、社会党のアモン氏の政策revenu universel。日本だとベーシックインカムと言われている問題。これを論じた討論会に行けなかったのは残念。しかも後になってピケティも参加していたと知って、本当に悔やまれた。

一番ユニークで面白かった候補者は、Jean Lassalleでした。
lassalle_afp.jpg
ピレネー出身。61歳。牧羊をいとなむ家族に生まれ、農業高校を出て、21歳で市長になった。「フランス地方(田舎)市長連合」の推薦をあつめて立候補した人です。TTIP猛反対(TPPと同じで、もうほとんどつぶれたけど)。政治的には中道。ピレネー地方にあった日本企業が去ろうとしたときには、地元の雇用を守るために、ハンガーストライキを断行して、妥協を勝ち取ったことも。大統領候補としては何が言いたいのかよくわからないのだけど、理想ばかりの口八丁(と言わさせてもらいます)をがなりたてている候補者たちの中にあると、朴訥としていて、それでいて芯の強さは感じさせる人で、新鮮でした。「フランスは今、ストレスがありすぎる」と言っていましたが、11人の候補が集まる中で、空気感を変え、テレビ局側の出演者の態度も変えることができたのは、この人だけでした。
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